美容師アシスタントの金メダリスト

こんにちは、ITOです

オリンピックが始まり様々な意見がある中で、無観客とはいえ開催されて良かったという意見も多く聞かれるようになった

私はうちにテレビがないので、リアルタイムで観戦できていないが、ネットニュースで日本中が盛り上がっているのが伝わってくる

コロナ禍とか関係なく、そもそも招致の時点で「アンダーコントロール」と世界中に大嘘をつき、復興五輪などと都合よく政治利用したところから、私は東京五輪に反対だった

そんな私でもいざ東京五輪が始まり、ようやく選手達の顔が見え始めると「本当に開催されて良かったね」と思えてきた
だって開催されるまでは、東京五輪の話となると汚いオッサン達の顔ばかりがメディアで取り上げられ、スポーツの祭典とは思えないくらいドス黒いニュースばかりだったから

あまり詳しくはないけど、日本はメダルをたくさんとっているのですよね
私は個人的に、卓球とスケボーで感動しましたね

今Twitterで「#手のひら返し」がトレンドインしているが、私も典型的な手のひら返しで恥ずかしい

しかし何はともあれ非凡な才能を目の当たりにし、それだけで感動できるスポーツは素晴らしい

最近、うちのアシスタントで”凄く良い”のがいる

抽象的すぎるので、何が”凄く良い”かを分析してみる

3年目の男性アシスタントで、私が面接を行った時に「コイツと一緒に働きたい」と瞬時に感じたと記憶している

面接の質疑応答とは、5分間話しても30分間話してもどんな内容の話をしようと、緊張も相まってそんなものは面接対策で武装されたハリボテでしかないと思っている

そんな事より、私の面接の基準は
面接会場に入ってきた時の佇まいや発するオーラで「コイツと一緒に働いてみたい」と自分が思えるかどうかを大切にしている
もちろん面接官は私だけではないので、何人かで審議を行ったのちに採用を決定する
質疑応答をとても重視する面接官もいるのでバランスはとれている

今こうして入社3年目になった彼は、そんな面接をくぐり抜けて来たから”良い人材”なのは当たり前なのだが、最近まで私は”凄く良い”とまで気づけていなかった

何が凄いのか？

まず初動が速い
躊躇がない、本能で動けている

大抵の凡人は、行動の前に
「これしたら怒られるかな」
「間違ってないかな、合ってるかな」
と考え行動が遅れる
その時点で自己防衛のフィルターがかかってしまっているからだ
私もそうだ

彼は違う
真っ直ぐ仕事を見ている、真っ直ぐ人を見ている
仕事のために何が最善か、目の前の人のために自分には何ができるのかを、理性ではなく本能で察知しているから初動に迷いがなく速いのだ

次に、人の懐に入るのが超人級に上手い
スタイリストの懐に、お客様の懐に、気付いたらプライベートゾーンにいい塩梅に収まっている
相手にどう思われるかより、相手に寄り添いたいという本能がそうさせているのだ

私は彼を仔犬の様だと言っている
彼だって仕事でミスはする、指摘をすれば誤魔化しもする
しかし多少の誤魔化しなどは吹っ飛ぶくらい、愛くるしい表情でしっぽフリフリし距離感を保つのだ
そんな誤魔化しにすら邪念を感じさせない才能
仔犬の様というのは、彼へ神様からのギフトなのだ
あゝ神様、私もしっぽフリフリしてみたい

しかし私は入社当時の彼が苦手だった
基本的に初対面で距離を詰められ、グイグイ来られるのが私の性に合わないのだ
犬に顔をベロンベロンされるのは勘弁ね
私は犬派ではなく猫ちゃん派だからそこはしょうがない
(早く家に帰って酒飲みながらキリコとお雪と遊びたい)

そんな私の曇ったフィルター越しに、入社当時の彼を見ていたのが間違いだったと最近わかった

3年目の彼は、より密接に私の仕事をアシストをしてくれる様になった
私のお客様とも以前より長い時間関わる事が増え、お客様からも「彼、凄く良くなった」と言われている
美容師としての技術もレベルアップしたから、お客様の安心感に繋がるのは当然として、お客様とも彼の人間性についての話ばかりをしている
誰が見ても、接しても、彼の良さが伝わるのだ

後に知ったのだが、彼は「美容学生のカリスマ」と呼ばれていたらしい
どうやら学生時代からすでに、彼の周りには人が集まり、同期や後輩、先生からも慕われていたようだ
(決して顔はイケメンの部類ではない、実物を見て落胆しないように)

ACQUA入社後2年目で後輩ができたら、早速「伝説のカリスマ」っぷりを発揮していた
そんな彼をみて私も「なるほど、あぁこれは確かにカリスマだ」と感じた
しかも全く嫌味がない、爽やかなお兄さんキャラでナチュラルにカリスマしているのだ

部下から慕われようとして声をかけているヤツはすぐにわかる、声かけの内容やタイミングがスケベなのだ、そんなのはウザい絡みでしかない

しかし彼は違う、自分の事なんて考えてない、相手を思いやっている声かけがじつに清々しい

普段から私は人に優劣をつけるなと言っている、個性はバリエーションで二元論では語れないと
ここまで彼を持ち上げておいてなんだが、彼にも当然欠点はある
仕事が速く、スタイリストの私を捲ってくる
私もせっかちで仕事が速いが、彼もなかなかのせっかちさん
せっかち同士でテンポは丁度良いのだが、彼はまだ精度が低い
若いから致し方ない、精度は経験と共に身につくだろう

と言うか
適当さ加減も私好みで、力が入りすぎていないのが良い
「そこそんなに時間かけないでよ」というのがない
大抵のアシスタントは目の前の仕事に没頭しすぎる、時間をかけ過ぎる
サロンワークの一日を俯瞰できない
彼は全体を俯瞰できているから、目の前の仕事の手の抜きどころをわきまえているのだろう

もう雑さも欠点なのかどうか分からなくなってきたが…

とにかく持ち前のオープンマインドは最強なので
ウィークポイントなんて微々たるもの、カウントしない

ずっと昔にテレビCMでキムタクが言っていた事
「人間には２種類しかいない。閉じているヤツと、開いているヤツ」
(少し違うかも)

と言う論で言えば、彼は完全に開いてるヤツ代表なのだ
(二元論は嫌いだがここではあえて)

今でも”凄く良い”のだが
将来は大群を率いて活躍する姿が今から想像できる

ついでに言うと、彼は美容師家系のサラブレッド
私は田舎のサラリーマン家系
悔しいけど美容師サラブレッドではない
しかし美容師の先輩、人生の先輩として、仔犬からサラブレッドというミラクルな振り幅の彼を丁寧に見守り応援したい

東京五輪で「美容師アシスタント」という種目があったら
彼は必ず金メダリストだろう。

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