運と人間性を高める徳の積み方
よく「徳を積む」という言葉が使われるが、これは野球の実力と関係あるのだろうか。私自身個人的にはおおいにあると思っている。なぜなら、野球も究極をいえば、教育の手段であって、その目的は人格を磨くことだと思っているからだ。
あの大谷翔平選手も、花巻東に入学した高校一年のときに、目標を9×9マスに書いていたことは有名な話だ。一番真ん中の目標は、「ドラ1 8球団」で、そのために必要な項目が周りにある。そのドラ1になるために、「変化球」や「スピード」といった技術的な項目ももちろんあるが、「運」や「人間性」といった項目もあることにご注目いただきたい。
さらに、細かい項目を見てみると、「審判さんへの態度」や「ゴミ拾い」、「感謝」や「礼儀」、「思いやり」などもあり、一見野球には関係ないような項目も含まれるが、ドラ1になるために大谷選手は、それに足る人間性や人格を備えていなければいけないと思っていて、それだけではなく「運」という要素も必要だと思っていたということだ。それが、高校一年生という若さでそのビジョンができていたのだから、改めて大谷選手のすごさが垣間見える。
そこで今回は、私の師匠が教えてくれた「2つの徳」についてご紹介したいと思う。この話を聞いて、私自身、より徳について意識するようになり、毎週行った徳を記録するようになったので、あなたも参考にしてみて欲しい。
徳を積むと人格が向上すると言われる。人格が向上すれば、あなたを引き寄せてくるものも変わってくる。自分自身との向き合い、自分との約束を守り、相手との約束を守っていくうちに、人格が高まってくるのだろう。
そして、徳には陽徳と陰徳の2つがある。陽徳は、光が当たっている徳ということで、周囲の人たちが見ている善行となる。たとえば、電車でお年寄りに席を譲ったり、人前でゴミを拾ったりすることが、それにあたるだろう。
一方、陰徳とは「人に知られず密かに行った善行」のことである。(これは、例を出してしまうと、陽徳になってしまうので、何が陰徳になるのかは、あなた自身で考えて欲しい)
そして、ここから重要である。
陽徳は、自分が生きているうちに跳ね返ってくる徳となる。たとえば、ゴミを拾うことで、運が上がって自分にいいことが起きる。つまり、自分で徳が返ってきたな、と分かるものが陽徳である。
それに対して、陰徳は、自分が生きているうちには返ってこない徳となる。どういうことかというと、自分ではなく、自分の子や孫に徳が返ってくるのだ。
これは真実かどうかはわからない。そのうえで、このことを逆に捉えてみると、なぜだかわからないが、これまでに、私にもものすごくラッキーなことが起こったことが何回もある。それは、私のじいちゃん、ばあちゃんが行った陰徳によって救われたんだ、と思うと、自然と感謝の気持ちが湧いてくるのは本当だ。
今度は逆に私が、自分の子どもや今はまだ生まれてきていない孫に、私の陰徳をプレゼントしたいという気持ちに自然となっている。
この2つの徳の話を聞いてから、先述のとおり、自分だけの記録として書き残している。