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茅ヶ崎市美術館「小さな版画のやりとり」
このところ、知らなかったなぁ~と強く思う機会が続いています。
風景印等の郵趣という世界、粘菌世界が特にそうでした。(+食用菊もな…)
今回はこの展覧会に行かれた方のnote記事で知った「蔵書票」。
このたび、茅ヶ崎市美術館では小さな版画の展覧会を開催いたします。
第一部では、紙の宝石ともいわれる「蔵書票」を展示します。本の所有者を示すために書物の見返しに貼り付ける小さな紙で、愛好家たちのあいだでは、自身のものを制作するだけでなく、交換したり、集めたりして、楽しまれています。今回は茅ヶ崎市立図書館の協力のもと、「蔵書票」の魅力を国内でいち早く広めた書物研究家・斎藤昌三(1887-1961)のコレクションから、その一部を紹介します。
第二部では、童画家であった武井武雄(1894-1983)が中心となり、恩地孝四郎、駒井哲郎、棟方志功、関野凖一郎など、錚々たる版画家を含む総勢161名が参加した年賀状交換グループ「榛(はん)の会」の年賀状を展示します。手のひらにのるほどの紙に収められた小さな版画世界を、どうぞお楽しみください。
「紙の宝石」とはとても気になり出かけました。
いつからやり始めたか忘れましたが、美術館に着くと作品リストをもらい、観ながらいいなと思ったらすぐに作品No.に鉛筆で○をつけたりひとこと書き入れる。走り書きの字が汚なすぎて後で何のこっちゃ…なのですが。
今回もその○は続々と。繊細なつくりに身をのりだしたものもあった。
名刺程のサイズ感から、私も勝手に作ってみようかな?貼りたい本もあるな!など妄想しました。
蔵書票展示の一角には
書籍がいくつか並べてあり
"製本師とも協力し細部にまで異常ともいえるこだわりをみせたという斎藤昌三の本作り「ゲテ装本」"と紹介が。
本物の乾海苔や北原白秋からの速達封筒など他にも意外な材料、アイデアから装丁された本の数々
その中身は一体どんな内容が?とかなり気になる題名ばかりで
驚き連続の面白いコーナーでした。
番傘を用いた表紙の見開きが銀の雨模様の本、特にかっこいいと思いました。
第二部は"作品の出来がよくないと次の年に参加できない"というキビシイルールもあったという「榛の会」年賀状展示。年ごとにアルバムに収められ22巻刊行されたという。
壁をぐるっと彩るたくさんの年賀状。
十人十色という言葉だけでは説明しきれない、それぞれ全く違う表現、改めて面白いなぁと。
真ん中にポツンとあるガラスケースの中にはアルバム数冊と
"太平洋戦争のため年賀状を送ることができなかったが、戦争から戻り"アルバムに入れてほしい"と送った"手紙と年賀状が飾られていた。
〜せっかく第10回の会に入れたのにまもなく召集されてしまい年賀状を送ることができず、気がかりながら入隊し…〜という冒頭からはじまる手紙。
"気がかりだった"…
今までの生活基盤からひきはなされ
それまでの日常からかけはなれすぎた場所で毎日脳裏によぎっていたに違いないたくさんの気がかりなことのなかのひとつに"年賀状の版画を創って送りたかった…"という作品への情熱と大切な日常の楽しみへの追想が確かにあったのだと胸が詰まった。同時に怒りがこみあげる。雑に言うと、体制というものに。
昔、修学旅行で知覧特攻平和会館を訪れた時、いつもぼんやりしまくっている私も友達もクラス全員泣きやむことができず帰りの集合時間になってもなかなか離れられず、バスまで皆で泣きながら走ったことを思い出してしまった。隣のクラスの普段クールなあの子まで…。
作品を外へ向けて発表することは、大きな意味があるのだなとも思った。
ガラスケースの前で「私もしっかり観ましたよ」という気持ちになりました。
蔵書票、年賀状、(ゲテ装本コーナーでちらっとしか覗かせてもらえないカフェやバーのマッチラベルというのも気になるジャンル)と
最近魅了されている切手にも通じるちいさな美術品の強い磁力、抗えません。
同時開催の
小さな展示「西平幸太のゆかいなもの」
も素敵だった。
シルクスクリーン作品の他にも
ココアや赤ワインで染めた紙の箱、木彫りも楽しい。
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図書コーナーには他の美術館のチラシやポスターもいっぱい。
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むむ…気になるじゃないか…
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行かねばならないじゃないか…
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美術館を奥に控え迎えてくれる松林の先に、所々梅がイキイキ咲いていた。
(嗅ぐことに気をとられ写真撮るの忘れた)
なんだかんだやっぱり1番好きな花だなと。
厳しい冬に花を咲かせるRock感と
気持ちのよさしかないかすかな香り。
茅ヶ崎市美術館へはもれなく松林ミニ散策つき、日本庭園もありました。
「小さな版画のやりとり」は2024.2.25(日)まで。
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