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淡い春

時々、学生生活がとても恋しくなる。

高校生の時、学校に行けなくなって転校した。
大学生になって、数週間で行けなくなって辞めた。
そんなことばかりで、いつも突然で、しかも時々思い出してしまう。


高校は美術高校だった。
ファッションアートの先生が無理すぎたのと、授業が家庭科みたいで面白くなくて、いつの間にかストレスを溜めていたらしく急に行けなくなった。
でも友達とか先輩は大好きで、卒業式に一緒に出られなかったのがすごく悔しくて悲しかった。今もかなしい。せつない。

だから転校先の通信制高校の卒業式の日、家に帰ってすごく泣いた。高校卒業が寂しかったんじゃなくて、隣に美術高校の友達が誰もいないことが寂しかった。みんなどんな服着て来るのかな、卒業制作着る人いるのかな、フィルムカメラ持っていこうかな、なんていう高1の頃の妄想が全部無くなってしまった。その喪失感と、もう二度と戻れないという事実を受け止めきれなくてあまりにも切なくて泣いた。
でも通信制高校も好きだったし、たくさん良い出会いもあった。だから後悔はしてない。してないけど、たまに思い出す。ちょっぴり懐かしくて切ないだけ。

そして今年の4月、美大に入学した。
入学式からはほぼ毎日、約2週間にわたるオリエンテーションにも頑張って参加して、大学に通った。授業も少しだけ出ることが出来た。
けれど、体調が万全じゃないまま入学したからか、通信制とのギャップがありすぎたからか、また学校に行けなくなってしまった。
そして一瞬にして、私のあまりにも短すぎる大学生活が終了した。
形上は休学なので、来年の春から通おうと思えばまた通えるし、別の美大でも受かれば学生にはなれる。
でも、どうやら学校というのが無理になってしまったみたいで、通いたいとすら思わなくなった。
いや、通いたいけど怖いのかもしれない。


学校って、私にとって行けば必ず友達がいて、好きな分野について語れる仲間がいる場所だった。待ち合わせというものが無くても会えるって、すごく偉大だった。

それがある日突然、意図せず無くなってしまった。学生生活というものが手からこぼれ落ちて、残ったのは20歳の体と学生気分だけだった。


約半年経った今、学生気分は大分抜けたけれど、やっぱり時々思い出したり、夢に出てきたりする。
けれど今は楽しい。学生じゃなくても楽しい。

最近は、フリーランスでアルバイトをしながら作家活動をしている。
毎日手を動かすことが出来ているし、ブランドを始めてみたり、表現の幅を広げられたり、新しい出会いがあったりもする。
好きなものを作れるのは最高だし、幸せだ。
制作スペースが家だけになったのは切なかったけれど、もう慣れた。

でも、時々、ちょっと思い出してしまう。

バイトの名札の色が、学生と常勤と非常勤とで分かれているだとか、学生には振り分けられない仕事を私がするだとか、学祭シーズンだとか、そういう些細なことで思い出してしまって切なくなる。

どれも仕方がないことばかりで、でも仕方がないことばかりだからこそ、涙が出るのかもしれない。


人生、多分あっという間だ。
17歳の時、人生100年なんて長すぎると思っていたけれど、今は100年なんてあっという間なんだろうなと思えている。
私、学生じゃなくても楽しく生活出来ている。
たまに思い出しても、手を動かし続けるしかない。

だから、明日は何を作ろうかな。

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