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vol.4_フィンランド旅行記①事前準備からロヴァニエミ到着まで

ここまでの3本の記事は、主にTipsにフォーカスしてお送りしてきましたが、ここから先はシンプルに旅行記でお送りします。

あまりにも長くなってしまったので、分割数は未定。目次から気になるトピックに飛んでください。


これまでの記事たち

  1. オーロラハントについて事前に知っておきたいことと、私が行ったオーロラハントについて

  2. フィンランド旅行について事前に知っておきたかったこと

  3. フィンランドの交通事情

  4. 旅行記①出国編←今回はこれ

  5. 旅行記②ロヴァニエミDay1 街歩きとオーロラハント

  6. 旅行記②ロヴァニエミDay2 街歩きと犬ぞり

  7. 旅行記③ロヴァニエミDay3 街歩きとチケットを買いに

  8. 旅行記④ロヴァニエミDay3.5 サンタクロースエクスプレス

  9. 旅行記⑤ヘルシンキから帰国編 (iittala / marimekko / 聖堂 / ミシュラン獲得レストラン / エストニアなど)

  10. フィンランド旅行の総括と今回の支出全額について (€1 = ¥166 の世界線)

初めての海外旅行のようなドキドキを求めて。

初めてパスポートを取ったとき、私は23歳だった。もう9年も前のことだ。行きたい国はどこ?と聞かれれば欧米諸国を挙げるようなタイプだったのに、思いもせずしてカンボジア / タイに行くことになった。その次に自分で行ったのは、確かパリ / イタリアの2カ国だったような気がする。いずれも空港に着いた際のドキドキやワクワクにあふれていた。それが今や、海外旅行でさえ日常の延長線上になってきている。これは、いいのか悪いのか。

23歳の自分にとって国際線、という初めての経験。出来立てほやほやの、なんとも写りの悪い証明写真がついたパスポートを恥ずかしながら使う、なんてことも今ではすっかりない。出国手続き1つ取ったって、新しいスタンプがパスポートに増えるワクワクも薄れてしまった。国内線には存在しない免税店へのワクワクは旅行ではなく、ただのお買い物中毒に付随するもの。基本的に国内線では当然機内食なんて出てこないから、機内でサーブされるご飯だって初めての際には新鮮そのものだった。カンボジアに行った時なんて、到着した空港にボーディングブリッジなんて存在しなかったから、到着してすぐが完璧なオープンエア、土と緑の香りがどこからともなく香ってきて、それから湿度が高くてでも温かな空気に包まれた。
きっと知らない慣習に包まれながら、全く知識のない土地に足をつけたときのあのワクワクは、予想できないものや新鮮な経験にあふれていたから。聴いたことのない言語に触れるだとか、ハブ空港の喧騒とかっていうのは、正直なところもうどこに行ったって大差ない。でも、出会えるかわからないものなら、予想できないものを見にいけば、きっとあの時みたいなドキドキに出会えるんじゃないかと思って、今回オーロラを見に行くことにした。

コロナもすっかり明けてきた2023年後半。JALが海外旅行でもセールを始めてくれた。これまでの金額からすると破格である。長旅ともなれば良い環境で過ごせるにこしたことはない。ここぞとばかりに予約を決めた。

オーロラ。行かないことには見れるかどうかわからないけれど、もし見れたとしたら、きっと自分だけでは感情を持て余してしまいそうだから、誰かと行きたいな。そんな思いで7年ぶりくらいに会う大学の友人を召喚した。「ちょうどウチも見たいと思ってた!なんでわかったん!」とは、心底気のいい友人だ。

これって運命!なんてね。

そんなわけで私の5泊7日の旅が幕を開ける。

ロヴァニエミの大きな川のほとりで友人と。突拍子もない誘いに乗ってくれてありがとう!

世界情勢を感じながら、北欧へ。

最初に調べていた際に、日本からフィンランドに行くにはロシア上空を通り、約7時間とフランス等のヨーロッパへの旅行と比較して短い、と聴いていたのだが、現在は情勢悪化によりロシア上空を通れず、北極点を経由しながら、かなり大回りをするルートでフィンランドまで行くとのこと。よって約12時間の長旅である。

友人は地方在住のため羽田空港で待ち合わせた。今回我々が乗るのはフィンエアーとのコードシェア便。さらにヘルシンキに到着後そのまま同じフィンエアーで北極圏すぐそばの街、ロヴァニエミまで行くことを予定していたためラゲージスルーの手続きをしたかったのだが、羽田ではこの待ち合わせのリードタイムがカツカツになってきたためギブアップ。

登場時間の約1時間前に羽田に二人が集合。出国検査を受けに歩を進めた。

初めてのフィンエアー。安いフライトチケットを購入しておりシートの指定ができなかったため、バラバラになることも想定していたが、幸運にも席は中央の3人席を2人で使えることになった。空の上の12時間中話し続けるのも迷惑だろうし、お互いそういったところはドライな性格なので別々だったらその時はそのとき、という話もしていたが、2人で実質3席使えるのは非常に快適だった。私は普段一人旅することが少なくないので、こういった2人ならではの体験も新鮮だった。

日本で劇場公開を見逃した映画を見つつ、フィンランドについてからの旅程を確認する。私はめっきり旅程管理も事前のリサーチもデジタル派だが、友人が持ってきた旅行雑誌が大活躍だった。オフラインのタイミングや、やはりフレキシブルさは紙媒体、段違いなのである。ここも気になる、ここも気になる、と話しているうちに北極点を通過。

フィンエアーは噂に違わず、機内にちょっとずつフィンランドを香らせていた。思い出すところで3つある。まずはソフトドリンク。フィンランドではポピュラーだというブルーベリージュースのオプションが。国内に入ってからに期待して、ここではまだ我慢。今になって飲めば良かったと思うのがコーヒー!今回の旅ですっかりフィンランドコーヒーの虜になってしまったので、機内でも楽しんでおけば、と後ろ髪を引かれてしまう。国内やアメリカのような薄かったり酸っぱかったりではなく、しっかりと焙煎されたハードテイスト。朝のいっぱいに本当にぴったりだった。

2つ目は所々に散りばめられたマリメッコのフィンエアー特注柄。ウニッコの花柄のイメージがどうしても強いと思うのだが、マリメッコはあれだけではない。ファブリックメーカーの流石の仕事がいろんなところにあしらわれている。例えばご飯の時に出てくるペーパータオルと紙コップ。これも特別に準備されたもの。またビジネスクラスのアメニティもマリメッコ仕様らしい。より生活に馴染みやすい柄が多いことも学びつつフィンランドへの気持ちも高まっていく。

3つ目は北極点を通過した直後に配られた北極点通過証明書にいたムーミンだ。フライトアテンダントさんがやってきたと思うと北極点通過証明書を機内でいただいた。フィンエアーの粋な計らいだ。

映画を見つつうとうとと過ごす。長いはずのフライトは案外あっという間。到着現地時刻はAM4:00。時差ボケをできるだけ調整したいものの、どうしようもない時間帯だ。座席の画面には到着空港の地図や、乗り換え情報が表示される。これから向かうロヴァニエミ行きの乗り場の確認も簡単だ。依然として眠い目を擦りつつ、いよいよヘルシンキへ到着。機内中央列だし、外は暗いしで、まだ外の景色は全く見えない。

空港に到着後、出国手続きと荷物受け取りへと向かう。降りてすぐになんとなく空気が乾いているような気がしてくる。これが長旅によるものなのか、空港という特殊な環境によるものなのか、はたまたフィンランド特有のものなのかはまだ判別できない。到着後すぐに、空港内の通路にフリーのウォーターサーバーが設置してあった。パッと見は、シルバーの水道なのだが、無料で給水できる旨が記載されている。日本以外では初めてだったのだが、ヘルシンキでも水道水を飲むことができるらしく、空港内には複数の給水ポイントが用意されているらしい。何かボトルを持参していれば、水分補給がずいぶん楽になりそうだ。喉の渇きをちょっとだけ感じつつ、眠気を振り払って国内線へと脚を進める。

早朝に到着したため辺りはまだすっかり暗闇に包まれていた。到着は国際線路線だったため、ロヴァニエミ行きが飛んでいる国内線およびシェンゲン協定領域へと移動する。到着箇所から入国検査を受ける間に、ラゲージスルーの手続きをきちんとしていたであろう人々が別列にて手続きを進める姿をちょっと羨ましく思いつつ、どんどん歩いていく。時間も時間だったため、手続きは全てスムーズに進んでいった。

荷物を受け取ったら、次はすぐさま荷物を預けにいく。救いだったのは、次に乗る飛行機も同じ空港内にあったことだ。これで一度外に出て、極寒の地で長く歩く移動がある、なんてことが起きていようものなら早々に心が折れていたかもしれない。
人も少なく道も広い。到着場所から出発場所へサクサク移動する。早朝の時間帯だったが、空港1階のお店はカフェやスーパーはすでに空いていた。スーパーをちょっと物色。個人的にはどの国に行ってもスーパーほど面白いコンテンツはそうないと思っている。人々が生活を営むためのお店では、生きる土台の差を感じられてワクワクする。売っているフルーツのサイズ、フィンランドは生鮮食品やパンが量り売りになっていたのが興味深かった。コンビニのスイーツコーナーのような冷蔵コーナーの最も見やすい位置に、パックに入ったとんでもない量のブルーベリーに面食らう。いったい現地の人はどんな頻度でどんな量のブルーベリーを食べるのだろう。どうもここにはまだサルミアッキは無いようで、お菓子売り場ではイースターの気配を纏うチョコエッグを見つける。ムーミン柄だ。国民的に愛されるキャラクターというと、日本で言うところのドラえもんやキティちゃんのようなポジションだろうか。
同行の友人もやはり空気の乾燥にやられていたようで、指のささくれ対策用に絆創膏を探す。ここでもやはりムーミン柄。なんならムーミン柄しか置いていなかった。

時間を潰しつつ、一通りの目的を達したのでいよいよフィンエアーの搭乗手続きに向かう。スーパーのすぐ正面のエスカレーターを登ると、だだっ広いエリアが広がっている。エスカレーター正面にフライトの時刻表が並んでいる。ほとんどがフィンエアーだ。日本と違い、一切のカウンターが存在せず、左右両方の端に20ずつだろうか?自動の荷物預けレーンが存在している。荷物預けも昨今羽田空港などで見るような、ちょっとしたポッドのような場所に荷物を置いて、蓋が閉まり、重さを測る、などといったものではない。たくさんのベルトコンベアとおそらく荷物の重さを表示しているであろうモニターが並んでいるだけのミニマルな作りなのだ。そしてその正面に航空会社ごとのチェックイン機械が置いてある。
初めて見る預入の仕様にちょっと不安を感じつつ、チェックインを行った。荷物預け入れももちろん必要なので、機械でチェックインに合わせて荷物用のタグを発行する。手元の控えとバーコード付きのキャリーケースに貼るためと思わしきシールが発行される。確かに思い出してみると、キャリーケースを預けた際に、いつも空港のグランドスタッフさんたちが何箇所かにシールを貼っていることは思い出せるのだが、当初は貼るという発想もなく二人であたふた。カウンターはないのだが、あちらこちらにスタッフさんは数名常駐しており、どうすればいいかを確認。空港で荷物を預ける際、都度バーコードシールが貼られていると思うのだが、あれの上に貼ってしまうといいよ、と教えてもらい、キャリーケース上部の3つの違う面それぞれにシールを貼る。旅行から帰ってきて毎回あのシールを剥ぐ人もそう多くないと思うのだが、どうも以前の旅行のバーコードを機械が読み取ってしまうと、機械のエラーが出てしまいやすい。なるほどなかなか合理的なシステム。実は飛行機の番号によって使う荷物預け入れ箇所が決まっていたのだけれど、この精度がよく分からなくて一抹の不安を抱えながら荷物の預け入れ終了。そうそう、このどうすればいいのかよくわからない感じ、こういうのを求めて今回の旅行に出たんだよ!荷物はヨーロッパ近郊より遠くに行ってしまうことはないし、最悪7日後に手元に戻って来ればそれでいいや!とこちらは10年前には持ち合わせていなかった楽観的な気持ちを抱えていざ、次のエリアへ。

ここからはただの国内線の乗り換え。国際線とは全然違う簡単な保安検査を通過。まだ時刻はAM5:00。人は相変わらず少ない。と、思いきや保安検査場通過後、そこには免税店とたくさんの人が!
まず入ってきた人をお出迎えしてくれるのはマリメッコ。さすがフィンランドの空港だ。そして何よりも驚きなのはAM6:00ごろにすでに運営されていたこと。もしかすると24時間営業なのだろうか?他にも一部の免税ショップが開いており、次のロヴァニエミ行きの飛行機に乗り込む6:30ごろには、ほとんどのお店がオープン状態だった。日本の多くの空港は24時間営業していないと思うのだが、24時間365日稼働する空港のパワフルさを思い知らされた。
パワフルさと共に感じたのは、空港のデザインに温かみを感じるということ。空港というよりもショッピングモールに近しい印象を受けた。それぞれのお店の特色を出すことが許されているからだろうか?どことなく温かみや親しみを感じるのは、全体的に木が見えるような温かみのある色使いだからだろうか?フィンランドというとデザインがよく話題に上がるが、こういったところにもその精神が溢れているのだろう。
また空港内のムーミンショップの正面にはニョロニョロがうじゃっと生えていた。いいフォトスポットだ。フィンランドっぽいもの、の代名詞ムーミンのキャラクターに出迎えられて思わずにやり。
引き続き人の動きを眺めながらうろちょろ。今回の旅のバケットリスト (やりたいことリスト) のうちにある、フィンランドの陶器 / ガラスブランドを買うこと、の下調べとしてちょっと立ち寄ってみる。なかなかかわいい。どれを買うかはまだ未定。旅の中で見つけていこうと心の中で書き留める。
友人は到着早々ベンチで待機していた。一方私はムーミンショップまで同行したのち、一人で空港内をふらついていたが、ううーん、どうにも眠い。私もベンチに向かうことにする。
次に向かう、北極圏沿いの街、ロヴァニエミへ行くフライトは、保安検査場通過してほぼ真っ直ぐ、正面に位置する乗り場から搭乗する。搭乗口すぐそばのベンチに腰を下ろし一息。と、どうにも眠気だけは遠くへ行ってくれない。今晩のアクティビティの予約をギリギリまで続けながら、眠気をなんとなく誤魔化し続ける。いったいどうすればオーロラが見えるのか、ひたすら悩み続けるのだが、おそらく悩んでも結論は出ない。分かってはいるが余りにもオーロラを見るアクティビティプランの種類が多すぎるのだ!
オーロラ専門のハントをしに観光バスに乗った方がいい気もするし、でもシベリアンハスキーの犬ぞりや、トナカイソリも気になる。スノーシューは運動にもなるらしいし、ちょっとした森の中で星を見ながらそんなことができればさぞ気持ちも良いことだろう。湖の上を歩く、みたいなまず持って日本じゃできないことも非常に気になる。
今晩の予定だというのに悩み悩みしてしまうのは自分の悪癖だ。AM6:00ごろ、ようやく空が白み始めた。先程までは真っ暗闇で、ベンチすぐ後ろの大きな窓は空港内の反射を鏡のように映すばかりだった。それが今、ようやく景色が見えるようになった。正面にだだっ広いコンクリの滑走路が広がっており、その向こうに背が高くて、シュッと細く尖った葉の木々がたくさん見える。木々はもっさりと白い雪を被っていて、外がどれほど寒いものかと思わず緊張してしまう。植生ほど圧倒的な気候の違いを明確に見せてくれるものもなかなかない。九州育ちの自分にとってはすごく珍しく感じる。雪山にあるのともちょっと違う、それよりも灰色がかっていて、それでいて葉は元気に上向いている木。天気も良いし、この後のロヴァニエミ行きのフライトではヘルシンキの街並みを上から見られるかもしれない。大自然を見られるという期待に胸を膨らませつつ、同時に早く機内で寝かせてくれと願う。
おっと、ようやくようやく搭乗出来そうだ。

なんだかとっても長くなりそう!今日はここまで。Have a good dream.

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