人生初のショートショートを書いてみたよ
タイトル画像にもなっている「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」という本を読んだ。
小学校高学年のころだから、もう40年以上前のことだけれど、星新一や横田順彌、筒井康隆などのショートショートSFを貪るように読んだことがあり、どこかで自分も書きたいって思っていたのかもしれない。
サバティカルも残り僅かとなった9月28日、本の通りに準備をして、書いてみた。本当にちょうど40分くらいで書けたよ。処女作(^^)
ご笑覧ください。
ネジマキ式犬
10年くらい前からかな、普通の犬に混ざってネジマキ式犬を見かけるようになった。
散歩をしていても、いまや、見かける犬の半分くらいはネジマキ式なんじゃないだろうか?
そういうたけしが散歩させている柴犬のサクラもネジマキ式だ。
ネジマキ式の犬といっても、普通の犬と全く変わらない。寂しい時はクンクン甘えるし、怒った時には吠えるし、嬉しい時にはしっぽをふる。感激した時には顔をペロペロ舐めてくる。
もちろん、ごはんも食べるし、トイレもする。
ただ一点、普通の犬と違うのは頭の後ろにネジがついていること。
ネジマキ式の犬は、そのネジを一定時間巻かないと、クタンとしてぬいぐるみみたいになって動かなくなる。
また巻いてあげると目が覚めたように動き出す。
普通の犬とゼンマイ式おもちゃの犬の中間のようだ。
ネジマキ式の犬がいいのは、吠えてほしくないときや散歩に連れて行く時間がないときには、ネジを巻かなければ世話をしなくていいこと。
だから、ネジマキ式の犬はすごく飼いやすい。
たけしも、犬が飼いたいと親に相談したら、ネジマキ式ならいいということになり、サクラを買ってもらった。
今日は天気がよいので、サクラと散歩をしたいなと思ってネジを巻いて散歩にきたんだ。
散歩のあと、家に帰ってご飯を食べていると、近所の幼馴染のはるかが駆け込んできた。泣いてる。
「どうしたの?はるか?」
「コタロウが死んじゃったの?」
「え?あぁ。」
コタロウとははるかが飼っているネジマキ式のミニチュアシュナウザーのことだ。
もともとあまり心臓が強くないのと、高齢だったので、最近体調があまり良くなかったとは聞いていたんだけれど、ついに亡くなってしまったみたいだ。
はるかは泣きじゃくる。
「私、コタロウが生きているとき、あまりネジ巻いてあげなかった。わたしの都合の良い時だけ巻いて、それ以外は放っておいた。私、コタロウにすごくいけないことした。」
そうなのだ。ネジマキ式の犬も、普通の犬と同じく病気や、怪我や寿命がくると死んでしまう。
そして、ネジを巻いていないとき、クタンとしている時でも歳はとるのだ。
はるかの悲しみはたけしにも伝わってきた。自分はサクラのネジをちゃんと巻いてあげているだろうか・・・。
そのとき、たけしの脳裏にある考えが芽生え、とっさに、うなじに手をやった。
うなじにはネジが生えていた。
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