旧友からのメッセージ

昨年の10月、妻が入院した。手術は5時間近くに及び、いつもは快活な妻が担架で病室のベッドに運ばれてきた。麻酔で眠っている彼女の顔は真っ白だった。看護婦は点滴の用意を終えると、部屋から出て行った。薄暗い病室の中では心電図モニターの赤い光が妻の顔を照らしていた。             

幸いな事に彼女は病気から回復し、2か月後には職場に復帰する事が出来たのだが…

先日、職場の昔の同僚からメールをもらった。彼女は今、故郷のベルギーに住んでいる。                   

あなたには知らせませんでしたが、2年前の8月、9か月に渡って闘病生活を続けていた私の夫がすい臓癌で亡くなりました。30年以上も連れ添った夫を亡くし、その喪失感から、数年間はどうして生きていけば良いのか分かりませんでした。その時、力になってくれたのは私の子供や友人達でした。彼らは沈みがちな私に声を掛け、元気づけてくれました。私は前に進まなければいけないという事は分かっていましたが、夫の事が忘れられず、心の中では毎日彼の事ばかり考えていました。

私は友達のフェイスブックの写真が、夫と2人で写っている写真に変わったのには気付いていた。その後間もなくして、他の友達から彼女の夫が亡くなったという知らせを聞いた。夫婦仲が良い事を知っていた私は事の深刻さに彼女に連絡する事が出来なかった。彼女の家で食事をした時、ワイングラスを片手に、彼女の傍らで微笑む夫の笑顔を今でも良く覚えてる。

友達のメールは以下の言葉で結ばれていた。                

私達は十分な時間があると思っていますがそれは間違いです。人生は時に残酷で、何かの瞬間に全てが変わってしまう事があります。あなたの人生にとって何が重要なのかよく見極め、それを大事にして下さい。そして、奥さんを良く労わってあげて下さい。この世に永遠に続くものなどないのですから

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