カリっボリボリ
小学校低学年の頃
従兄弟の家で毎週末集まっては、よく晩ご飯を食べていた。
たぶん平成初期くらいかなぁ
おばあちゃんがまだ生きてて小柄だけどしゃんとした背すじで元気に自転車に乗り、近くのパート先へ向かっていく。
お昼には戻ってきて孫達にご飯を作ってくれてた気がする。僕や従兄弟は部屋の中で遊んだり庭で遊んだり、近くにザクロができる大きな木があってよく登った。
ひとりっ子だった従兄弟は沢山たくさんおもちゃを持ってた、思い返せば結構部屋の中で遊ぶことが多かったのかな。
ゲームも、プラモデルもミニ四駆が全盛期で沢山持ってるなぁ
うらやましいなぁと想いつつも、よくそんな複雑なものをやるもんだと感心してぼくはできあがったりクリアするのを眺めることのほうが多かった気がする。それでも充分楽しかった。
「あのモーターが早い」「今度はあれが欲しいんだよ」という言葉を聞いて、へーすごい詳しいなぁとか。走らせたらどれも早いじゃん、こんな早いチョロQみたいなの見たことないわぁとか心の中で思ったもんだ。
うん、チョロQとはたしかに違う。ルックスが。
いつしかガンプラならできそうだと一時期ハマった気がする。従兄弟と見せ合いっこして寸劇なんかして、それはそれでとっても楽しい世界があった。
夕方になるとドラゴンボールやセーラームーンがやってた頃。ばあちゃんの部屋で釘付けになる、夜ごはんの仕度は決まっておばさんと母がする。だいたいエンディング間近になると見事にお声がかかる。
叔父さんはお酒をよく呑む。父は運転があるからたぶん呑んでなかったかなースーパードライの銀色が当時知る世界の中で1番特別な銀色なものだった気がする。
しゅわしゅわした黄色い液体は白い泡を作りだす。
これを呑む叔父さんは楽しそうだ。
お酒は大人が呑むものだからダメだと言われたがどうしてそんなに美味しそうなものが子どもにはダメなのか不思議だった。
手元を見ると毎回小袋に入ったオレンジの半月型のものをほうばってはポリポリと気持ちの良い音と香ばしい香りが鼻をくすぐる
「なにそれーなにそれー」とおじさんと父親へ僕らはかけよる
「なんだ、柿ピー食べたことなかったか?食べてみろ、うまいぞー」
そういって
あの半月型のおせんべいみたいなものと、白くて変わった形のものを手のひらにたくさんのせてくれた
大人が食べてるものはダメよっ、お菓子は食べ過ぎないように!とストップされることが多い中この日はおばさんと話が盛り上がってるからか
ストップがかからなかった、二人の両手にガサガサと音を立ててそそがれる。
口に入れる前から香ばしいなんとも言えない匂いが広がってくる。なにこれ。意を決して口に入れる
カリっボリボリ
ボリボリボリボリボリボリボリ
もっとちょうだーーーい!!!
それに気づいた母達達が割って入るも、こんな美味しいものを知ってしまってからは週末の新しい楽しみになっていたとさ。
おしまい