【富良野ワーケーション】観光閑散期を埋める「企業研修型ワーケーション」の可能性
北海道富良野市周辺で開催された「富良野ワーケーションチャレンジ2022」に4泊5日で参加するため、約半年ぶりに富良野を訪問しました。
たくさんの方々と出会い、語り合い、共に活動し、素晴らしい時間を共有させて頂くことができたので、その様子をレポートします。
あこがれの地・富良野へ(1日目)
今回は旭川に前泊して、初めて鉄道を使って富良野に入りました。
「北の国から」の大ファンの私にとっては、ドラマにも何度も登場したこの路線に初めて乗ることができて、感無量の旅のスタートとなりました。
「コンシェルジュ フラノ」でワーク
1時間20分ほどの鉄道旅で、富良野駅に到着し、ホテルのチェックイン時間までは、今回も「コンシェルジュ フラノ」1階のレストラン・カフェ「Kitchen EVELSA」さんでカフェワークです。
(今回ご紹介する現地でのツイートは、前の投稿をリツイートする形としたため、noteで引用すると前の投稿も見えてしまいますが、ご容赦ください)
富良野ナチュラクスホテルに宿泊
前半2日間の滞在先は、富良野駅前にある地元資本の「富良野ナチュラクスホテル」に。最終日の交流会では、このホテルのオーナーの石平さんともお話しさせて頂きましたが、富良野は夏と冬の繁忙期にまとめて売上を立てて生き残らなければならないため、どうしても宿泊代が高くなってしまうそうです。
残念ながら「富良野ナチュラクスホテル」は、居室内のWiFi接続が不安定で、接続してもすぐに切断され、再接続が必要になる状況でした。これはワーケーション滞在するビジネスマンには致命的な欠点となります。
オーナーさん曰く、WiFiは何度も強化してきたとのことで、部屋の位置関係などで違いもあるかと思いますが、「全室満室で多くの方が同時接続しても、少なくとも50Mbps以上の通信速度を安定的に確保できるWiFi強化を強く希望したいと思います。
「富良野ワーケーションチャレンジ2022」とは?
今回参加した「富良野ワーケーションチャレンジ2022」は、富良野市と周辺自治体が共同で実施したワーケーションの実証実験イベントで、期間中、地域のさまざまな観光資源を生かした「プログラム」が用意され、自分が参加したいものを選んで自由に日程を決められる形式でした。
この「好きなプログラムを自由に選んで参加できる」というのは、ワーケーション企画ではとても重要です。今回は、私のような経営者やフリーランスのような自分の裁量で仕事時間を決められる人の他に、大手通信会社の北海道内の支社や東京の本社から、多くの「会社員ワーケーター」が参加されていました。彼らにとっては、基本的には通常のテレワーク勤務の中で参加していますので、例えば3時間のプログラムに参加するには、その前後で所定労働時間(同社の場合7.5時間)の業務をこなすことが基本となります。
通常のモニターツアーでは、今回のように、会社員的な勤務形態の集団と、我々のような自由な働き方の参加者が混在することはあまり無く、私にとって初めて経験する面白さを感じましたが、それについては最後の章で私の考えを書いてみたいと思います。
最初のプログラムは「富良野演劇工場」で
「NPO法人ふらの演劇工房」が開催する「コミュニケーション向上ワークショップ」が開催されたので、参加してみました。
「北の国から」の脚本家である「倉本聰」氏が設立した演劇塾と、その活動拠点となった劇場でのワークショップは、とても刺激的でした。
演劇プログラムには、全参加者の半分強が参加し、「富良野ワーケーションチャレンジ2022」のオリエンテーションと、簡単な自己紹介からスタート。
多種多様な職種や働き方をしている人々が混在し、全員が緊張の面持ちで、舞台に上がりました。
約2時間のワークショップを終えて、プログラム参加者たちはすっかり仲良くなり、心を開き、笑顔を交わし、心理的安全性が確保されたチームのような雰囲気になっていました。
プログラム概要は、こちらのJTBの企業向けワーケーションのパンフレットにも記載されています。
連夜の参加者交流会
「富良野ワーケーションチャレンジ2022」開催期間中の4日間の毎晩、富良野周辺の飲食店で、参加者と地元の方が交流する飲み会が開催されました。
会の様子をすべて書くと長くなりすぎるため、このnoteでは省略しますが、私はそのうちの3回に参加し、それぞれに良い出会いと飲みニケーションを楽しむことができました。
ただ、連日の食べて飲んでの影響で、胃腸はかなりお疲れ気味。疲れも徐々に溜まってくるので、どれに参加するかを判断するためにも、事前の予定調整の時点で、交流会の会の主な趣旨や地元側参加者、会場のお店の特徴などを参加者に告知して、スケジュール調整や参加する会を選ぶ基準を提供してもらえたら、さらに素晴らしかったかなと思いました。
2日目は「富良野プログラム満喫デー」に
今回の富良野滞在中は、北海道に梅雨前線が迫り、雨が心配されました。
特に3日目は大雨の予報だったため、その日に計画していたプログラム参加を急遽、前日の回に振り替えた関係から、2日目は午前も午後も、プログラムに参加する1日になりました。
午前は「五郎の生き方を学ぶ」プログラム
私が「北の国から」ファンになったきっかけは、「'87初恋」を見た中学生の頃からでした。純は私の2学年上で、蛍は1学年上の同じ昭和48年生まれの設定だったため、まさに同世代の彼らに共感しながら、その後のスペシャルドラマはすべてリアルタイムで見てきました。
後日、DVDやFODを通じて、初恋より前の放送分も全て見た私は、すっかり北の国からの大ファンになってしまいました。
大人になってからは、観光旅行で複数回、富良野を訪問してきました。
40歳を過ぎた頃から、徐々に純よりも、五郎さんの生き方や考え方に共感するようになった自分に気づき、その後も数年ごとに、スペシャルドラマを中心に何度も見返すたびに、新たな気づきや学びを得ることができました。
そんな私の想いが通じたのか、今回のプログラムの開催日に、1年前に亡くなられた田中邦衛さんを悼み、北の国からの40周年記念事業の一環として建立された、黒板五郎さんのお墓の除幕式に参加させていただくことができました。
やはり富良野は、北の国からを含む、倉本聰さんの作品を事前に見てから来たほうが、何十倍も満喫することができると思います。
これから旅行やワーケーションで富良野を検討される方には、まずは「初恋」をFOD2週間無料お試しで見ていただくことを強くオススメします。
ランチの後は富良野を観光
ドラマ内でさまざまなシーンの舞台にもなった、麓郷にある小野田旅館は、そば屋さんでもあり、今回はじめてランチで訪問できました!
その後、午後のプログラムまでしばらく、他の参加者さんと一緒に、富良野市内の観光スポットを巡りながら、ワーケーションの宣伝にも使ってもらうことを想定した写真撮影にご協力しました。あまり見栄えが良くないおじさんでごめんなさい😅
午後は「環境環境プログラム」に参加
「富良野自然塾」も、倉本聰さんの理念をベースに活動を続ける団体です。プリンスホテルのゴルフ場だった場所を森に帰す植林活動や、富良野の素晴らしい自然を生かした環境教育プログラムなどを開催されています。
心配していた雨も、なんとかギリギリ大丈夫で、他の参加者さん達と共に、素晴らしい学び体験をさせて頂くことができました。
自治体や地域団体が主催するワーケーション企画で、こういったプログラムを紹介する必要があるのかどうかは意見が分かれることがあります。
特に個人で自由に旅をしているノマドワーカーの中には、予定を制約されるからと、参加を嫌がる人もいますので、人それぞれだと思います。
最初に書きましたが、視察ツアーではないので、プログラム参加が任意で、自由に選べることが重要だと思います。
3日目は大雨の自由行動日に
事前の予報通り、3日目は朝から風が強く、昼前には暴風雨になりました。
この日は急遽、レンタカーを予約し、以前から行きたかった「吹上温泉保養センター白銀荘」で、温泉とサウナを満喫してきました!😆
その流れで、中富良野町に新しくオープンするコワーキング施設「まちなかオフィス」も体験利用しました。
続いて、富良野のコミュニティラジオ「ラジオふらの」のスタジオで、地域おこし協力隊の方のインタビュー取材に対応し、後半の宿泊先で、富良野駅前にある「ラビスタ富良野ヒルズ」にチェックインしました。
富良野での「親子ワーケーション」を考える
夕方からは、参加者のお一人で、公認ワーケーションコンシェルジュの仲間でもある今村茜さんの「親子ワーケーション」を考えるイベントに参加し、ワーケーションの知見を持つ他の方々や行政からの出席者たちと、さまざまな意見を交換しました。
今村さんが今回の富良野でのワーケーション滞在を通じてが考えたことについてご興味ある方は、こちらのFacebook公開投稿をご覧ください。
最終日は「富良野満喫ツアー」と振返りイベント
4日目は雨も上がり、一転して真夏のような暑い富良野になりました。
この日は、富良野の公認ワーケーションコンシェルジュである齋藤雄一さんと行く観光ツアーが企画され、参加しました。
このnoteをお読み頂いている方も、そろそろお腹一杯かなと思いますので、ツアーの詳細はカットしますが、さすがはコンシェルジュが企画したツアーだけあって、中富良野町の魅力を存分に味わえる内容でした。
振り返りイベントでフィードバック
夕方からは、富良野市長も参加して、参加者による振り返りとフィードバックのイベントに参加しました。
ワーケーション担当の地域おこし協力隊のメンバーが中心となって、今回の滞在で感じたことや、今後に向けた改善提案などを4班に分かれてまとめ、市の職員さんや運営チームに向けて発表しました。
「富良野ワーケーションチャレンジ」での気づき
今回の「富良野ワーケーションチャレンジ2022」は、私がこれまで参加したワーケーションモニターツアーの中で、ベスト3に入る素晴らしい企画でした。
これまで最も良かった、JALさん企画の壱岐ワーケーションと、優劣つけがたい、素晴らしい滞在をさせて頂きました。
そこで最後に、私が今回のモニターツアーを通じて得た「2つの気づき」をご紹介したいと思います。
企業社員の団体と個人が一緒に過ごす価値
今回、最も面白いと感じたのは、ワーケーションに団体で参加されていた、大手通信会社の社員さんたちの表情の変化でした。
ツアー序盤は、演劇ワークショップに参加された企業社員の方々は、ワーケーションが初体験の方も多く、全員が硬い表情でした。
まずはこの集団の中で、どのように振る舞うのが良いか、様子を見ているような雰囲気でした。
その後、いくつかのプログラムや交流会を通じて、徐々に表情も緩み、服装にも変化が出て、「ワイシャツとスラックス」から「ポロシャツにGパン」へと変化してゆきました。
しかしツアー中盤の時点でも、集まって笑顔で話すのは、同じ会社内の方々同士がほとんどで、他の個人参加のメンバーとの交流は少ない感じでした。
そしてツアー終盤、富良野満喫ツアーの中で「絶景スポットでジンギスカンを食べる」という場を経た辺りから、徐々に大企業メンバーと個人参加メンバーの垣根が無くなり、その後はとてもリラックスした状態での交流が続いているように見えました。
やはり人間同士、共に時間を過ごし、一緒に食事をすることで、心の距離が近づいてゆくのだということを、改めて感じました。
このように大企業がワーケーションを企画する際、同じ会社内だけでなく、他の個人参加のワーケーターを混在させることで、社員自らの学びや気づきをうながし、自律的な人材としての教育効果が高まる可能性に気づかされたことが、1つの発見でした。
有名観光地がワーケーションを誘致する意義
富良野という有名観光地で、ピークシーズン直前の初夏の時期にワーケーション滞在することには、以下のような課題も感じました。
ホテル宿泊費やアクティビティ参加費のも金額が高いため、自治体の補助無しでの複数日のワーケーション滞在は、コスト面で厳しい
週末はレンタカーがすべて貸出しされており、観光アクティビティも予約が埋まり、直前だと予約が取れない
そのような状況の中で、自治体が費用補助を出してワーケーションを誘致することについては、地元からも異論が出るリスクがあるかも知れません。
意外なことに、富良野では、ゴールデンウィークとシルバーウィークの期間は閑散期なのだそうです。
理由は、春の4~5月はまだ肌寒く、ラベンダーも咲いておらず、夏季のアウトドアアクティビティは開催できないから。
秋はまだ雪が無く、スキーシーズンに入らないため、それらの前後の期間であれば、宿泊施設なども比較的安く提供可能とのことでした。
一方で、今回参加した3つのプログラム(演劇ワークショップ、五郎の生き方、環境学習)は、春や秋の閑散期でも、企業の研修コンテンツとして開催が可能です。
私は、有名観光地にとって、通常の観光客が減る閑散期こそ、大企業の研修・会議型のワーケーションを誘致する絶好のタイミングだと思います。
それにより、観光地側は閑散期の需要を平準化でき、企業側はリーズナブルな価格で、チームビルディングや社員の成長を目指すワーケーション合宿を企画できるということで、双方にWIN-WINな取り組みになるはずです。
きっと、行政や地域の受入れ側の方々としては、「この地域の最高の季節にきてもらって、おもてなししたい」というお気持ちがあることでしょう。
しかし、まずはワーケーションで滞在してくれた方々に、ハイシーズンの素晴らしい季節に、観光旅行として家族や友人と一緒に再来訪してもらえるように、ワーケーション滞在中にアピールすれば良いと思うのです。
現在、大手企業を中心に、「日本国内どこに住んでも良い」という動きが広がっています。閑散期に大企業の社員がワーケーションをきっかけにその地域を知り、地元の人と出会い、観光旅行で再訪問する中で地域とのご縁を深めれば、もしかすると2拠点居住や、ゆくゆくは移住を検討してくれる方も出てくるかも知れません。
有名観光地にとっては、観光の閑散期に、大企業の研修型ワーケーションを誘致するために投資することが、その後のさまざまな地域活性化につながるきかっけになると思った、「富良野ワーケーションチャレンジ2022」でした。
最後に、このツアーを企画し、参加する機会をくださった関係者の皆さまに感謝しつつ、今後も富良野の関係人口の一人として、つながり続けてゆきたいと思います。