良いプロダクト成長を目指して「良いプロダクト開発」を行うための心構えと実践
はじめに:この記事で伝えたいこと🚀
会社全体を1つのチームと見立てて、「良いプロダクト開発」を行うために、開発やマーケティングなど様々な職種を横断してプロダクトを作るための心構えと具体的に取り組んでいる方法を書いています。
これは何
このnoteは「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2020」の14日目の投稿です。初めましてdelyの小林和央@kazkobayと言います。普段はクラシルアプリのプロダクトマネージャー兼デザイナーとして、主にアプリの企画・UI設計・仕様決定・分析などを一気通貫して行なっています。
今回のアドベントカレンダーにReproの稲田さんにお誘い頂いた時は、参加させていただくか正直迷ったのですが、マーケターの方々が多く参加している中、僕は現在開発部に所属しプロダクトを作る開発側の人間なので、その視点の人が参加することで、マーケターや他の立場の方に役に立てる内容が提供できるかもしれないと思ったので今回参加することにしました!
今回は普段の仕事の中で、プロダクトマネージャーとしてマーケティングとプロダクトを統合したモノづくりを目指す立場として、どのような点を意識しているかを書いてみようと思います。
自己紹介・バックグラウンド
こんな形で、自分はUIデザイナーからキャリアをスタートし、現在はPdMという立場として仕事をさせていただいています。
こんな人に向けて書いた記事です
・開発チームとマーケティングチームがうまく噛み合わなくて、思ったような仕事ができていない方
・プロダクト開発とマーケティングのバランスを上手く取りたい方
・開発者と認識を合わせて上手くプロダクトを作っていきたいマーケターの方
・マーケティングとプロダクトを統合したモノづくりって何?という方
そもそも「良いプロダクト開発」とは何か
私たちアプリ開発者やマーケターが目指すのはプロダクトの成長とそれに寄る収益をあげる事ですが、これはもちろん単純に目指すべき指標が伸びれば良いというものではないというのは自明の事だと思います。グロースの施策はUXとアラインしているようなものではないと、長期で見たときに意味の無いものになりますし、むしろプロダクトに悪影響を与える可能性もあります。(短期的なKPIを上げようとして、失敗してきたことは過去僕自身何度もありました)
とはいえ、様々な事情から達成すべき目標がある中で、表題にもある「良いプロダクト開発」を行うには、長期的なプロダクトの成長と、短期的な数字達成の塩梅をどう埋めていくかのバランシングが肝であり、究極的には意思決定を行う上でそれぞれのステークホルダー含めてプロダクト開発に関わる人たち全員が認識が揃っているかが非常に重要なことだと思っています。言い換えると目指すべきプロダクトのありようを全社で同じ認識で統一出来ていることが必要だと思っています。この点で有名な深津さんの記事を貼っておきます。
よくあるプロダクトチームとマーケティングチームのズレが起きる理由
プロダクト開発とマーケティングのズレが起きやすいのは、特に中~大規模になってきたタイミングであり、これは経験上、初期スタートアップであれば、意思決定者の多くはCEO本人でそのバランスが取れていますが、徐々に組織が肥大するに連れて、以下のようなことが起きやすいからだと感じています。
・作るものに対して、認識のズレが起きる(作る側と依頼側のズレ)
・短期的な目標達成を優先してしまいKPI至上主義に陥る
・長期的な開発スケジュール感との折り合いがつかなくなる
・開発の工数感を無視した状態での施策立案が起きる
・機能の横展開を無視した設計をしてしまう
・プロダクトやサービスに対する認識のズレが各部署でブレる(何がいいサービスであるのかの認識がズレる事)
まさに今のクラシル開発はプロダクトの成長に伴い組織拡大をしており、各主要KPIに対してチームで取り組むSquad体勢をとっているため、意思決定が多くのチームで行われているのが特徴です。
参考:https://speakerdeck.com/tsubotax/dely?slide=29
サービスは顧客の為にやるものである
それではそれらのズレを起こさずに、「良いプロダクト開発」を行うために必要なことはなんなのでしょうか?、ここで改めてプロダクト開発に携わる人たち全員が意識しておくべきことはC向けサービスでの開発はすべて、ユーザのために行われるものであるべきということだと自分は思っています。もっというと
・まず何より、ユーザの体験価値が上がること
・現状の開発システムにアラインしている事(技術的負債を生まないなど)
・プロダクトのグランドデザインに乗って、今後の改善方向に良い影響をもたらすこと
ことが重要だと思っています。逆に言うとユーザ改善のための方向を向いていない施策はすべて空虚だなとさえ思っています。
解決のために意識してやっていること
上記であげたような問題点を解消するために、私たちはどういった取組みを行っていたのかを一部紹介します。
1.ユーザインタビューを開発・マーケ横断して行い、認識を合わせる
プロダクト開発にとって一番重要なのは、何を作って何を作らないのか、作る人と作るものを決める人たちが同じ認識で揃えられるのが大事だと思っています。そこでユーザインタビューなどは開発サイドとマーケサイドの両方のメンバーが参加する形でおこなっています。そこで感じたことや考えたことはSlackや声に出して、お互いの考えていることや重要だと思っていることをすり合わせ、何を作るべきかを話す場を作っています。
おこなったインタビューや調査結果は開発・マーケを通して共有され、各チームの意思決定に反映されます。
2.開発のプロセスをオープン化する
作るものを決めるフェーズのオープン化だけでなく、作っている状態のオープン化も意識しており、開発側としても合わせて今何を作っていて、それはどういう見え方やUXなのか、全員が突っ込める形で開発が進行しています。またロードマップなど今後どういうものを作っていくのかもFigmaやNotionなど誰にでもアクセス可能&見える形で 落とし込みながら実際のプロダクトに落とし込みながら行っています。
・開発ロードマップの可視化とアクセス性の効率化
・Figmaを使った開発のビジュアル化とUI可視化
・プロダクト開発の進捗の可視化 etc...
この辺りは以前書いたこちらの記事に詳細を書いています。
3.相手の仕事を理解する
加えて、会社を1つのチームとして効率を最大化し、よい仕事をするには、相手の求めていること、何を大事にしているかを理解することが大事だと思っています。上記の例のように開発側の情報をきちんと開示することと同時に、マーケティング側の仕事そのものに興味を持ち、マーケターはどういう考え方をして、どういうKPIを追っていて、どのように思考を組み立てていて、どういう情報に敏感に反応するのかそこまで理解してコミュニケーションを行うことで、相互理解を深めることができると思っています。
4.情報を共有し、課題感や取り組む内容の認識を揃える
お互いの領域の仕事の理解が深まってくると、それに応じた情報のシェアや連携が取れるようになってくるので、有益そうな情報は社内で共有し、お互いの領域の連携を深めることを意識しています。
特に獲得やプロダクトの初回体験などは一気通貫して行えた方が、ユーザーに提供できる価値は大きくなることが多く、この辺りはまさにマーケティングとプロダクト開発の肝になる部分かなと思っています。
↑稲田さんのこの記事がわかりやすい
5.長期的に「どういうプロダクトとしてありたいか」の認識を揃える
短期収益をあげるためにプロダクト価値を短期で切り売りし、打ち上げ花火のように一瞬で終わらせるためのプロダクトにするのか?必要とされるものをきちんと作り、長期でユーザと向き合い続けながら、アップデートをしていくようなサービスにするのか?
これらの方針はプロダクトの設計にも大きく関わるので、会社全体を通して全員が同じ認識を持つべきであり、弊社ではCEOがトップメッセージとして、プロダクトの方針について発信しています。
また、先ほどのCXO坪田さんの開発部向けオンボーディング資料でも、こういった内容が明文化されており、これによってプロダクトの意思決定が、全社的に統一されるように会社を上げて努力しています。
経営層やトップがこういったメッセージを出してくれることで、全社を通して、プロダクト開発の認識が揃いやすくなったように思います。
最後に
ここまで書いてきたように、プロダクト開発を行う上では様々なハードルや条件が複雑に絡みあっています。他にも
・正しい意思決定の重要性の理解
・データに対しての認識を揃える(データ分析とは決して正しい正解を出すものではない速さと納得感を生み出すもの、早く動けばそれだけやれる事が増える)
・生活者の中身に向き合い、人の行動に向き合うのが一番大事
など、開発者とマーケターが共通認識を持つことで、冒頭で述べたように会社全体を1つのチームと見立てて、プロダクトの方向がより洗練されていくのでは無いかと思っています。
今回のこのnoteがより良いプロダクトを生み出す上で、1つでも読んで頂いた方の参考になり、一助になれば幸いです。
それでは引き続き、「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2020」をお楽しみください
明日はKoga Genki (kogy)さんです!
宣伝
今週木曜日に弊社のプロダクトマネージャーが集まって赤裸々に話す会をやります!頂いた質問には全力で率直に回答しようと思っているので、興味のある方はぜひご参加お待ちしております。