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『ほんの一部 スイカ』③ #毎週ショートショートnote

*流されてR


ひとつの銀河系の限定時空内における
宇宙法らしきものが身勝手に制定されてから
犯罪が減ることもない摂理のままに
・・・



「よぉ! あんたは新人さんみたいだな?
何をしてここに?」

「ん? 姿も見えないが・・・俺は生きてるのか?」

「たぶんな。 オレにだってあんたが見えてるわけでもないが。」

「ワタシもいるのよ? よろしくね! やっぱり見えない?
でしょうね。フフッ … 」

「‥‥状況がよくわからないな・・・あんたらは誰だ?」

「ここには・・・見えてはいないが大勢いるぜ!
オレたちには眼もなけりゃ口もない。 だからこうして
心で会話ができることには感謝しようぜ!」

「‥‥思い出してきた。 俺は確か・・・裁判で裁かれて
流刑地に送られることになったんだった!」

「ここにいるワタシたちみんながそうよ。 みんな・・・
理不尽な法律とかで罪人としてここに送られた!」

「どの惑星だろうと、どんな見た目だろうと例外なく
身体の組織は分解されて・・・被告の意識レベルのみを保持されて
数多な流刑地に送られる。 ここもそのひとつで・・・
あんたは送り込まれてきたばかりってワケだ。」

「・・・何も見えないが 自分の身体の存在は感じる。」

「今日はきっといい天気だと思うの。 気持ちがイイし・・・
暖かい陽射しを感じる・・・」

「あぁ、、オレたちはまだ先は長いが、あんたが行くのは
・・・もうすぐだな。」

「熟した・・・食べごろのワタシが見れないのが 残念ね?」


「・・・何のことだ? 俺は・・・どこかに行くのか?」

「収穫されるって知ったのはつい、最近のことだがね・・・」

「‥‥?!」

「短い間だったけど新人さんとお話できて、、楽しかったわ!
あなたが収穫の早い・・・ここでも ほんの一部スイカだったことに
ちょっとだけ同情するけど。」

「ちなみにオレたちはリンゴで、あんたはスイカだ。
来たばかりだったのに残念だよ。 寂しくなるな・・・」

「‥‥‥?!」


( 俺は・・・スイカなのか?! )




変哲ないリンゴ園の一角にあるスイカ畑に
今日も収穫車が来た。

農夫が下りてきて、ほんの一部 の スイカ を確認して収穫する。
彼には、一つひとつのリンゴやスイカに心があって
・・・
かつて犯罪者であったことなど知る由もない。



【収穫】

*文字数過多・・失礼しました。
このお話は以前書いたSSをほぼそのままに
ちょっとだけお題に合わせてリメイクしたものです。 
こちらが原型です。↓



*こちらに参加させていただいております。よろしくお願い致します☆

今回のお題は 『ほんの一部スイカ
裏お題が・・・『損の一部、真イカ』でした。

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