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火垂るの墓 野坂昭如著

「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ。」
ジブリアニメーション映画で1988年に公開されたこの映画は見た人に忘れられない衝撃を与えた。
知っている人も多いかもしれないがあらすじは、神戸大空襲に遭い、母を無くした兄清太と妹節子の14歳と4歳の兄妹が親戚のおばさんの家に引き取られるもおばさんからいびりを受け、2人は自分たちで生きていく…
というストーリーである。
この映画は海外でも放映され、外国人でも涙する映画であるとかないとか、

しかし、この小説はあくまで文芸なのだ。読んだ人を泣かせ、お涙頂戴の小説ではない。
この本は作中の兄妹が人との交わりを断ち、彼らが死にゆく話である。作者はこの本に出てくる兄妹を批判しながら読んで欲しいとの願いも込めている。
他人と交わりを断ち、孤独の中で死んでいく。死にゆく者は美しいという一風変わったように見えるがこれぞ文芸なのだ。

教育に悪いとか言う親がいるみたいだが、ネットでしか友達がいない現代の若者と重なる部分があり、現代人こそ読むべき本である。