第二編 身体第五章 生理及びその強健法
消化作用
消化作用とは
我々の食べた物を
胃腸や肝臓や膵臓
その他の消化器官の機能によって
或いは消化し、或いは身体に吸収して
我々の肉体に化してしまう
ことをいうのである。
呼吸作用
横隔膜や
内外助関節等の伸縮運動によって
呼吸が起こるのであるが、
空気が鼻腔器官、気管支等と通って
肺に達すると、
肺の機能で
空気中の栄養物なる酸素は
身体に吸い取られるし
また、身体に生じた老廃物なる炭酸ガスは
肺内に出されて
そして呼気とともに
体外に吐き出されてしまうのである。
このように重要な栄養分を空中から取り、
また有害な炭酸ガスを体外に捨てる働きを
呼吸作用というのである。
循環作用
我々が食べて
消化されて栄養分となった物や
また呼吸作用で
空気中からとった酸素を
全身に適度にこれを配達したり
あるいはまた、
全身に生じた老廃物を
運搬して片付けたりする作用を
循環作用というのである。
この重大な任務を果たしているのは
心臓・血管・血液等である。
排泄作用
身体には絶えず老廃物ができる。
これを体外に捨てる機能を
排泄作用というのである。
気体の老廃物は
前述の通り呼吸作用で体外に排泄されるが、
他の老廃物は主として
血液中に入り腎臓に行き、
の老廃物は
小便となって排泄されるのである。
脳・脊髄・神経作用
我々の一切の生理的機能は、
脳・脊髄・神経の
連絡ある作用によって
司られているのである。
以上述べた諸作用は
我々の生理的機能の
極概略を述べたに過ぎないのであるが
以上述べた諸作用は
我々の生理的作用中の
主要部であるのであって、
これらの作用が完全に営まれていれば
身体の健康は保持されるのである。
故にこれらの作用に
故障の起こらぬように、
日常注意が必要である。
かつまた
それらの器官を
強健にすることが
肝要である。
脳・脊髄・神経の健康法
適度の運動と
充分の睡眠が最も必要である。
睡眠は8時間で充分という者もあり、
あるいは6時間で適当という説もあるが、
結局各人の生活状況や
年齢の差異によって
一定には論ぜられないのである。
すなわち、
発育ざかりのものは
長時間の睡眠をとる必要があり
老年の者は
短時間の睡眠で足りる、
また同じ者でも
疲労したときは
長く睡眠を取る必要があるのである。
入浴や冷水摩擦もよい、
ことに冷水摩擦は
神経系統を強くするに
効果があるのである。
酒や煙草は
人体の発育を害し
ことに脳力を害し
神経系統の病にかかりやすくなる
のみならず子孫にまで
影響するものである。
精神病者の多くは
その親が酒飲みであるとのことである。
故にまず
身のためにも子孫のためにも
酒や煙草は止めたほうがよい、
止めることができない者は
後で述べる悪癖矯正法を実行すれば
必ず止めることができるのである。
さらに恐るべきものは梅毒である。
これが脳や脊髄に入れば一大事である。
いわゆるヨイヨイになったり
白痴になったりするのである。
消化器系の健康法
過飲過食せぬこと、
冷たいもの、熱いものは避けること、
帯その他によって腹部を圧迫せぬこと、
時刻を定めて食事をとること、
煙草や酒(少量の酒は差し支えなし)は
消化器系の官能を妨害するものであるから
よしたほうがよいのである。
またいかに滋養物でも
それを嫌う者は食べぬほうがよいのである。
食事後一時間くらいは
身体的の運動も精神の疲労も避けたほうがよい。
要するに食事後一時間くらいは
精神的にも肉体的にも
休養が必要である。
なお適度の運動と睡眠とが必要である。
呼吸器系の健康法
いかに塵芥の多い空気の所でも
我々は呼吸を休んでいることは
できぬのである。
また結核菌等が
目に見える物ならば誠に都合がよいのであるが、
これまた目に見えず
しかしてこの恐るべき結核菌が
人の多くいるところの空中には
うようよ飛んでいるのであるから、
これを絶対に避けるということは
ほとんどできないことである。
故にかくのごとき病菌を
体内に吸い込んでも
これに侵されないところの
強い呼吸器の持ち主となっていることが肝要である。
それにはまず
新鮮の空気のところで深呼吸運動、
腹式呼吸等を実行することもよい、
冷水摩擦もよい
適度の運動と睡眠も必要である。
なおまた、鼻毛は剃らぬほうがよいのである。
循環器系の健康法
排泄機能の中で
最も肝要なものは泌尿器である。
すなわり、腎臓、輸尿管、膀胱、尿道等である。
この器官は
血液が集めてくる身体の老廃物や
病原体を体外に排泄する作用をしているのである。
その健康法としては、
寒冷にあうことを長く続けることは避けること、
麦酒、酒類、珈琲、茶等の刺激のある飲み物の
多飲を避けることなどである。
以上述べたる健康法は、
その大要を述べたにすぎないが、こ
れらの健康法は、
世人一般に識られている方法で
別に本会独特の方法ではないのである。
そしてこれらの方法は積極的味に乏しいのである。
現代の我々はいかなる辛苦にも耐え、
またいかなる難関をも突破し得る
強健なる心身の保持こそ
万人の望む所なのである。
それには幾度も述べた通り、
身体の支配者なる
精神を鍛えることが
重要なる事である。
この点から申すなれば、
以上述べた健康法では
理想ではないのである。
無論右は
生理的の健康法として
参考に述べたにすぎないのである。
本会で指導する心身鍛錬法は、
精神を鍛えると同時に
身体の生理的各機能も積極的に強化する方法を
最も合理的にかつ最も簡易化したものである。
しかも
立式、座式、仰臥式の三様式があるので
多忙の者は忙中の一閑を利用することもでき、
また床についてからでも
その後2,30分を割いてすればよいのである。
また、いかなる病人でも
寝たままで実行できる、
故に万人向きの
理想の健康法であり鍛錬法であるのである。
そしてこの鍛錬法は、
この指導書の読めるものには
第二期の指導書を見れば
容易に修得できるのであるが、
直接指導を受けたい者は
来会の日時とその目的とを本会に伝え
会長の都合を照会してから
来会するのがよいのである。
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