クックパッド式、30代で成功を勝ち取るキャリア形成のレシピ ~広告代理店に勤務する20代の若者へ~
現在、広告代理店で働く20代の若者へ。いまの君たちは30代でどのような人生を歩みどのようなキャリアを描き、どんなビジネスマンでありたいかしっかりとレシピが整っているだろうか?
残念ながら私の周囲にいる広告代理店勤めの20代若者はほとんどがレシピもなく、とりあえず感覚で20代の人生を調理している。この記事では、そんな料理初心者である若者が「レシピがない」→「レシピがある」状態になるための調理法を示すことが出来ればと思う。
まず君は何を作りたいか?
レシピを知る前にまずは君が30代で何の料理を作りたいかということが重要だ。ここは不明確であってはならない。麺類を作りたいといってもラーメンや蕎麦では準備する材料が異なる、ラーメンと一言で言っても中華そばと豚骨ラーメンではレシピが違うからだ。
もし君が完成品をイメージ出来ていないのであれば、正直イメージ出来るまでこの記事は役に立たない。そういう君はまず社外にいる多くの人間(出来れば目上の人)に会い、世の中にはどんな料理があるのかということを知ることから始めよう。
彼らとは異なり、すでに料理が決まっているという君にはぜひこの記事を読み進めて欲しい。
今回、タイトルに「広告代理店」と入れているのは私自身がそこに特化したキャリアを積んできたためではあるが、そういうキャリアとは無関係の若者にもきっと参考になるはずだ。
今回の料理は「クインティプルキャリア ~30歳に添えて~」
このレシピは大きなメイン料理がドンと用意されているアメリカ式のステーキなどではなく、どちらかというと京料理のような彩り豊かな様々な主役が食卓に並んでいる状態だ。
このレシピの生い立ちは私自身がスペシャリスト志向ではなくどちらかというとゼネラリストのスペシャリストを目指したいと思い、30歳時点で出来上がる料理を模索していた時に思いついたものだ。
このクインティプルキャリアというのは、最近よく出てくるパラレルキャリアとはまた意味が異なり、転職を繰り返さなければ習得できないスキルをクインティプル、つまりは5つ以上自身のスキルとして保有している状態を示している。この状態を30歳時点で作れているかがポイントだ。
私の場合、これこそが他の人間と差別化を生み、市場価値を引き上げる方法だと考えた。この仮説を検証するため、実際に私は23歳から実調理を始め30歳になるまでに何度も失敗を繰り返しながら作り上げた。筋金入りの料理、そしてレシピだ。
では調理を始めよう。
材料(1人分)
手順1:まずはタネをしっかりと作る
どの料理においてもそうだが、料理の出来は生地やタネで決まる。今回の材料で言うと広告運用力あるいはデザイン力になる。但し今回は広告運用力としよう。広告運用といえばGoogleやYahoo!あるいはFacebookなどの運用をイメージしがちだがそれでは世の中に溢れ過ぎている。まずこの広告運用力の中でもしっかりと価値ある素材を作っていく必要がある。
塩でもそうだが、精製塩と天然塩では市場価値が違う。やはり天然塩が良い。使い勝手の良い湖塩だったり、魚介と相性の良い藻塩だったり様々だ。
広告運用力においてもそうだ。上記の3媒体の入稿や広告運用、レポーティングが出来たところで正直代わりの人材は溢れている、代行サービスだって溢れている。まずこのタネをしっかりと作り上げていくために広告運用における取り扱い媒体数を増やすことがタネの練り上げに影響を及ぼす。
私の場合は広告運用3年の中で、上記3媒体以外にBypass、Criteo、DoubleClick(名称廃止済み)、Logicad、YouTube、TubeMogul、アウトブレインなどを始めとする約20種類の入稿、運用、レポーティングを習得しすでに広告運用者の中でも先を走っていた。
つまり塩で言うとアンデスウユニ湖のウユニ塩くらいかなと自分では思っている。
手順2:仕込んだタネに具材を練り交ぜる
手順1でしっかりとタネが出来上がったら次に強度を増すためにプランニング力を練り混ぜていく。イメージとしてはハンバーグのタネに副材料である卵や牛乳を混ぜ合わせるイメージだ。卵がなくても成立はするが、なければふんわり仕上がらなかったり熱が通らなかったりと凝固性を発揮してくれない。
広告運用力でも通用するがせっかく学んだ運用手法を戦略に落とし変えて君のソリューション領域を増やしていくことが重要だ。プランニング力を強化していくために必要なことは1分でも早く、そして1人でも多くの人の企画書を見て真似てアウトプットすることだ。アウトプットした数だけプランニング力に繋がる。
「真似る」は「真似ぶ」となり「学び」となる、オリジナルは必要ない。まずは真似ることだ。
そしてプランナーという職種においては世の中にスペシャリストは存在しない。業界にいる限りは真似し学び続けることが必要だ。
手順3:焼く、蒸す、炒める、茹でる
私は鳥刺しや肝刺しも良いと思うがあれは新鮮だから美味しいと感じる。宮崎で地鶏を使った鳥刺しなどをつまみながらビール、もうこの世が終わってもいいと感じる一瞬だ。
しかし今回のタネは刺し身とは違う。おそらく真面目に手順1と2に沿って調理をしていくと、いつの間にか君が料理を始めてからおそらく3~5年は経過しているはずだ。新卒から調理を始めていたとしても早くて26歳、スキルの習得に時間を要しているならすでに28歳だ。フレッシュではない。つまり生食出来ない状態ということだ。
それならば火を通さなければならない。私の場合は実際にグラフィックデザインを学び、デザイン力をトリプルキャリアに選んだ。どの程度まで習得したかというと(大きくはないが)そこそこ有名なデザイン協会が選ぶ年間のデザイン賞にノミネートされるまでだ。デザインの手本となる雑誌や本にも5冊ほど掲載された実績もある。
広告においてデザイン(アドクリエイティブ)は外せない。どれだけ広告運用力があってもプランニング力があっても、デザインの作法を知らなければクリック率や視聴率を高めることは出来ない、大きく影響する。これは大枠の知識を知っているのと実際に自分がデザインした経験があるか否かではスキルレベルが圧倒的に異なる。
さっそくAdobe PhotoshopとIllustratorを触ろう。
広告運用においてもプランニングにおいても「どの程度までやるか」が非常に難しい。君が出来たと思っていても周囲が出来ていないと思っていればそれは出来たことにはならない。少なくとも社内の3人以上に出来ると認められること、社内でこの領域においては右に出る者はいないという段階まではやり続けることが大切だ。
手順4:機能的な付け合わせを考える
料理のコンクールなどで採点項目にも入っているが料理はバランスだ。見た目のバランスもあるがここで示すバランスとは機能的なバランス。炭水化物とタンパク質ばかり摂取していても身体が上手く循環しないのと同じようにカリウムや鉄、カルシウムなど機能的に摂取していかなければならない。
私がクアドラプルキャリア、つまり4つ目のスキルに選んだのは起業を通じた経営スキルだ。そこでPLやBS、CFなど事業や組織を動かしていくためのスキルを約3期かけて習得した。大きくリスクを取った分、跳ね返りも大きくマネジメントスキルや採用スキルも一緒に身につけることが出来た。
手順5:仕上げのトッピングはお好みで
フランス料理などで使われる「lier」というフランス語をご存知だろうか?これには結びつけるという意味があり最終的に仕上げる煮汁の濃度を上げるためにバターやクリームを加えることを指している。トッピングも同じような役目を果たしている。
手順1の広告運用力を養いながら意識的に解析ツールを使用することで一定の解析スキルは身につく。同じようにプランニングにおいてクロスメディアの提案を行うことでCM枠のバイイングやラジオ広告、サイネージ広告などの知識も習得することが出来る。
「クインティプルキャリア ~30歳に添えて~」のレシピ方法を習得し立派に料理を作る準備は整った。あとはイメージをし、30歳までに料理を完成させればいい。
コツ・ポイント
・手順2のプランニング部分ではプレゼンテーションを営業に任せるのではなく、積極的に自分でプレゼンテーションを行い、直接お客様よりフィードバックを貰うことが質を上げる近道です。
・材料にある営業力は与件がなければ、自分で暇を見つけてテレアポをしてみることを推奨する。待っていても仕事は回ってこない。テレアポは営業の仕事と思っている時点で君は詰んでいる。コミュニケーション、深層心理を読み取るスキルを身につけよう。
・同じく材料にある新規事業開発。これはチャンスがあれば自ら取りに行く。なければ見様見真似で事業計画書を作り、周囲にあててみることも出来る。失敗したことを学び、次成功すればそれは失敗ではない。
最後に
「20代で苦労した者だけが30代で夢の世界を見ることが出来る、人生の80%は35歳までに決まる」矢沢永吉
20代を思い返す、思い出したくないくらい無我夢中でインプットとアウトプットのピボットを繰り返した。デジタルと広告にのめり込みレシピを習得しようと無我夢中だった。
そして現在33歳、40代の未来に向けてまた1つのレシピを開発中だ。
1人でも多くの若者にこのレシピ、料理を知って貰い、1度の人生を謳歌して貰いたい。
さぁ、召し上がれ。
大手企業、ベンチャー役員、事業部長、漁師などを経て、現在7社目の少し変わった経歴を持つ33歳のジョブホッパーです。 実体験から学んだことだけをもとに発信しています。