会計士・税理士はCHATGPT proを使うべきか?
結論:GPT Proは不要。o1で十分
「GPT Proは利用しなくてよい。会計士や税理士の業務であれば o1で十分」というのが結論である。
会計・税務の現場は、起きた事象を法令、会計基準、税法、監査基準といった定められたルールに沿ってあてはめ、それに基づいて処理することが業務の大半だ。
ここではGPT Proが得意とする高度な推論や創造的な発想は不要で、すでに定まっているルールに沿って間違いなく処理することが求められる。
結果として、業務のメインである「ルールへのあてはめ」とそれに基づく処理であれば、o1レベルで十分対応可能だ。
O1で十分な理由
実際30,000円を払ってGPTProを試してみた。
僕自身の業務を前提にすると、
「GPTProに対する課金30,000円とo1に対する課金3,000円の間には10倍(+27,000円)の価値がない」というのが僕の感想だ。
GPTProが期待外れということではなくて、
会計・税の分野では、これまでのo1で既にすごすぎたということに尽きる。
比較となるo1が既に最強すぎて、コスパという点ではGPTProを使う必要はないだろうということだ。
近所のスーパーに新幹線で行くような感じだ。
もう少しだけ深掘ると
そもそもGPTProが得意とする高度な推論能力は会計・税務の分野では相性があまりよくない
「ルールへのあてはめ」という業務で活用するにあたってはGPTProはオーバースペックである
これがGPTProは不要だという理由で、3,000円のo1がベストだというのが僕の意見だ。
つまり、GPTProが得意とする高度な推論に基づく深い洞察、斬新なアイデア、これまでになかった新しい視点の提供などは会計税務という領域においては追加コストを負担する合理性は低く、「ルールへのあてはめ」を正確に行うという点ではo1の推論レベルで十分だ。
GPTProの得意領域とのギャップ
GPTPROが真価を発揮するのは、答えが一義的に定まらない領域である。
哲学的な問いや経営戦略の構築、新規事業モデルの創出など、ルールが固定されておらず、多面的な視点から独自の答えを模索する必要がある状況だ。
しかし、会計士・税理士の業務はその逆を行く。
ルールの準拠性に重きを置いた言わば閉じられた世界である。
このギャップが、GPTPROが発揮し得る潜在能力を実務上無用の長物にしてしまっている。
GPTProが力を発揮できる場面
それでも、GPTPROが力を発揮する場面がある。端的に言うと、立場の違いにより主張がぶつかるケースだ。主なケースを2つだけ示す。
税務調査
税務調査が入ってきた際に
調査官はどのような見解を主張してくるか?
調査官はどのようなロジックで否認してくるか?
それに対して、どのようなディフェンスを取れるのか?
このような状況にGPTProは力を発揮する。
o1でもそれなりの理屈を並べてくれるが、なんとなく思いつく範囲の抗弁であった。
一方で、GPTProはシナリオ構築、論点整理、反証ロジックの整理などo1よりも深い洞察と広い視点を与えてくれ、多面的にこちら側のロジックを補強してくれる。
会計処理の見解が相違する場合
(あなたが事業会社の場合)実施した会計処理に対して監査人がどのような主張してくるのか?
(あなたが監査人の場合)会社が実施した会計処理の正当性をどのように主張してくるのか?
税務調査と同じように相手方の主張に対して反論を想定し、深く広い視点からの反証と議論が可能となる。
このように、相手の可能な反論を想定し、多面的な論拠を構築しておく必要がある場合には、GPTPROの高度な推論能力が有用となり得る。
結論
繰り返しになるが、最終的な判断として、会計・税務の通常業務にGPTPROはオーバースペックであり、継続して契約するのは不要である。
(僕ももう少し使って年内には解約しようと思う。)
現行の定型的プロセスではo1で十分な性能が発揮されるし、GPTPROのクリエイティブな推論力はほとんど必要とされないからだ。
GPTProは相手方との立場の違いから主張が真っ向から対立する場合、こちら側の主張に幅と奥行きを与えてくれるので、最強のパートナーになってくれる。よって要所要所で活用するというのは大いにありだ。
「何ができるか?」「どのような場面でどれくらい使えるか?」「どれくらい使えるか?」を理解する上でもGPTProを1か月だけでも利用することはお勧めする。それを知れるだけでも1回限りの30,000円の課金は決して高くないはずだ。
以上、実際に使ってみた経験に基づく率直な結論である。