【note】持ち込み企画書
作成日:11/11(土) クリエイター名:風沢氷花
●タイトル案
青春は、美少女だけのものじゃない
●想定媒体と想定尺(長編小説、短編小説、1クールアニメ、週刊連載コミック、2時間ドラマなど)
長編小説
●ターゲット読者/視聴者層
10代後半~20代 / 生きづらさを抱えている人
●あなたがこの作品で描きたいテーマ(複数ある場合は箇条書き)
・外見至上主義へのアンチテーゼ
└SNS社会の現代では、加工写真と現実の自分のギャップに悩む人や整形依存に陥る人が増加しているが、人間の本質的な美は外見ではない。
・自分を支えるのは「美」や「賞賛」ではなく「信念」
└確固たる信念を築けば、他人の評価に身を委ねず強く生きることができる。
●主要登場人物(3~4名程度)
・山月景也
(主人公/大学生2年生/19歳)
1人暮らしをしている貧乏大学生。美しい母に「お前は醜い」と言われたトラウマから醜形恐怖症を発症し、自分の姿が映る窓や鏡を養生テープで塞いでいる。佐薙液という小説家のファンで恋心を抱いている。
・久遠蒼羽 /ペンネーム:佐薙液
(ヒロイン/通信制高校3年/小説家/17歳)
由緒正しき名家の一人娘。ある感情を抱きながら眠りにつくと蛹になり、目覚めると容姿が醜くなる『醜化』という特殊能力を持つ。その恐怖から引きこもり、人を拒絶している。自身の著書『醜夏』がベストセラーとなる。
・上藤傑
(ヒロインの担当編集/29歳)
大手出版社の敏腕編集者。担当作家の佐薙液(蒼羽)に異常な執着心がある。サイコパス。
・久遠神次郎
(ヒロインの祖父/78歳)
名家当主。『醜化』の秘密を握る人物。実姉や親戚の女性が『醜化』に耐えられず自殺した過去がある。物事を達観している。
●舞台設定/世界設定/ギミック
現代日本。ごくまれに特殊能力を持つ人物が存在する。
『醜化』:久遠家で代々遺伝している特殊能力。思春期にある感情を抱きながら眠りにつくと蛹になり、目覚めると姿が変わる(モデル:蝶の羽化)。回数を重ねるごとに容姿は醜くなっていく。その感情が消えると元の姿に戻る。
●あらすじ(物語の始まりから終わり(区切り)まで書いてください)
大学2年生の山月景也は過去のトラウマから醜形恐怖症を発症し、自分の姿が映る窓や鏡を養生テープで塞いでいる。他人の視線を恐れて私用での外出は控えているが、自分の感情を代弁している小説『醜夏』の著者・佐薙液(以下蒼羽)に恋心を抱いており、サイン会に足を運ぶ。蒼羽は担当編集による厳戒態勢の元で顔を隠していたが、看板の落下事故から間一髪で彼女を救った景也は、仮面の下の美貌を見て恋心が過熱する。蒼羽から御礼に好きなことをすると言われた景也は、二人きりで会う約束を取り付けた。
景也は蒼羽とメッセージをやりとりする中で、彼女の内面に惹かれていることを再認識する。しかし、デート当日に待ち合わせ場所に現れたのは冴えない容姿の女性。蒼羽から、思春期は不定期に蛹になり、別の姿に生まれ変わってしまう特殊能力があることを打ち明けられ驚く景也だったが、蒼羽の中身に惚れているのだから問題ないと考えデートを続行する。
しかしその後も会うたびに容姿が醜くなっていく蒼羽。景也は初めて彼女の美貌を見たときの燃え上がるような恋心を思い出しては、誰よりも外見で判断されたくない自分が蒼羽の美貌を欲していることへの嫌悪感に苛まれる。
そんな中、蒼羽から「明日はどんな姿でもキスをして。そしたら付き合おう」というメッセージが届き、景也は承諾する。しかし、翌日の蒼羽は清潔感のない小太りの中年男性の姿だった。景也は自分が好きなのは蒼羽の中身だと自分に言い聞かせるが、無意識に彼女と距離を置き、ついにはキスの直前で逃げ出した。それ以来、蒼羽とは連絡が取れなくなってしまう。
絶望感に苛まれ自殺まで考える景也だったが、『醜夏』を読み直して蒼羽への想いを再認識すると、家の窓や鏡に貼った養生テープをはがして自分を見つめ直した。自身を磨くことから逃げていた自分とは違い、姿が毎回『醜化』しても必死に生き続ける蒼羽。そんな彼女を救うため、景也は一念発起する。
色々な情報を収集して蒼羽の実家まで足を運んだ景也は、彼女の祖父から衝撃の事実を告げられる。それは、『醜化』の原因は恋心であり、恋が終わると元の姿に戻るということだった。容姿と引き換えに自分と会うことを選択してくれた蒼羽に壮絶な罪悪感と強烈な恋心を抱いた景也。一刻も早く会いたくなり祖父に彼女の居場所を尋ねると、「小説を書く」というメッセージを最後に音信不通なのだという。そこで担当編集の元にいることを察した景也は、ダメ元で蒼羽に「助けに行く」とメッセージを送ると、担当編集の家を突き止めて家に乗り込んだ。
担当編集に監禁されていた蒼羽は、景也への想いを無理やり断ち切って元の美貌を取り戻していた。2人が窓から差し込む月明かりの下でキスをすると、蒼羽は「明日からまた『醜化』しちゃう」とはにかみながら泣き、景也は「どんな姿でも蒼羽を愛する」と誓った。
想いを確かめ合った2人だったが、蒼羽に異常な執着心を抱いている担当編集が放火。景也は蒼羽を外へ逃がすと、煙を吸って意識を失った。
奇跡的に一命を取り留めた景也だったが、全身の皮膚が爛れ、意識不明の重体になってしまう。面会者がいない中、蒼羽だけは景也を毎日見舞った。もうすぐ成人になり『醜化』の能力が消えることを知っている蒼羽だったが、美貌が戻ることよりも景也が間もなく死んでしまうことへの悲しみに打ちひしがれていた。そして蒼羽は、18歳の誕生日前日に病院に侵入すると、植物状態の景也を抱きしめながら眠りに落ち、蛹となった。
数日後、景也は治療の甲斐なく絶命する。しかし、最後の『醜化』を景也を抱きしめながら行った蒼羽は、彼の火傷を半身に負った状態になっていた。周囲から冷たい視線を向けられる蒼羽だったが、「自分の体の半分は景也」という事実を心の支えに、他人を気にせず強く前向きに生きはじめた。
そして景也の墓参りに行くと、「青春は、美少女だけのものじゃない」と呟き、墓石にキスをした。