なぜ外で踊るのか?
もう30年以上、ほぼ毎年野外での舞台を続けています。
一番最初に外で踊ったのは、自宅の梅の木とです。
縁側でぼーっと梅の木を眺めていると、ふと、「この木と踊る」という考えが浮かびました。
そして、寒い中裸足で梅の木の下の大きな岩に座り込み、梅の木と創作活動をしました。
舞台はちょうど梅の花が咲いた2月。
母に頼み込んで、縁側の外の窓を全部外させてもらい、舞台を作りました。招待したお客様には縁側に座っていただき、毛布にくるまって観ていただきました。
手足がかじかむ中、梅と踊る時間は体も心も熱い想いでいっぱいでした。
それ以降、私にとって舞台としたい場所はどうしても”外”でした。
照明を浴びての舞台も好きなのですが、「ここで踊りたい!」という衝動に突き動かされるのは、神社であったり、浜辺であったり・・・。
外で踊ると、でこぼこで踊りにくいし、土が目に入るし、汚れるし、暑かったり、寒かったり、虫や蛇がいたり、なかなか過酷な状況の時もあります。
でも、外で踊りたい!
柔らかな土の感触。
風の心地よさ。
木々や光に包まれる感触。
気持ちよくって、心も体ものびのびと広がっていきます。
大地や宇宙のエネルギーを感じながら踊れること。
自然と溶け合って一体となる幸福感。
そして、箱の舞台ではありえない演出。
台風の後の夕焼けは、こんな夕焼けみたことない!というくらいドラマチックでした。
焚いていた火が、風でゴーッと燃え上がったり、はらはらと白い小さな花が降ってきたり・・・。
ずーっと太古の昔から、人々は自然の中で、祈りの踊りを踊ってきたのだと思います。
私にとって、外で踊るということは、自然なことなのです。
自然と離れてしまった人達にも、外で踊る幸せを感じていただきたいです。
朝、お日様が上ったら、目を覚まし、活動し、日が暮れたら、ゆっくり休む。
動物の自分を感じることは、とても大切です。
妊娠も出産も自然なこと。
成長も老いも自然なこと。
これからも、自然とともに、生きて、踊っていきたいと思っています。