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そんなこと僕に聞かれたって

友達にすべきでないのは、病気をしたことがない人。なぜなら人の痛みが分からないから、と書いたのは吉田健康。いや兼好。悩みのない人には、人の悩みが分からない、と書いたのは原田和明。僕のような能天気な人間に真面目な相談をしたところで、まともな回答は期待できないことは、周知の事実です。

しかし、数年に一度、僕のことを知らない人から、人生相談のメールが届くことがあります。あるとき受け取ったのは、こんな内容でした。

僕は3浪中の浪人生です。
勉強にも人間関係にも疲れました。
もう僕に出来ることといえば、
山に篭るかオートマタを作るくらいしかありません。
どうやってオートマタを作ったらいいですか?

なぬー!ふざけたことを!!!しかし、ふざけてメールをしてきたわけではないことくらい、さすがの僕にも分かります。迷える子羊には愛のマジレス。

オートマタは大学に入ってから作っても遅くありません。
今は受験勉強に集中してはどうでしょう?
受験勉強もこれから大学で勉強することも
きっとオートマタ制作の役に立つはずですよ。
大学に合格して、まだオートマタを作りたかったらメールしてください。
力になりたいと思っています。

そんな感じの内容で長々と書きました。我ながら、思いやりに溢れた素晴らしい返信ではないかと、ドヤ顔で送信ボタンをクリック。それから10日以上経って、彼から

了解です。

と一言だけの返信があったときは、そ、それだけ?と椅子からズリ落ちそうになりました。

時々、彼のことを思い出します。今頃、何をしているのだろう?大学には入れたのだろうか?オートマタの世界にはいない気がするなぁ。もしや、山に篭っているのかい?


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