小田川クソ小説 第10話 「中央アシエヤエティ共産主義国」
ネットの掲示板で知り合ったメンバーとバンドを組む事になった。
各々自己紹介を終え、ボーカルの土田が
「おっしゃあ!!みんなでメジャー目指して頑張るぞ!!よろちくB!!」
と大声で宣言したが、 初対面だし、 『なんだこいつ』 と言って角を立たせても仕方がないので、 適当に合わせた。
持ち前のキャラクターで、土田がリーダーとなった。TwitterのDMで届いたライブハウスの店長と仲良くなり、ノルマ28枚バック無しのライブに週3で誘われるようになった。
メンバーは全員げんなりしているが、 土田は「お前ら元気ないな!! これ見て元気出せよ!!」と言ってムキムキになったメロンパンナちゃんのおもしろ画像を見せてきたが、誰一人笑いませんでした。
メンバー全員、必死に誘ってノルマ28枚を返そうと懸命に誘いましたが、 リーダーの土田は一人も誘いませんでした。 しっかり誘ってくれとメンバーは土田に怒りましたが、
「お客さんは無理に誘うもんじゃない!俺らの魂で呼び寄せるものだ!」
と言って一向に聞く耳を持ちませんでした。 次第に誘いのDMも無視されて、 僕らも友達がどんどん減っていきました。
ある日、バンドのお客さんを増やす為に、Twitterでプロモーションを出す事になり、みんなで割り勘2万で10日間プロモーションを出す事になった。
しかし、リーダーの土田が面白がって、日本でかけるプロモーションを、何を思ったのか、中央アシエヤエティ共産主義国という意味不明すぎる国で掛けました。
「俺らの曲がさ… 日本じゃなくて中央アシエヤエティ共産主義国で10日間流れてるんやで?ばりおもろない??」
土田は救いようが無かった。 金を返せとみんなで声をあげたが、土田は何が悪いのかピンと来ていなかった。
プロモーションが実ったのか、 TwitterのDMで中央アシエヤエティ共産主義国のレーベルからリリース、 デビューしないかと連絡が入った。 前金で20万振り込んでくれと連絡があったと土田から聞いたが、 僕らは断固反対しました。
「なんだお前ら!!海外デビューできるチャンスを無碍にするのか!?!?へっぴり腰が!!」
どう見ても詐欺だったので、僕らは何を言われようと断固して動かなかった。
しかし土田はチャンスだと思ったので、『ぜひ日本に遊びに来て欲しい』と言って、土田以外のメンバー全員の顔写真と住所、電話番号をDMで教えました。
その日から中央アシエヤエティ共産主義国から詐欺DMが毎日届くようになりました。
メンバーがごぞって土田を責めましたが、「策があるから安心してくれ!!フゥー!!」といってはぐらかされた。
ある日、スタジオ練習があり、 現場に向かうと土田と中央アシエヤエティ共産主義国から来た海外の人が8人ぐらいごぞってスタジオにいた。
「俺はな…このバンドの中央アシエヤエティ共産主義国支部を作る事にした!!」
何を言っているのか分からなかった。
「俺は大阪支部でまたメンバー集めて頑張るから、 お前ら3人は中央アシエヤエティ共産主義国で革命を起こせ!!」
僕らは懸命に断ろうとしましたが、銃口を口にくわえさせられたり、指を切り落とすフリをされ、土田以外の僕ら3人は中央アシエヤエティ共産主義国に旅立つことになりました。
『お前ら!!しっかりやれよー!!』
土田の手には分厚い封筒があった。
結局中央アシエヤエティ共産主義国で詐欺集団から好きな様に扱われ、 捨てられた後、 まともに中央アシエヤエティ共産主義国の言葉を喋れない為、 時給3円の飲食店の皿洗いのバイトを延々とさせられ続け、 その地で生涯を終えました。
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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