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ジョブ・カードって何?


私がジョブ・カードを知ったのはキャリコンの養成所に入る前のことです。カードというからにはマイナンバーカードのハローワーク版なのかなと思いました。さらに、転職のたびに書き換えていくもの、という説明も受けました。それを聞いてカードのICチップに仕事や転職データが蓄積されていく便利グッズ、と勝手な想像を膨らませておりました。

しかし実物をみるとA4の紙。どう見てもカードと呼べるものではありません。なぜ、そのネーミングなのか。命名者のセンスだったのでしょうか。

この勘違いは私だけでなく多くの人がしてしまうもののようです。先日、コンサルティングの冒頭に相談者に話しかけました。「ジョブ・カードはお持ちいただけましたか?」すると「いいえ、まだ作っていません」という返事。

そこで私は、ジョブ・カードの目的と書き方のポイントを説明しました。キャリアの棚卸しや価値観を言語化することで自分自身を理解するツールであること。今回だけでなく、折々に自分を振り返り、見直しを図っていくものであること。自分の成長とともにジョブカードもまた成長するものであること。そうした一連を伝え、次回に持参してもらうことを確約してもらいました。

説明が終わったところで、申請の状況を聞いてみることにしました。「申請は進んでいますか?」すると「あ、申請書は作ってあります。これです」
と言って、書類を見せてくれたのですが、それがまさにジョブカードだったのです。

目が点になりました。相談者はジョブ・カードを申請書の一つと思い込んでいたわけです。

ただ、この思い込み、とても良く分かります。私も同じ勘違いをしていましたから。いまさらこのネーミングを恨めしがっても仕方がありません。改名できるわけもありません。このまま普及に努めるのみです。

ジョブ・カードの精神は素晴らしいものです。主体的なキャリア形成のためにも有効なツールであることに間違いないと思います。たとえ申請書の一種と勘違いしたまま一生懸命に記入したとしても、相談者にとっては自分を見つめ直す良い機会になったはずです。

若い人ほど自分探しに悩みます。うまくいかなければ、職のミスマッチに陥ります。仕事とは自分の力を社会に還元する行為に他なりません。しかしミスマッチをしていては力は還元されず、人は成長しません。

自己理解という言葉はキャリアコンサルタントにとって最重要ワードでしょう。悟りを求めて修行の旅に出た釈迦の行動からもわかるように、古代から人類が追い求めてきた永遠のテーマです。

ジョブ・カードが主張します。自己理解を意識する習慣を取り入れましょうと。それが主体的なキャリア構築となり、人間形成につながってきます。

ジョブ・カードがA4の紙であること。申請用紙の一種に見えてしまうこと。そうしたことはどうでもいいことかもしれません。また、その書き方も重要でないことかもしれません。大切なのはジョブ・カードが主張する主体的なキャリア構築です。

キャリアとはあなただけが構築できるあなただけに与えられたかけがえのないもの。それを手にするためにはジョブ・カードに込められた「意図」を理解することだと思っています。



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