~来たぞ われらの ウルトラマン~昭和40年代男が観た「シン・ウルトラマン」※ネタバレあり
本日=令和4年5月13日にめでたく封切りとなった、庵野秀明制作・脚本、樋口真嗣監督「シン・ウルトラマン」
早速初日一回目IMAXで観てきましたよ!
いや、行くでしょ、ウルトラマンだよ?IMAX+EXEシートでお一人様3300円の大枚払って観てきました!
観終わった時の感想としては…樋口監督と庵野氏に、いいように転がされましたよw
さすが両名ともオタクを拗らせて映画作りはじめちゃっただけあるわ。概ね同じ時代を生きてる昭和40年代男なんざ、赤子の手をひねるようなモンですよw
もうね、映画始まって東宝マークとか円谷ロゴとか株式会社カラーとか一通り出たあと…
※この先ネタバレ要注意です!※
銀幕に映る見覚えのあるマーブル模様と、IMAXの立体的スピーカーシステムから流れてくる聴き覚えのある♪ピッシャ!ズィーン!♪という効果音
そしてマーブル模様が左右二軸の渦になってぐるぐる回ると…”シン・ゴジラ”の文字が!
そして次の瞬間、これがバリーンんと割れて、赤地に白の、あのフォントで”シン・ウルトラマン”!
ここから畳み掛けるように聞こえてくる
♪デドデドデドデドデドデドデドデド デデン デデン♪
そう!ウルトラQのテーマ!
ほらもう、この僅かな時間で昭和40年代男のハートはガッチリ鷲掴みですよ。
そして次の瞬間にはもう禍威獣(今作内ではカイジュウをこう書きます)が出てくる気前の良さ!
ここから物語の骨子というか設定の説明的な映像。どういう風に禍威獣が現れてきたか、禍威獣と呼び始めた理由、禍威獣と戦う”禍特対”設立の経緯等々…ここらへんにもウルトラQネタ初代マンネタが満載!
そして遂にネロンガ登場!ウルトラマン登場!と相成るわけです。
ここからはもう、ネロンガから始まってガボラ、ザラブ星人、ニセウルトラマン、ときまして…予告でも出ていた山本耕史のメフィラスが来て、そして噂では出てたけどまさかそりゃねぇだろう…と思っていた
巨大長澤まさみ!
まぁ考えてみたらメフィラス星人出すのに巨大フジ隊員が出ないのはイカンよね。
世のオタクはそんな片手落ち許さないよね。
何しろほら、現代アートにまでなった巨大フジ隊員だもの。
そして山本メフィラスとウルトラマンこと神永新二が居酒屋で枝豆なんぞつまみつつ話す場面は、この場面のオマージュな気がするのよ!
四畳半と居酒屋という違いあれど、このギャップ感は共通項。
しかも居酒屋のBGMが五木ひろしの”小鳥”!
この曲、’74年TV版日本沈没の挿入歌!
日本沈没と言えば、樋口監督も撮ってましたなぁ…エンドロールが始まったところで半券ちぎりながら椅子立った思い出…いやぁひどかったw
原作と初期映画、TV版を観て育った者からしたら冒涜以外の何物でもない作品だったわ!
…閑話休題…
まぁそんな感じにオタク心をグイグイと鷲掴みにしたまま、物語は終盤に向かうのですよ。で、最後に出てくるのはやっぱりゼットンなんだけど…
この登場は度肝を抜かれた!
まさかのゾフィーが地球人類を滅亡させるために放った最終兵器=ゼットンなの!
おいゾフィー!てか、劇中じゃ”ゾーフィ”と呼ばれてたか、まぁいい。てめぇこのやろー!お前ウルトラ兄弟の長男坊だろうよ!
なんて驚きを見つつ、やっぱりというなんというかウルトラマンはゼットンにやられちゃうのです。
そして最後にゼットンを倒すのは、ウルトラマンの力と人間の叡智を合体させた作戦なのよ。
この作戦に至る経緯も、ウルトラマンで育った世代には忘れられないイデ隊員の名台詞「僕はウルトラマンがいれば十分だと思うな」という無気力な言葉がキーになってくるのよ。
そして最後の最後…ゾーフィもまた、あの名台詞を吐く
「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」
もうね、ここまでオマージュされたらもはやリメイクの域じゃねーの?ってくらい痒いところに手が届きまくっちゃうの!
でね、この作品を観終えて改めて思ったのは、あの頃=ガキの頃~ある程度大人になるまで、なにか心の隅っこでモヤモヤしてた疑問とかに答えてくれてるのよ。
禍威獣が日本にしか現れない理由(初代マンとか外国にも現れてた設定もあったらしいけど)とか、禍特対が出来た経緯とか、ウルトラマンは宇宙人なのになんで人間の味方なの?とか、ぶっちゃけ政府とかはどうすんのよ?とかとか…そこらへんに答えを出してるのよね。
結果この映画はポリティカルなシリアスパートと、ウルトラマンと外星人や禍威獣を巡るアクションパート、それに禍特対のスタッフたちがメインになる少々コミカルなのも含めたドラマパートの3部構成が平行に進み、最後に大団円を迎えるとてもエンターテインメントな、笑いあり涙あり最後は感動的な空想特撮冒険活劇に仕上がってるのよ。ほんと、映画は娯楽とちゃんと思わせてくれる作品。
そしてそのドラマパートに陳腐な恋愛ストーリーを入れてないのも好感持てます。
そして俺はこの映画で、今まで一番モヤモヤしてたのが晴れた。
それは初代ウルトラマンの主題歌
胸(むね)につけてる マークは流星(りゅうせい)
自慢(じまん)のジェットで 敵(てき)をうつ
光の国から ぼくらのために
来たぞ われらの ウルトラマン
手にしたカプセル ピカリと光り
百万ワットの 輝(かがや)きだ
光の国から 正義(せいぎ)のために
来たぞ われらの ウルトラマン
手にしたガンが ビュビュンとうなる
怪獣(かいじゅう)退治(たいじ)の 専門家(せんもんか)
光の国から 地球のために
来たぞ われらの ウルトラマン
胸に流星のマークは科特隊、自慢のジェットも科特隊のジェトビートル、二番は置いといて、三番も同じように科特隊隊員の様子なのよ。
歌詞の前と後ろが別なのよね。前半科特隊、後半ウルトラマン。
で、今回見て感じたのは…
まず科特隊が戦って、それをあくまでサポートするのがウルトラマン。
でもこのサポートが強すぎるから、イデ隊員のような無気力感を生み出してしまう。でも基本は科特隊なんだよ!俺たちは怪獣退治の専門家なんだ!と再認識する歌の構成になってるでしょ。
今回のシン・ウルトラマン、まさにこれなの!もうね、気づいた瞬間色々こみ上げて来ちゃって大変だった!
なにしろ50年近いモヤモヤが晴れたんだもの!
その他、作品中に散りばめられたマンやセブン、Qへのオマージュを散見するたびにニヤニヤしちまう、最高の娯楽作品でしたよ。
いやぁ、今年55歳になる身ながら、生きてて良かったわぁ!