ちょっぴり怖い話(車椅子の音)

これは職場の友人が体験した話です。

彼は毎週土曜日に、住まいの近くにある福祉作業所へ、ボランティアとして通っていました。

ある土曜日の夜、自宅でくつろいでいて、スマホがないことに気づきました。
きっと作業所に忘れてきたのでしょう。

作業所の鍵は持っていたので、彼はスマホを取りに行きました。

夜の10時過ぎ。もちろん作業所には誰もいません。
誰もいない建物は気持ち悪いものです。

この日に受け持った部屋に入ると、棚の上にスマホが置いてありました。
スマホを手に取ると、部屋の照明を消し、廊下に出ようとしました。
すると、どこからともなく、古い車椅子のような、車輪の軋む音が聞こえてきました。

部屋の出入口で耳をすませると、右方向から音が聞こえてきます。

誰かが残っているのかもしれない。
一瞬そう思いましたが、どこの部屋も真っ暗で、そんなはずはありません。

軋む音はだんだんと近づいてきて、目の前を取り過ぎました。

怖くなってしまいましたが、音が聞こえなくなるのを待ち、走って作業所から逃げ帰ったそうです。

後日、職員の方に確認したそうですが、作業所に車椅子を利用する方がいたことは、今までに一度もなかったそうです。

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