自分らしい美しさということ
人は皆自分ではない優れた人を見て憧れます。そしてあんなふうになりたいなあと真似してみたり努力して近づこうとしたりします。その過程で色々進歩したり成長したりして発見がありますが、なぜかないものねだりをしてしまうことが多いようです。
昨日は私の声楽の発表会だったのですが、リハーサルの録画をみて、うわ〜ひどい、ああ、ああ、もうやだ〜とがっかり悲しくなって人前で歌う気になれなくなりました。こんなのを聞いたら人は気分が悪くなるのではないか、申し訳ないという気持ちです。それなのに優しい先生は、よく響いていい感じですよとおっしゃる。
去年よりずっと上手くなっている、大丈夫だからと励ましてくれるパートナーは、昨年私がソロの舞台なんかでられないと思い込んでいたのに、やってみたらいいと押してくれた人でした。去年もひどく落ち込みましたが、よかったと褒めてくださる方もいました。みんな耳が悪いんじゃないか?と思ったりしましたが、大切なことに気が付きました。
素人の初心者ですから、音が外れたりテンポが狂ったり高い音がキーンみたいになって聞くに耐えない感じもあるのですけれど、なんと言うか、それも含めてとても私らしいと言うことなんです。そして、それを臆せずに歌っていると言うところがちょっといいなと感じさせるのかもしれないと思いました。それは、お年を召した先輩方のそれぞれの歌を聴きながら、味があってとてもいいなと思ったからでした。プロ級の方々の歌はもちろんうっとり聴き惚れてしまうけれど、素人の趣味で歌っている方々の歌は、その方の精一杯の表現で愛らしく、お人柄が彷彿としてきてなかなかいいものなのです。
私はプロの歌と自分を比較して、全然ダメだ・・・ひどすぎる・・・どうしたらこんなに歌えるようになるんだろう?と先生に尋ねたら、30年間ずっと歌だけのために生きてきたのですからとおっしゃられて、ああ、才能のない私は50年しても無理かな・・・と思ったことでした。面白いことに、上達すればするほど自分のダメさ加減が見えてくる、そんな気もしていて、と言うことは、私は進歩している証かもしれないとも思いました。
今ある自分の精一杯の表現、それが最高のものであると言うことを忘れて、人と比べて落ち込むのはもったいないことではないでしょうか。この瞬間瞬間に精一杯生きて笑って歌って踊って、全てを感謝して賛美していきませんか?
あるがままの姿が本当に、一番美しいと思います。
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