ちょっぴり怖い話(バイクの事故)

景気が良かった20年以上前に、週末はよく朝方まで飲んでいたことがありました。
その時、確か季節は秋で、朝の5時頃には街は明るくなっていました。

近所に住んでいる友人と一緒に、繁華街からタクシーで帰ってきました。
大通りでタクシーを降り、住宅街に入っていきます。

人通りはまったくありません。
鳥のさえずりが聞こえてくるくらいです。

どこからか、小型バイクのエンジンの音が聞こえてきます。
きっと新聞配達なのだろう。
そう思いながら歩いていると、前方から新聞配達のバイクが姿を現しました。

道の中央を歩いていたため、ぼくと友人は道の両端に寄りました。
その間を、カゴに新聞紙をたくさん積んだバイクが走り抜けていきました。

そしてすぐに、大きな衝撃音が聞こえてきました。
バイクが事故を起こしたのだろうと、友人とほぼ同時に振り返りました。

しかし、さっきのバイクはどこにもいません。
あんなに大きな衝撃音が響いたのに、事故の形跡がありませんでした。

バイクが走っていった方向に数十メートルも歩くと、カードレールの一部がへこんでいる箇所がありました。
そこに献花があり、最近事故が発生したのかなと思わされる光景でした。

数日後、近所で聞いた話では、新聞配達の男性がハンドル操作を誤り、その場所で事故を起こして亡くなってしまったそうです。

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