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泣きたい時に読む小説「流れ星、そして君は」vol.5 最終話

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✨ 前回のお話 ↓ ✨


第5章 流れ星、そして君は


夜空を見上げていると、一筋の流れ星が過ぎ去る。

そして、クロが突然言う。

「見た?今の流れ星」

でき過ぎた偶然であると思った。しかし、クロの言っていた通り、流れ星は現れたのだ。

「う、うん。見た!」

動揺を隠せない私。



夜空を見上げたまま私が答えると



「美緒...」



「ごめんね...」



「もうお別れしなくちゃだ」



「ここでの、僕の役目は終わったんだ」





「えっ?」

思わず呟いたその瞬間、私はクロの方へと振り返る。

しかし、そこにクロの姿はもうなかった。

代わりに風が体を撫でるように通り過ぎる。

「え?クロ?......クロ?.....涼太くん!」

必死に呼びかけるが、もう姿は見えない。

クロの言葉が頭の中で繰り返される。

「僕の役目は終わったんだ」

それは一体何を意味しているのだろう。

考えこむ私の目の前から、星空がどんどん遠ざかっていくように見えた。

「あれ?どうしたんだろう....わたし..」

意識が遠のいていく。





気が付くと、見慣れない白い天井が目に入った。


「ここは......」


自分がいったいどこにいるのか分からない。

その時、誰かが私の傍らに座っているのが視界に入った。


少し大人びた表情をしたその少年は、なぜか懐かしく感じられた。




「美緒! よかった、目が覚めたんだ!」

私を見て、少年が声を弾ませる。



なんだかとても嬉しそうな様子だ。

「あなたは......?」

記憶を辿るが、私には誰だかわからない。

「そうか、わからないよね」

少年は悲しげに言うと、ゆっくりと口を開いた。



「僕は涼太だよ」


はっとした。

10年前に約束を交わした、あの涼太くんなのだろうか。


頭の中で断片的な記憶が蘇ってくる。

でもまだ、何がなんだか掴めない。

涼太は優しい表情で、私に真実を語り始めた。




10年もの間、私は意識不明の状態で、病室のベッドで眠り続けたのだという。

当時二人で通っていた崖沿いの道で、私が転落事故に遭ったそうだ。

私の記憶では、そこで涼太が崖から転落したはずだった。

記憶が薄れ、何が本当なのかもよくわからない。

涼太はその現場に居合わせ、大人を呼び、私を助けた。


しかし、私の意識が戻ることはなかった。


それ以来、涼太は毎日この病室に足を運び、私の目覚めを待ち続けてくれていたのだ。



覚えていた記憶は、すべて私が見ていた夢の世界だったのだ。




「ずっと待っていた。この瞬間を」

涼太は優しく私の手を握る。



10年の歳月が、嘘のように感じられた。



「涼太くんが…」



「...生きてる.....」




「涼太くん…なんだね….」

涙がこぼれ落ちる。



「そうだよ。もう目覚めないかもしれないとも思った」

涼太も感極まった表情で言う。

これほどまでに想いを寄せてくれていたなんて。

胸がいっぱいになる。

病室には二人の鳴き声と喜びの声が響き渡っていた。




エピローグ


高校の卒業式を終え、制服のボタンを外した。

10年のブランクは大きかったけど、必死の努力と涼太の支えもあり、私は高校を卒業することができた。

勿論、それだけの歳月も必要とした。

私、美緒はようやく普通の高校生活を全うすることができたのだ。


そしてそこには、10年以上、私を見守り続けてくれた、今はもう社会人となった涼太の姿があった。

「おめでとう、美緒!」

涼太が素敵な花束を渡してくれる。

嬉しさで頬が緩む。

「ありがとう、涼太!」

そうして二人三脚で過ごした、私の高校生活が幕を閉じた。




「ねぇ、美緒、あの場所へ行こう」

そう言う涼太に、胸がキュンとした。

あのとき、流れ星を見て約束を交わした場所だ。

二人で展望台へと向かった。

その景色は、今も色褪せていなかった。

「懐かしい景色だね」

肩を寄せ合いながら、街並みを眺める。



小さいころからずっと、大切な想いで通じ合っている。


その絆がより強固なものへと深まった今、ただ感謝の気持ちでいっぱいだ。

「ずっと待っていてよかった」

涼太がそう言ってキスをしてくる。




「本当に好きだよ。大好きなんだ」




「私も、好き! 涼太が一番大好き」



涙がこぼれた。



こうして想いが結実した先に、幸せな未来が待っていることを信じている。

その時、一筋の流れ星が空を横切った。

「あ、流れ星!」

「うん、見たっ!」

10年前に戻ったかのような感覚に、思わず大声が出る。

「不思議だね、偶然がいくつも重なるって」

「運命だと思う」

きっとこの先も、ずっと二人の絆が導いてくれるはずだ。

そう確信を持ちながら、これからの人生を歩み出した。

おしまい。


あとがき

いかがでしたでしょうか?泣けました?わたしは号泣でしたけど💦
何かの話に似てない?とか、そゆのはごめんなさい。
ゼロからは基本無理です。人は、人生で見聞きしたものを参考にして新たなものを作り出します。

でもね、このお話は、わたしが昔書いた小説のストーリーをブラッシュアップして(全然別物になったけど)ごにょごにょした作品なんです。

元々、人を感動させるということが大好きっていうか、わたしの使命と思っています。この作品、早くオーディオノベル化したいけど、時間がない.ᐟ.ᐟ
誰か助けてください(*´艸`)

ということで、次回作は、ちょっと退屈なお話かも・・・。


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