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旅をするということ
博多発東京行きの新幹線の窓から日の出を見ています。旅の終わりの少しだけ切ない気持ちは、けっこうすきです。
今日で年末年始9日間の旅が終わります。
旅することに思い立ってから、必ず持っていこうと思っていた本があります。星野道夫さんの「旅をする木」という本です。
極北の地であるアラスカでの生活を静かな言葉で綴った文章は、いつ読んでもこころを温めてくれます。
何度かなくしては無事に帰ってくる縁の強い本なのですが、すきな言葉がたくさんあるので、少しだけ紹介させてください。
偶然について
バスを一台乗り遅れることで、まったく違う体験が待っているということ。人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、旅はその姿をはっきりと見せてくれた。
ある出来事が起きることには、合理的な理由がないことが多々あります。
あらゆることについ理由を求めてしまいがちですが、旅をしていると人生の理不尽さを実感することができます。
それこそが旅と人生の醍醐味であり愛すべきものだということを思い出させてくれます。
選択について
多くの選択があったはずなのに、どうして自分は今ここにいるのか。なぜAではなく、Bの道を歩いているのか、わかりやすく説明しようとするほど、人はしばし考え込んでしまうのかもしれない。誰の人生にもさまざまな岐路があるように、そのひとつひとつをさかぼってゆくしか答えようがないからだろう。
過去の選択を遡ることは、思い出にひたることようなものです。
自分が辿ってきた道しかわからない
他にあった選択をすることはできない
引き返すことはできない
そう考えると切なくなってしまいますが、心に残る想いがあるからこそ、明日をより良く生きようとする活力になるのだとも思います。
想像力について
何もないかわりに、そこにはシーンとした宇宙の気配があった。氷河の上で過ごす夜の静け、風の冷たさ、星の輝き。情報が少ないということはある力を秘めている。それは人間に何かを想像する機会を与えてくれるからだ。
頭の中を空っぽにして初めて、新しいことを考えられるような気がします。既存の価値観や風習に囚われていると、新しいことは生まれてこないのです。
何かを知ってできるような気になったり、主張してやった気になったりするだけでは、目の前の現実は何も変わらりません。
いつだって目の前の人にどんなことができるのか、その人の生活にどんな良いことをもたらすことができているか、といった小さなことから始めていきたいです。
旅の終わりに
旅の途中で降りた場所の中には、不便な場所もたくさんありました。ただそれらの場所には不便さを補って余りある、柔らかな風が吹き、あたたかい人がいて、凛とした空気がありました。
たぶん今回行った中でまた訪れる場所があると思います。また行きたいと思える場所をたくさん見つけられた良い旅でした。
今回の旅は二人旅だったのですが、一緒に旅ができる人がいるというのは、何よりもうれしいことです。
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TOP写真は、ギターを片手に歌うおじさま。不思議な出会いも旅の醍醐味。
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