「死、のち殺人」第9話
まぶたの裏に鮮血の残像が映る。目の前で血を吐いた女性。お腹の子に憑依した夫に殺された女性。思い出しただけで胸が引き裂かれるような痛烈な痛みが走る。微電流を流されたように全身が痺れている。嗅いでもいない血生臭さが鼻腔の奥を刺激する。暑い。息が苦しい。鼓動に胸を殴られる。あえぐように息を吸うと過呼吸が悪化した。苦しい。まぶたを開けても闇が広がっている。全身が何かに圧迫されている。汗で湿った肌にそれが吸いついている。
やみくもに手足を動かすと、ばさ、ばさ、と布が擦れる音が鳴った