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裁判官弾劾裁判所、裁判官罷免の判決。

令和6年(2024年)4月3日、罷免訴追事件(令和3年(訴)第1号)(令和3年(2021年)6月16日係属)の第16回公判が開催され、岡口基一判事に対し罷免の判決が出されました。

前回の罷免訴追事件の判決宣告が平成25年(2013年)4月10日でしたので、約10年ぶりの公判。日本国憲法の規定が発動し、国会議員がどう役割を務めるかを体感したくて、昨年来傍聴を申し込み、2回ほど抽選で傍聴することができましたが、残念ながら判決の公判は抽選漏れで傍聴することはできませんでした。

新聞記事から、判決要旨の一部を引用したいと思います。

【主文】
岡口判事を罷免する。
【認定した事実】(略)
【一連の表現行為に一体性が認められるのか】(略)
【一連の表現行為が「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」に当たるか】
(略)
 岡口氏はSNSの特性を熟知しながら、他者を傷つけないよう配慮するすることなく結果的に遺族に精神的苦痛を与え続けてきた。裁判官による表現の自由の行使手段としてははなはだ問題があった。
 一方、裁判官が国家権力に対して批判的見地からものを申すことに委縮する状況を招くことのないよう、細心の注意を払うべきだ。その見地から検討すると、殺害事件の9件のうち2件は、司法府内部や裁判官訴追委員会を批判する意図があったと認められるため、裁判官としての表現の自由を尊重すべきだ。
 しかしこの2件を除く行為が、反復して遺族の心情を傷つけ、平穏な生活を送ることを妨げたことは否定できず、表現の自由として裁判官に許される限度を逸脱したと言わざるを得ない。著しい非行と評価できる。
 犬の訴訟の3件は殺害事件の行為と比べて悪質性が低く、非行が著しいとまで評価できない。

2024年(令和6年)4月4日東京新聞第12版6頁

判決そのものが入手できず、要旨の報道しか情報がないので、内容については引用のみで、考えを言及することはしないことにします。

日本の国会は、議院内閣制で、比較法的にも会期不継続原則が厳しく、いわば未来の選択を可処分時間の争奪の中で、激しく論争するところという印象があります。

そういう要素がない裁判官弾劾裁判に国会議員がどう向き合うか。

いろいろと意見はあるかもしれませんが、係属から3年弱、16回の公判という、日本の裁判官弾劾裁判史上、最長の期間、最多の公判数の実施は、国会にとっても大きな経験となったものと思います。

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