小田川クソ小説 第3話 「映画ランドラーメン」
脱サラして、老舗のラーメン屋で修業を2年続け、ようやく社長から腕を認められ、晴れて大阪の地で出店する事になった。
「今度こそ成功して欲しい」の思いで、物件探しを手伝ってくれた妻からお勧めされた、京橋の商店街で開店をする事を勧められたが、商売は人通りと立地で決まるので、その案を一蹴りし、そこよりも更に人通りが多い、映画ランドのジェラシックパークとクォーターワールドの間に家系ラーメン屋を開く事にした。
妻からはテーマパークだから売れ行きが見込めないと猛反対を喰らったが、サクセスストーリーに妻の反対は付き物なので、一発平手打ちして勝利し、了承を得る事が出来た。
オープン当日、深夜、妻に弁当を作ってもらい、朝4時に映画ランドに行きスープの仕込みをした。おおよそ300杯程仕込んだが、初日の売り上げは0杯だったので、その辺にいたマスコットに「クソが!!」と叫んで閉店しました。
周りの店のリサーチをしたが、良く分からないチキンが900円、カツサンドが1500円とかなり高い値段に設定されていた。そこを狙い、2日目はオープン価格として一杯600円で白ご飯お代わり自由で開店したが、それでも売り上げが0杯だったのでその辺にいたマスコットを蹴り飛ばして閉店した。
毎日妻と大喧嘩した。「なぜ私の言う事を聞いてくれないの!?」と言われたが、物事が起きてからギャンギャンいうのは卑怯だと思い、一発平手打ちして勝利し、黙らせました。その日から妻は無言になった。
営業から半月が経ったが、毎日全く売れず、マスコットを蹴り飛ばす日々が続いた。
そこに転機が訪れた。祝日に様々なキャラクターたちが、パーク内を練り歩くパレードが開催されることになった。
それを知った俺は、家で妻に
「おい!!今度映画ランドでパレードが開かれるぞ!!俺、これに屋台で飛び入りしてみようと思う!!宣伝にもなると思うし、これは流れが変わるぞ!!」
と意気揚々に語り掛けたが、妻はもう何も言わなくなった。
そしてパレード当日、しっかりと宣伝するために、俺は飛び入りし、軍団の真ん中あたりを屋台を引きながら並行して歩いた。
「今日もバリバリ仕込んでますんで何卒!!」と言いながら大声で歩いたが、お客さんから失せろと言われ、ゴミやポップコーンをめちゃくちゃ投げられた。
「そもそもパーク内でラーメン屋開いているのが変なんだよ!匂いも酷ぇし!!とっとと店閉めやがれ!!オッサン!!」
それを聞いた俺はブチギレて、その場に屋台を置き、客の胸ぐらを掴みながらこう言った。
「俺は昔、京大を卒業した商社マンだったが、心機一転してこうやって借金しながらも高い賃料払いながら頑張ってんだよ!!お前らが真剣に映画ランドで楽しんでる分、俺も真剣に映画ランドで営業してんだよ!!舐めた口叩いてんじゃねぇぞ!!」
メキッ、バキゴキ!!バキッキバキキバキバキバキバキ!!!!
後ろを振り向いてみるとキャティちゃんのパレードカーに屋台が破壊されていた。
この日も売り上げが0杯だったので、おジョーズの鮫にラーメン鉢をぶん投げて憂さ晴らしして帰宅した。
しかし家には電気が付いていなかった。