メドレーが、クラウド電子薬歴「Medixs」を運営するアクシスを約80億円で買収。クラウド電子薬歴戦争は今後どうなるか?
はじめに
2025年1月23日にメドレー社が、「アルフレッサ社と提携」及び「アクシスルートホールディングス社のグループ化」の二つを発表をした。説明資料と適時開示資料はこちら。
説明資料:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4480/tdnet/2550985/00.pdf
適時開示:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4480/tdnet/2550984/00.pdf
内容としては、クラウド電子薬歴「Medixs」を運営するアクシスルートホールディングスを約80億円で買収、完全子会社化し、アルフレッサと提携してMedixの販売促進を行うというもの。
本ニュースと、今後のクラウド電子薬歴の競争環境について考察したいと思う。
クラウド電子薬歴の浸透率と市場環境
医科と異なり、薬局での電子薬歴浸透率は90%超えと非常に高い
電子薬歴の浸透率は、厚生労働省から発表されている「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」(平成31年3月発表)によると2019年時点ですでに83.6%。
また、市場調査会社のシード・プランニングによると、電子薬歴の普及率は2025年には90.8%、2030年には93.1%に達すると予測されている。つまり、ほぼすべての調剤薬局が電子薬歴を導入することを示唆している。
2024年3月末時点で、薬局数は62,828軒で微増している。
ちなみに電子薬歴は、医科の場合は電子カルテに相当するが、電子カルテの浸透率は、400床以上の大病院では91.2%と高い普及率を示しているものの、クリニックにおける電子カルテ浸透率はようやく55%を超えた程度。今後電子化する予定なしとしているクリニックが4割もいる。
この違いには、薬局の場合、クリニックと異なり大手チェーンも多い。クリニックの医師やスタッフの平均年齢が高く薬局と比べてITリテラシーが低く、かつ、地方ほど立地で収益がほぼ決まるので、紙カルテから電子化に移行するメリットを考えていないなどがあるのかもしれない。
というわけで、イノベーター理論でいくと、市場としてはすでにラガード(市場の中で最も保守的な消費者層のこと。新商品には興味関心がなく、受け入れたくないとも考えている層)にまで進んでいることがわかる。
主要プレイヤー:カケハシ・EMシステムズ・アクシス・ソラミチ
さて、ここからは電子薬歴の主要プレーヤーを見ていく。電子薬歴市場はすでにレッドオーシャンで、小さなプレーヤーも含めると20以上のサービスがあるが、ここでは、カケハシ・EMシステムズ・アクシス・ソラミチの4つを取り上げたいと思う。
カケハシ:大手チェーンを中心に7000店舗以上提供するスタートアップ
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