コンパクト解説!業務委託契約
※今回は文量が多いため、PDFのみでのご提供です(約2万字)。
ご参考まで、冒頭のみ記載しています。
1 業務委託契約とは
業務委託契約は、文字どおり、一方当事者が他方当事者に対し、自らの業務の一部又は全部を委託する(やってもらう)契約です。コンサルティングやシステム開発など、多くの場面で用いられる契約であり、企業法務に携わる方であれば、必ずと言っていいほどよく目にするものかと思います。
加えて、昨今のフリーランスの増加に伴い、個人であっても業務委託契約を締結する場面が増えてきています。フリーランスとして働く方が仕事の依頼を受ける場合、業務委託契約となることがほとんどです。
この記事では、業務委託契約について、委託側、受託側のそれぞれの視点から、どういったところを中心に検討すべきかを解説いたします。
可能な限り、具体的な条項案にも言及していきますが、委託側、受託側でそれぞれ希望の内容は異なりますし、最後は交渉と全体のバランス(どこを受けてどこを譲らない、という選択は、個々の取引において変わってきます)で決まるものですので、ご紹介の条項案が、委託側・受託側双方にとっての最適解とはならない、という点はご理解ください。
2 業務委託契約の性質
一口に「業務委託契約」といっても、その内容は、大きく二つに分類されます。一つは準委任型と呼ばれるもので、他方は請負型と呼ばれるものです。
準委任型とは、業務の成果にかかわらず、業務をしたこと自体に対し報酬が支払われる形態をいいます。例えば、時給や日給で支払ったり、月額固定で支払う場合が該当します。
請負型とは、業務の成果として、一定の成果物の提出を求め、その成果物に対して報酬が支払われる形態をいいます。そのため、業務全体に対して固定金額で報酬が定められ、かつ、支払いも成果物納品後に一括とされることが通常です。
準委任型か請負型かの区別は、契約書がない場合には法律上の位置づけが変わるため重要ですが、契約書がある場合はその契約書でどう規定されているかによるため、重要度は落ちます。もっとも、準委任型か請負型によって各条項の重みが変わってきますので、その意味で、契約内容を検討するにあたって意識することは有益です。
この記事でも、準委任型か請負型かで、どういった視点を持つべきかにも触れていこうと思っています。
3 業務委託契約の全体像
業務委託契約は、概ね以下のような構成で作成されます。この記事では、それぞれの条項について解説していきます。秘密保持やその他一般条項については、既に別の記事で解説しているため詳細には触れませんが、業務委託契約特有の検討事項にがある場合には、適宜言及しています。
(1) 委託業務
(2) 受託者の遵守事項
(3) 再委託の可否
(4) 委託者からの資料提供
(5) (請負型のみ)成果物の内容
(6) (請負型のみ)成果物の検査
(7) (請負型のみ)契約不適合責任
(8) 権利帰属・成果の利用
(9) 表明保証・紛争対応
(10) 委託料
(11) 中途解約
(12) その他
以上の契約条項とは別に、業務委託においては偽装請負の問題が頻出します。そこで、偽装請負の説明や注意点についても、最後に触れておこうと思います。
4 この記事の構成
実務上、業務委託契約書は委託者がドラフトして提示することがほとんどのため、この記事でも、委託者が提示するであろう条項をまず記載し、委託者の意図を説明した後で、受託者の視点でどう検討すべきかを述べる、という進め方を採用しています。
実際の検討の流れに近いと思いますので、是非、参考にしてみてください。
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