ちょっぴり怖い話(修学旅行で宿泊したホテル)
これは、知人女性の美希(みき)さんからお聞きした話です。
高校の修学旅行のときに体験した話なので、もう10年ほど前のことになります。
美希さんは修学旅行で、とある都市のホテルに宿泊しました。
2人部屋で、仲の良かった沙絵(さえ)さんと同室でした。
夕食後に部屋で寛いでいると、夏海(なつみ)さんからスマホにメッセージが届きました。
「暇だからこっちの部屋に遊びに来なよ」
美希さんは沙絵さんと一緒に、夏海さんの部屋に遊びに行きました。
部屋に入ると、室内の空気が重く感じられました。
なぜかいやな気分になったそうです。
夏海さんと同室の祐里(ゆうり)さんもいました。
4人でたわいもない会話で盛り上がり、スマホで写真を撮ったりしていました。
なんでも、美希さんは沙絵さんが部屋に来る前、班長会議に行っていた祐里さんがいない間に、部屋の照明を暗くして、ホラー映画のテーマ曲を流していたそうです。
祐里さんは夏海さんを、笑いながら睨みつけていました。
班長会議から戻ってきたとき、ほんとうにびっくりしたそうです。
「ほんとうに怖かったんだからね」
消灯の時刻が近くなり、美希さんと沙絵さんは自分たちの部屋に戻りました。
寝る用意をしていると、スマホに夏海さんから写真が送られてきたそうです。
『心霊写真が撮れたんだけど!』
送られてきた写真を見ると、美希さん、沙絵さん、祐里さんが並んで写っている写真の、沙絵さんと祐里さんの間に、見知らぬ女性の顔がうっすらと写っていました。
美希さんは沙絵さんにスマホの画面を見せました。
沙絵さんは本気で怖がっています。
その後、先生が見回りに来て消灯となりました。
さっきの心霊写真が気になってしまい、二人ともなかなか寝付けずにいました。
すると、部屋のトイレからカラカラとペーパーを引き出す音が聞こえてきました。
薄暗い部屋の中で、二人は顔を見合わせました。
お互いに表情は不安でいっぱいです。
そしてトイレから、水を流す音が聞こえてきました。
怖くてトイレに確認に行くことはできず、スマホで夏海さんに連絡しようとしました。
スマホでコールしているのですが、電話に出てくれません。
もうぐっすり眠ってしまっているのかな?
電話するのはあきらめ、このまま気にしないで眠ってしまおうと考えていたとき、スマホに着信がありました。
通話ではなく、メッセージの着信でした。送信者名や番号は何も表示されていません。
メッセージを開いても、何も書かれていませんでした。
その時に気づきました。メッセージの送信日付が、3年後の未来になっていたのです。
沙絵さんにスマホの画面を見せようとしたのですが、すでに眠ってしまっていました。
仕方なく、美希さんは布団を頭までかぶって寝ました。
翌朝、夏海さんの部屋に行くと、たいへんなことになっていました。
だいぶ体調が悪いようで、祐里さんが先生を呼びに行っていました。
夏海さんは高熱が出てしまい、先生に付き添われて病院に行くことになってしまったのです。
夏海さんはその日の夜には回復して、ホテルに戻ってきました。
思っていたよりも元気そうです。
昨日の夜のトイレの話と、夏海さんに電話した話をしました。
夏海さんは、その時刻にはまだ起きていたと言います。
スマホの着信履歴を確認してくれたのですが、美希さんからの着信はありませんでした。
トイレには誰がいたのか?
美希さんは誰に電話をかけていたのか?
未来から届いたメッセージは?
不思議なことがたくさん起こった修学旅行の夜だったそうです。