『レクイエム』 #シロクマ文芸部・平和とは②
＊刹那に目的もなく戦場にて
「平和とは？」と聞かれたら、何が聞きたい？と聞き返すしかない。
対義語が『戦争』だとしたら、争いがあったからこそ生まれた言葉
だろうし、戦争こそが平和の生みの親と受け止めることもできるが
そんなことに真実性を求めても意味がない。卵と鶏のどちらが先かの
論争と同じである。
『戦争』も『平和』も便宜上の表現手段でしかない。
誤訳で有名な「初めに言葉ありき」での『言葉』もやはり便宜上で
用意されたものである。『初め』に囚われた故に用意したに過ぎない。
学歴の低いオレでもそのくらいのことはわかる。
そんなオレがどうして『傭兵部隊』に参加して戦場で戦闘を繰り
返してるかというと、その日暮らしの生活に飽きたこともあったが
死ぬ前に『生きている』ことをただ単純に実感したかったからだ。
まぁ、願望といえばそれくらいだ。
外国の地で無一文だったオレにとって、給料も支払われるその募集は
魅力的に思えた。だから飛びついたのさ。それだけだ。
武器の取り扱いにも慣れたし支給される飯は不味いが、まぁ我慢できるし
今日も生き延びた。敵さんが誰かなんて知らないし恨みもないけど
オレの撃つ弾で死んじまったら恨んでくれ！
オレが誰かなんて気にもしていない敵の誰かの弾や爆撃で逝く時には
信じてもいない神様の《ご褒美》だと感謝しよう。
その時にこそきっと･･･オレに平和が訪れる。
ピース✨
【了】
＊この物語はフィクションであり、実在の人物・出来事・場所
名称・事件等とは一切の関係がありません。
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