雑なる草の名前
朝晩だけでなく、日中も肌寒くなってきて、
外の空気が一気になにかと入れ替わってしまったような気がする。
島全体の緑が落ち着きはじめ、家の周りの雑草も伸び切ったところ。
夏のあいだは、草刈りをした次の日には、もう元に戻る勢いで、
刈れども刈れどもきりがない。
ここの人たちは、庭の手入れをしっかりするし、
庭といっても、基本的に一軒家であるから、手入れする範囲は広い。
お隣はお婆ちゃんが一人暮らししているのに、いつも綺麗にしている。
島食の寺子屋校舎の前には専用農場があって、
自由に育てて自由に収穫してよい様になっている。
自由すぎて、雑草が生い茂り、野菜に覆いかぶさってしまう程。
周りの家と比べると、目も当てられない。
雑草がこれ以上伸びまいといったところで、
農場の草刈りをしてしまおうと思い立ち、草刈り機でブンブン刈り始めた。
気をつけるものの、雑草に紛れた野菜の苗まで、スパッと刈ってしまう。
また寺子屋の生徒に怒られてしまうんだろうな、、と嘆いている時に、
ふと昭和天皇の「雑草ということはない」という話を思い出した。
雑草と一括りにして、刈り取ってしまうのはいかなるものか、
ひとつひとつの草にも名前があるんだといった趣旨の話だった気がする。
ススキは秋の風物かもしれないけど、
その周りに生えている草も秋の草かもしれない。
コンクリートの隙間に生える、頑固な草も少し可愛らしく見えてきた。
そういえば、先日の枝豆収穫の時に、枝豆も植物に見えた記憶がある。
草刈りをした後の晩飯で食べた枝豆が草の色に見えてきて、
その横にあるお米の白さが不思議に思えてくる。
草に悪いやつは、そんなにいないはず。
刈るだけじゃなくて、もう少し眺めてみてもいいかもしれない。
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