値崩れは突然に?〜BtoBビジネスの場合〜
kazooです。mentoというスタートアップで事業開発/セールスを担当しています。
noteでは、主に人間の熱量やモチベーション、そして人と人との関係性に焦点を当てながら、組織や人の営みの本質について思いを馳せています。
さて、今回は「BtoBのビジネスにおいて、値崩れは階段状に起こるのでは?」ということについてしたためます。
例えば、企業が依頼する「研修や講演」って一昔前からほとんど価格が変わっていないのではないかと思います。
「参加者に知識や知恵を伝える」「参加者のモチベーションを高める」「同時に受講する人に共同体験をさせる」あたりが目的かつ提供価値だと思うのですが、世の中の変化や、テクノロジーの発達によって提供できる価値の絶対値は間違いなく変わってきているはず。
それなのに相場が変わらずまかり通るのではなんでなんだろう?と素朴な疑問が生じたので、考えてみました。
BtoBとBtoCの違い
ビジネスの世界において、価格の変動は消費者行動や市場環境に大きな影響を受けます。特にBtoB(企業間取引)とBtoC(企業対個人)の違いは顕著で、意思決定のプロセスや価格変動の起こり方に大きな差があります。
BtoBは価格変動が起こりにくい?
BtoBの取引では、長年採択されているサービス価格が大きく変動することは稀です。その理由のひとつは、意思決定者や意思決定プロセスの変化が少ないことにあります。
意思決定の保守性
BtoBでは、意思決定者が保守的であったり、過去の前例を踏襲する傾向が強いため、大胆な価格変更が起こりにくいのです。また、最終的なアウトプットが明確でないサービス(ex.研修や講演のROIは明確ではない)では、価格の妥当性が曖昧になり、価格を変えるタイミングを掴みにくいという特性があります。スイッチングコストの高さ
サービスや製品を変更する場合、取引先を変えること自体がリスクとして認識されるため、価格よりも「慣れ」や「安定性」が重視されます。これも価格の硬直性を生む一因です。(ex.慣れ親しんだ講師だと安心)
BtoCは価格競争が激しい世界
これに対し、BtoCでは個人の意思決定が主体となるため、良いもの以外は市場から淘汰されやすい傾向があります。
例えば、子供向けのクリスマスプレゼントを考えてみましょう。(今年の次男向けのプレゼントです)
高性能なロボットが5,000〜6,000円で購入可能
ひと昔前では考えられない価格で機能性の高い商品が提供されています。圧倒的な価値を提供する商品か、低価格でそこそこの価値を持つ商品が選ばれやすく、価格と性能のバランスがシビアに評価されます。これにより、商品は短期間で選別され、競争が激化する構造があります。
BtoB変化のタイミングは「意思決定体制の更新」と「外圧」
BtoB市場においても、価格変動が起こるタイミングがあります。それは主に以下のような状況です。
意思決定体制の変更
新しい経営者やプロジェクトリーダーの登場により、意思決定の基準が見直されるとき、価格の見直しが行われやすくなります。外圧の影響
外部環境の変化、例えば市場競争の激化や規制の変更などにより、価格やサービス内容が再定義されることがあります。特に、データ活用が進む時代では、サービスの最終アウトプットを定量的に示す手段が増えてきています。これにより、価格の妥当性が評価されやすくなり、見直しが加速することもあります。
BtoB価格の変化は「階段状」に起きる
BtoBの価格変動は、BtoCのように緩やかな変化ではなく、「階段状」に起こりやすい特徴があるのではないかと思います。これは、前述の意思決定体制の変更や外圧の影響が一気に価格を動かすことに起因します。
さらに、近年では外部環境の変化スピードが増しているため、こうした「階段」の間隔が短くなっている可能性があります。
まとめ
BtoBビジネスでは、価格変動が起こりにくい環境が長年続いていました(私の知る限り)。しかし、上記のとおり意思決定体制の変化や外圧の影響、テクノロジーの進化によって、価格と提供価値の関係が再構築される時代が近づいているのではないかと思います。
(ex.研修・講演は生成AIの登場によって、提供価値を変えることが求められそう。例えば学ぶ意欲を喚起することに特化する、など。詳細は割愛します)
値付けをする立場では、「利益やコスト」の目線を意識しがちですが、本当に提供価値に見合った価格なのかには注意を払えると階段状の変化に巻き込まれずに済むのでは?と思いました。
本質的なものを好む自分としては、素敵な時代に突入していきそうでワクワクしています!