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【選挙】東京都知事選の珍百景:ポスター問題と政見放送、地上波vsネット

はじめに

2024年7月7日に行われる東京都知事選だが、選挙ポスター掲示板と政見放送が、かつてないほど珍百景になっていて、神田外語大学で講師を務めるジェフリー・ホール氏が東京都知事選のカオスぶりを、世界に発信しているのが目に留まった。

ほぼ全裸の女性の選挙ポスターを掲示板に貼った問題について、イーロン・マスク氏も「Bold(大胆な)」とリプするなど、注目を集めている。

これに対して、「日本は終わった」「世界の恥」という日本人のコメントがある一方で、「Japan is Crazy」「なんて表現の自由が保たれてるんだ(中国)」「これが真の民主主義だ」などと引用ツイートしている外国人もいた。

今回は、ポスター問題と政見放送についてどうしてこんな珍百景になっているのか、気になったので調べてみた。

供託金300万円で誰でも立候補可能

今回の東京都知事選では史上最多の56人が立候補している。前回も最多で22人だったが、それまでと 比較すると、今回がいかに候補者が増えたかがわかるだろう。

現行公選法では、選挙を利用した売名行為を防ぐ目的で供託金制度が設けられている。知事選の場合は1候補者につき300万円をあらかじめ供託し、得票が有効投票数の1割未満であれば供託金は没収され、都に納められるという仕組みをとっている。ちなみに、300万円に設定されたのは1992年。

前回の都知事選では、22人中、当選した小池百合子氏を含む3人をのぞいた19人が没収の対象となり、合計額は5700万円に達したとのこと。 現在の東京の人口1400万人に対して、毎回の得票率が最近は50%前後(平成以降は40-60%の間を推移)であることを踏まえると、仮に有効得票率を95%とした時に、供託金没収にならないためには、1400*0.5*0.95*0.1=66.5万票取らないといけない。

かなりの数字であり、今回もほとんどの候補者が没収対象となるだろう。300万円が高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだろうが、供託金制度にもかかわらず乱立が起こるのは、街頭演説や政見放送で得られるPRの効果が強いと判断しているからだと考えられる。

巷では、供託金を現行の10倍の3000万円に引き上げろ!との声も見られるが、供託金により立候補を制限するのは選挙権の侵害にもつながるので、望み薄だろう。

かつてはフランスとカナダも供託金制度を導入していたが、フランスは1995年、カナダは2018年に廃止した。G7の他の国、米国、ドイツ、イタリアには供託金制度はない。なお、英国の供託金は国政選挙でも10万円に満たないほど少額である。現状すでに、日本だけが先進国の中で高い供託金で突出している。

NHK党による掲示板ジャック

さらに今回、現状の公職選挙法の盲点をついて、NHK党が掲示板ジャックを進めたことで、選挙ポスターの珍百景が加速化した。

そもそも現行の公職選挙法は、「立候補者が自分をアピールするために自分の顔写真とアピールする政策を掲げたポスターを選挙ポスターとして使用する」というのを想定しており、下記になっている。

  • 選挙ポスターは他候補への応援や虚偽の内容でない限り、原則として内容は自由

  • 選挙ポスター枠の販売行為に関する規定はない

上記、選挙法の盲点をついて、「賢い」NHK党の立花氏は

  • NHK党にに寄付すれば、都内に約1万4000か所ある選挙ポスター掲示板のうち1か所を選んで、自身で作成したポスターを貼れる。

  • デザインや内容は原則、寄付者の自由で、自分や知人の氏名、犬の写真でも掲載できる

  • 寄付額は1口5000円以上、6月以降は1万円以上

というように、選挙ポスターを広告枠として貸し出すという、誰も想定していない手法を編み出した。

1口1万円の場合、1億4000万円の寄付収入が入ることになり、NHK党が候補者30人分の供託金(1人300万円)を支払っても、5000万円の利益が出る。つまりビジネス的にもWinである。

1口1万円という、気軽に手に出せそうな金額にまで細分化したのが秀逸だと思うが、実際にそこまでしてPRしたい人がいるのかなとも思っていたが、犬やホスト、AV、デートサイト、詐欺サイト誘導のQRコード設置など魑魅魍魎状態となっている。

なかなかオフラインで人の目に止まる広告を出すとなると、バス広告・電車中吊り広告、看板広告とかになり、どれも数十万からと高いので、普通に民間企業のビジネスのマーケティング単体で考えれば、やってみるかとなってしまうのも分からなくはない。

NHK党のホームページに、『あなたの愛犬も選挙ポスターにしてみませんか?』というタイトルのYouTubeが掲載されており、実際に立花氏が犬のポスターを貼っている姿が流されている。

選挙に関心を持ってもらい若者の政治参加を促したいという意図と、NHK党は小池さんや蓮舫さんと比較すると、地上波ではどうしても報道されにくいので、奇抜な方法をとらざるを得ないという意図からのこと。ちなみに立花氏的にも掲示板ジャックできるのは今回が最後かもしれないと述べている。

巧妙だなと思うが、次回の都知事選までに公職選挙法を改正できれば取り締まられるかもしれない。

地上波 vsネットとなった今回の都知事選

さて、今回の都知事本命とされているのは、小池氏・蓮舫氏・石丸氏の3人だろう。新旧対決というのもあるが、地上波 vs ネットという図式が浮き彫りになり、7/7の投票結果がどうなるかも実物である。

新興メディアの1つであるReHacQがYouTubeのライブ配信という形で、6/24日の21時〜22時半の1時間半にかけて、小池氏・蓮舫氏・石丸氏・田母神氏の4人を呼んで政策討論会を行なったのも衝撃的だったし、自分もリアタイで見ていたのだが、、、

続きはこちらで記載しています。


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吉永和貴
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