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小田川クソ小説 第16話 「カンフー」

中学の職業体験の授業で、長年地元で営みを続けている中華料理屋に行く事になった。

「あらケンちゃん、大きくなったなぁ」

そう言って店主は迎えてくれた。小さな頃から通っているので顔見知りであったし、こちらとしてもやり甲斐があった。
早速エプロンを貰い、ホールの手伝いをした。

慣れてきてキビキビ働く姿を見て店主は感心していた。
その時、職業体験をサボって様子を見に来たヤンキー5,6人が店に入ってきた。繁盛していたので、順番待ちの用紙に名前を書いて待ってもらった。
そしたら名前のところに"SEX"と書きやがった。

「ケンちゃん〜、テーブル空いたから名前呼んでや〜。」
「店長コレ読むんですか?」
「そうやで、早くー」
「でも」
「ケンちゃん、忙しいねん、はよして」

ヤンキーたちは半笑いしながらtiktokライブをして僕を映していた

「せ……」
「ケンちゃん、大きい声で呼ばな!」
「6名でお待ちのSEX様ーーーー!!!!」
「何言っとんじゃゴラアァァァア!!」

ヤンキーは爆笑し、僕は店主に回鍋肉を作ったばかりの中華鍋で思いっきり顔をぶん殴られた。

「お前何言ってんの??なぁ??」
「だって名前にそう書かれて……」
「言い訳すんなゴラァ!!!!何年店やってると思ってんじゃゴラァ!!!!」

ブシャァ!!

ぎゃああああああああああ

中華包丁で思いっきり腰をやられた。

それを見て面白がったヤンキーやほかのお客さんも続々と順番待ちの用紙に卑猥な言葉を書き続けた。
「おら!!読めや!!テーブル空いたぞ!!」
「ちんこ様あああああ」
「ふざけんなやゴラァァァァア!!」

ヤンキーが回しているTikTok視聴者は同接6万人を超え、低評価が38万入った。僕が中華鍋で顔面をいかれる度にスパチャが入った。

その後身体がボロボロな状態で中学校に帰り、先生に事情を説明しようとしたが、先に店主が電話で「僕が卑猥な言葉を連呼した」という連絡をしていたので、教室の机の上には"退学届"と朱肉とボールペンが置かれていた。

その後、この事がバカッター扱いされ、僕の住所と名前がネットで公開されていた。因みにヤンキーはカメラを撮っていて顔が写っていないのでセーフだった。

そして1本の電話が鳴った。中華料理屋からだった。その事件がきっかけで客足が遠のいたらしい。しかしこれには僕の異論があった。そもそも中華鍋や包丁をあんなに振り回していた店主にも問題があったのでは??と電話で伝えたが

「言い訳すんな殺すぞ」

ガチャン

と電話を切られた

「あけんかゴラァァァァア!!!」扉を開けると刑事さんがいた。

「君を業務威力妨害で死刑にする」
「わわわわあああああ!!!!」

僕はリビングに戻り、親に助けてと縋りついた。

「今日朝のテレビにタイムマシーン3号が出てたわよ」

全く話を聞いてもらえず、僕はそのまま逮捕されて死刑にされた。

おわり

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