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教員採用試験の面接における留意点 ~集団面接の講師の経験から~

 県内の私立大学にて、教採面接講習会の講師として、名古屋市教員採用試験対策の集団面接、集団討論の指導をした時のことを書く。
 これまでの自分の教職経験をもとに、面接指導する中で、自分のやってきたことを整理、価値付けを行うことができ、自分自身も学ぶべきことが多くあった。
 
 自分もそうであったが、学生の時期は、バイトしたり、海外へ出掛けたり、ボランティア活動に参加したりとたくさんの経験をする反面、それぞれの体験を価値付けすることができていないことが多い。
 自分がなぜその体験をしたのか、その原動力(モチベーション)はどこにあるのか、人とは違う自分のよさはどこにあるのか、そんなことを考えず、とりあえず気の赴くままに、いろんな体験を重ねる。

 面接では、まさにその姿を垣間見ることができる。自分の理解が不十分で、自分のよさが見えておらず、小手先の内容で話してしまうからだ。「アメリカに3ヶ月留学してきました」と聞いても、「で、何が言いたいの?」と問い返したくなる。
 体験への価値付け、理由付けができていないので、話のインパクトがなく、せっかくの貴重な体験がもったいない。
 「なぜアメリカに興味をもったのか」「3ヶ月の中で、どんな人とどんな関わりがあったのか」「行った前と後では、自分の中の何が変わったのか」など、経験を見詰め直し、価値付けすることが大切である。価値付けは、その経験が自分の血や肉となるので、ある程度、話の要点を踏まえておけば、考えることなくすらすら話が頭に浮かぶことだろう。こうなれば、面接は怖いものではなくなる。

 さて、経験を自分事として落とし込むことができていないと、小手先で話をすることとなる。すると以下のような話になってしまう傾向にある。

 一つ目は、曖昧表現が多くなってしまうことだ。面接指導中に、よく耳にした言葉は、「様々な」「いろいろ」「たくさん」「一生懸命」などである。話している側は、イメージが頭に浮かんでいるかもしれないが、このような曖昧表現は、聞き手は何もイメージがわかず、質問したくなる。
 実体験をありのままに話し、具体的な内容にすべきである。実体験を話すと、だらだらムダに長話になってしまう点は留意したい。

 二つ目は、難しい熟語を多用する傾向にある。「報告」「指導」などの熟語は避けるべきだろう。
 熟語は、話が堅苦しくなる反面、同音異義語があるので、時々、意味を探ってしまうことがある。できるかぎり、和語を使って柔らかく、小学生でも分かるように話すべきだろう。

 三つ目は、とりあえず頭に浮かんだことはどんどん話そうとするので、早口で話す傾向にある。あまりにも話が速いと、何を話しているかが分からなくなる。面接官に一度でも話が聞きづらいと思われてしまうと、いくらよい内容を話そうが聞いてもらえなくなる。話す速さは、緊張して早口になる傾向があるため、ゆっくりと感じる速さがちょうどいいとされる。

 集団面接だと、平常心で慌てず、相手の意見をしっかり聞くことも必要となる。もしも、別のメンバーが、早口で何を言っているのかが分からなかったら、素直に「聞き取れませんでしたので、もう一度、話してもらえませんか?」と尋ねることが大事である。
 学生は、集団面接、集団討論における協調性が、合否に影響すると思っているようだが、聞き取れなかったことを、知ったかぶりで受け答えして痛い目を見るよりも、聞き取れなかった場合は、正直に聞き直すべきだ。相手の意見を理解した上で受け答えすることが、真の協調性と考えるべきである。

 引き続き、教員採用試験に関する情報提供をしていきたい。

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