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【FCP2024】視覚障がい者とスタジアム見学

こんにちは(^^♪

今回はツエーゲン金沢と共に行うFuture Challenge Projectについてです

僕も今年は実行委員として関わっていますが、まずは僕も含めて多々ある障害の種類についての基本的な知識や体験談を実行委員で共有しなければ、何を伝えて具体的に何を実行していけばいいのかが見えてこない…

ということで段階的に当事者の話を聴いたり直に接したりする機会を作っていくことになりました

それに先駆けて、金沢市の視覚障がい者協会による視覚障がい者の会員向けのスタジアム見学をお盆明けの8月18日㈰に実施しました
本プロジェクトは最終的には障がいのある方にスタジアム観戦に来ていただくわけですが、目の見えない人にいきなり「試合があるから来てね。ちゃんと介助やサポートするから。」と案内をしても、どんな場所なのか、どうやって行く手段があるのか、どこに何があるのかわからなければ恐ろしくて尻込みしてしまいます
視覚障がいは主に情報障害と移動障害ですから、僕のような熱心なサッカーファンでない限り全力で調べたり情報を得ようとはしないのです
僕たち見えない(見えづらい)視覚障がい者というのは体験と経験の蓄積を武器にどうにか日常生活をおくっています

ならば、その体験をスタジアム観戦の前に作ってしまえばいい

そう考えて僕が視覚障がい者協会とツエーゲン金沢にお願いして実施させていただきました



参加者は金沢駅近くにある視覚障がい者協会(情報文化センターと呼ばれている)からマイクロバスで移動しました
協会スタッフも帯同していますが、視覚障がい者ぞれぞれでご家族だったりガイドヘルパーが同伴しての参加です
ツエーゲン金沢の試合は金沢駅から無料のシャトルバスが運行していますが、この日も日曜日で所要時間15分ぐらいの移動感覚はほとんど一緒でした
着いたらまずは簡単な挨拶をしてさっそくスタジアム入り口に向かいます
こうやってスタジアムのあちこちにちゃんと点字ブロックがあるので、白杖でつついてもらいながら丁寧に歩きます

僕は視覚障がい者がたったひとりでスタジアム観戦をする想定をあまりしていません
僕ぐらいのサポーター歴やサッカー観戦上級者(いや中級ぐらい?)でなければ視覚障がい者がひとりでスタジアムになんて来れません(笑)
必ず家族や友人知人と一緒に来るだろうと想定するなら、極端な話、点字ブロックに沿って歩くのは決して義務にはなりません
介助してくれる方がしっかり言葉で情報を伝えながら障害物などのリスクに配慮してもらえたら、視覚障がい者は点字ブロックに頼らずとも自由に歩けるからです

それでも点字ブロックが視覚障がい者にとって道や施設を覚えるための重要な目印になっていることがあるのでこうした丁寧な案内は必要なのですが



今年から新スタジアムになった金沢ゴーゴーカレースタジアム(以下ゴースタ)には視覚障がい者にとって最大のメリットがひとつあります
去年までの西部緑地のスタジアムでは客席によって入場口が3つに分かれていて、飲食やグッズが並ぶブースがすべて客席からかなり離れたスタジアム外の広場でした
ゴースタは入場口がひとつで、ビジター席を除くすべての席がコンコースで繋がっていて各ブースもぐっと近くなりました
シンプルでコンパクトなこの構造は歩く距離も短くなり、さらに入り口を起点にすればどこに行けばいいかも自分がどこにいるのかもわかりやすい
写真のように入場口を通って最初にホームゴール裏のど真ん中に出ることが決まっていることさえ覚えればあとは何ら難しくありません
ここが陸上競技場だった去年までから圧倒的に利便性が増したポイントなのです(^^♪



実際に客席に入ってもらうとやっぱり気になるのが階段ですよね
介助している方のさりげない気遣いや周囲のアナウンスがあればこそ、視覚障がい者は階段の上り下りがスムーズにできています
視覚障がい者はそんなに前列に拘らないので、ゴール裏は上から3段目ぐらいまでを目安に観戦ポイントにしたらいいのかなと思っています
試合のときは介助している方や周囲にいる方が「こちらが空いてますよ~」って案内してあげると助かりますよね
あとゴール裏には大人がもたれかかるぐらいのフェンスのようなものがあるので、そこにつかまりながらつたって移動できるのは大きなポイントだと思いました



写真はバックスタンドの2階席ですがメインやバックの1階席と構造面で大きな違いはありません
ゴール裏と違ってつかまるところはなく通路は狭いので、視覚障がい者にとって負担が少ない最前列や最後列、つまり入り口に近い座席が観戦ポイントになりやすいですね
ここでみてほしいのが写真のコンクリート部分にある溝です
水が流れていくようにするためのものですが、僕の片足がすっぽり入るぐらいの幅がありました
設計上こうした溝はスタジアムのいたるところにあります
そうそう落ちたりするものでもないですがこれも見えてる人が「ここにちょっと溝があるので気を付けてください」と促すことが大事です
もし万が一にでも見えてない人が不意にこの溝に足をとられた場合、足首を捻って捻挫したり、転びそうになってよろけて膝や頭をどこかにぶつけてしまうかもしれません
ここは重要なのですが、「見えている状態で誤って落ちる」のと「見えてない状態で誤って落ちる」のとでは大きな違いがあります
動物は視覚から危険を感じると反射的に脳から防御態勢をとるように指令が出されますが、それが視覚情報がない人にとっては無防備にダメージを受けるわけですからより怪我に繋がりやすいということになります
健常者にとってはこんな程度のなんてことない溝でも、視覚障がい者にはしっかり溝の存在を意識させておく必要が大いにあるのです


こんな具合にスタジアムを一通り巡ってみて視覚障がい者それぞれの肌感覚で観たり触れたりしながら楽しんでもらえました(^^♪
noteでも書いたことありますが僕はゴースタのホームゲームの雰囲気やピッチとの距離感がすごく大好きで臨場感を感じられます
障がい者であっても驚きや感動や高揚感を感じられる最高のスタジアムだと思ってるので、ぜひスタジアムでの試合観戦を体験してもらいたいと思ってます
そのために視覚障がい者にかぎらずあらゆる障がい者のみなさんがどうやったらスタジアムに足を運んでもらえるかを考えるのが僕たち実行委員のひとつの役割になります


8月21日㈬には実行委員のオンラインミーティングも行われました
「視覚障がい」とはなにかをテーマに僕が基本的なことと自分の体験を交えてお話をする機会でした
先天性で原因不明の視覚障害を持つ僕は視覚障がい者としての教育を受けたことがありません
大人になってから自分以外の視覚障がい者に出会って、彼らと接していく中で視覚障がいの事を知るようになりました
健常者と共に普通学校の教育を受けて育ってきたので僕の経験は健常者と大きくは変わらない…
まったく変わった経験をお話しできないためはっきり言って僕の体験談は薄くてあんまり参考にならない(笑)
いつも少しでも視覚障がい者らしい話ができたらなと思うとつい考えてしまってうまく話せなかったりするのが自分の弱点だなと反省します
視覚障がい者でありながらそれを感じさせない生き方をしてきたのでそれが僕の強みでもあるんでしょうけど…

今度は肢体不自由で車いすで生活をされている方や聴覚障害を持つ方のお話を聴きます
僕もあまり当事者に知り合いがいないのですごく興味があります
興味がありすぎて質問攻めしてしまうかもしれない(笑)

ということで実行委員はこうして着実に一歩ずつ前進しております!

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