害虫を食べてくれる稲作のパートナー
日本の田んぼには、ウンカやカメムシなどお米の害虫を黙ってても食べてくれる心強いパートナーがいます。
◆カエル
日本には43種類のカエルが生息しており、小型のものになると稲の葉まで登り害虫を捕食することができるものもいます。
アマガエルは、夕立が近づくと一斉にキャッキャッキャと鳴き始めるシャワーコールをするなどユニークなカエルも存在します。
他にもカエルの鳴き声は、リラクゼーションの効果もあり害虫の捕食以外にも人間にとって大切な存在といえます。
◆トンボ
日本に生息するトンボの種類は約200種あり、そのうち水田に生息するトンボは40種くらいです。
幼生期のヤゴの時には水中の様々な生き物(ジャンボタニシ・メダカ・オタマジャクシなど)成虫の時には空中でカメムシ・ウンカガやハエ・カなどを捕食する益虫です。
特にジャンボタニシは、増えすぎると稲を食べてしまう可能性があるので、バランスが取れた数にするには、ヤゴが食べてくれるのも必要かと思います。(体長6㎜以下なら捕食可能※農研機構資料)
こうして稲作を助けてくれるだけではなく、赤とんぼは夏の夕暮れ時にキラキラと光りながら飛び、見る人の心を和ませてくれます。
◆クモ
クモには大きく分けて2つの種類があります。
それは網を張り獲物を捕らえる「造綱性のクモ」と、網を張らずに地面や水面を動き回るタイプの「徘徊性のクモ」が存在しています。
彼らはどちらも、昆虫や小動物を食べる肉食性ですので、ウンカやカメムシなど田んぼの害虫をしっかり捕食してくれます。
農薬に非常に弱いので、農薬散布をすると生息数が極端に減ります。
余談ですが、家庭に生息しているクモは衛生害虫と呼ばれるハエ・蚊・ダニ・ゴキブリなども捕食してくれるため、容姿の問題から嫌っている人も多いですが、非常にありがたい存在なのです。
気持ち悪いからってあんまりすぐに殺したらダメですよ?
◆ハチ
ハチ(寄生蜂)は稲を食害する各種の蛾(ガ)やウンカなどに寄生し、産卵するため害虫駆除の一役を担っています。
捕食や寄生対象の例としては、イネヨトウやニカイメイガ、イネツトムシなどを始め、ハチの種類によって捕食や寄生の対象は様々です。
◆アメンボ
アメンボは、稲から落ちてきたウンカの幼虫の波紋を感じ取って近づき食べてしまいます。春に水に潜り産卵し、10日ほどたてば卵がかえり、水中に浮かんできます。冬は水から離れて、近くの落ち葉の下などで越冬していきます。
◆まとめ
害虫が全くいなくなればいいのか?と言われればそうでもなく、上記の様々な生き物の餌ともなっているので害虫(人間にとって)といわれるものもいてくれないと困ります(笑)それぞれがバランスよくいてくれることで、健康な稲が育って美味しいお米を食べることができますので、生物多様性の維持は大切です。