【出版体験裏話#06】 原稿カットの限界
クイズへの大転換を終え、
編集者に原稿再提出を無事に終えることができました!
やったー!
結果的にですが、クイズにしてよかったです。
「言いたいこと」と「言うべきこと」にメリハリがつき
論旨がクリアになったからです。
それに本の発売後、知人の感想で最初に出てくるのは
「いつもの渡邊さんが語りかけているみたい」というコメント。
なんともありがたい褒め言葉です。
きっと、知人たちの言う語りかけとは
一方的に私が語り尽くすことではなく、
双方がキャッチボールのような関係で
読書的対話が進んでくれた証でしょう。
その意味でも クイズという手法は本当におもしろい。
さてさて
再提出にホッとしたのも束の間、
編集者からはまたもや「えっ」となる言葉が飛び出します。
「内容、おもしろいですよ・・・
でも・・・
全体が長すぎるんですよね・・・
このままじゃ、本が分厚くなります。
削らないといけませんね。」
私
「・・・。」
どうやら、バッサバッサと本文を削る、
またはパートを丸ごとカットする、
そんな作業が必要とのことでした。
そもそも
「50個に増やそう」の時点でエピソードは倍増し、
「クイズにしよう」の時点で出題のページが新たに加わるため、
これまでは確実にページが増えてしまう作業だったはず。
当然、本は厚くなる一方。
それなのに
著者が自ら原稿をカットするか、
編集者が原稿をカットしていくか、
今後の方針を決めることとなり
「どうしましょう?」となったのでした。
ここまできたからには
「どうぞ、カットはお任せします」なんて言えません。
「ダ、ダウンサイジングに努めます・・・」
と再び私は原稿を持ち帰ったのでした。
しかし
私が原稿カットできたのは
・全体文字数 12%削減
・ページ数 18%削減
・コラム数 4つ削除(15個→11個)
これが限界でした。
これでも私にとっては精一杯やったのです。
なのに
削減量は全然足りなかったようです(涙)
著者は自分の原稿に無駄な箇所があるなんて思いません。
どれも大切な言葉たちですから、
いつしか「カット」よりも「スリム」にすることに
こだわっていた気がします・・・。
そして、この経験から教訓として得たのは
「自ら書いた原稿を、自ら削減するのは難しい」
ということです。
みなさんは、書家である相田みつをさんの
とても短い言葉、「いまここ」をご存知ですか?
「いまここ」にはその前身となる長文の詩が存在し
相田さんは削りに削って、もう削るところがないほど
磨いて磨いて磨いて、「いまここ」が完成したそうです。
その話を、確か1996年の開館当時に展示で観た記憶があります。
だから、創作には自ら削り磨くことの重要さは
わかっているつもりでした。
でも、それは本当に本当に困難な作業で、
そのころの私にとって、原稿カットは限界そのものでした。
よって泣く泣く、ある程度のその先は
編集者に原稿カットを一任したのでした。
(次に続く・・・)