ちょっぴり怖い話(街で会った同級生)
これは、学生時代の同級生からきかされた話です。
彼は、都内にある実家で、両親と一緒に暮らしていました。
実家はお蕎麦屋さんで、両親が営んでいました。
彼も仕事が忙しくないときは、出前や皿洗いなど、家業を手伝っていたそうです。
ある夜、仕事終わりに自宅の最寄駅から歩いていると、前から歩いてきた男性に声をかけられました。
その男性の顔を見ても、誰なのかすぐにはわかりませんでした。
「おれだよ。Aだよ。○○中学で同じクラスだったじゃないか」
そう言われて思い出しました。
中学のときの同級生です。
おとなしい生徒で、あまり目立つことはありませんでした。
「久しぶりじゃないか。この近くに住んでたのか?」
なんでも、来月に中学のときの同窓会が開かれるそうで、その準備のために地元に戻ってきているというのです。
同窓会が開催されるというのは初耳でした。
誰からも連絡が来ていません。
「幹事がXXXXだから、連絡してみてくれよ」
幹事の携帯の番号を教えてもらい、同窓会でゆっくり話そうと約束をして別れました。
彼は帰宅後、幹事にメッセージを送信し、同窓会への出席が決まったそうです。
同窓会の当日、20名くらいの同窓生が集まりました。
中学生の頃の思い出話や、最近の近況などをききながら、おいしい料理を食べました。
そして、幹事から声をかけられました。
「そういえばさ、急に携帯に連絡くれたけど、誰からきいたんだ?」
「いや、駅の近くで偶然、Aに声をかけられたんだよ。『来月同窓会があるから来ないか?幹事はXXXXだから連絡してみてくれ』って」
一瞬で場が静まりました。
なにか変なことを言ってしまったのかなと思った瞬間、XXXXが口を開きました。
「Aは中学のときに亡くなってるじゃないか」
あっ
言われて思い出しました。確か中学3年の夏休みに事故で亡くなっていたはずです。
帰宅後、押し入れの奥から卒業アルバムを引っ張り出しました。
卒業生の集合写真に、Aはいませんでした。
また、声をかけられた時のAの顔を思い出そうとしたのですが、まったく思い出せなかったそうです。
子供の頃のままの姿のAと、そのとき会話していたのかもしれません。