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周囲をハッピーにする「おもろい話し方」

''しばぴー"こと芝山大補さん著『おもろい話し方』が発売されました。芝山さんはネタ作家であり、これまで300組以上の芸人のネタに携わってきた、笑いのスペシャリスト、話の達人です。こう書くと、敷居が高く感じられるかもしれませんが、そんなに敷居の高い人ではありません。わかりやすく説明すると「おもろい人」です。

そんな「おもろい人」が書いた本のどこが面白いのか? 詳しくは購読していただくとして、ここでは少しだけポイントを紹介したいと思います。「コミュ力が高い人が無意識にやっていること」と帯にあるように、実際、私自身が話すときに無意識でやっていることや、こういう人いるな…と感じる部分があり、日常生活、日常会話に置き換えられる点が読みやすいポイントの一つです。

日常で使える話し方、リアクションの仕方、ボケ方、ツッコミ方などを芸人さんのトーク例を交えながら丁寧に解説してくれていて、実践の仕方も紹介されているので、誰にでもすぐに使えるテクニックが多いのも嬉しいところ。そのなかで、私自身も無意識で実践していたことの一例を紹介しましょう。

それは「会話をキーワードでつなげる」というものです。これはトークイベントのMCのときに使っている話の回し方でした。

例を挙げると、先日の武藤敬司×小橋建太トークイベントでは、作曲家の鈴木修先生による生演奏がありました。実はこのとき、主催者から橋本真也さんの「爆勝宣言」の生演奏に振ってほしいとリクエストをもらっていました。しかし、武藤さん、小橋さんを無視していきなり橋本さんのテーマ曲に振ると変な空気になるので、キーワードでつなげる手法を用いたのです。

まずは武藤さん、小橋さんに鈴木先生がつくった自身のテーマ曲に関するエピソードトークをしてもらう。少し落ち着いたところで、テーマ曲といえば鈴木先生はたくさんの選手の曲をつくっていますね…とテーマ曲全体に話題転換。そして武藤さんと同期であり、小橋さんと対戦を熱望された橋本真也さんの曲もそうですが…とそれぞれ橋本さんとの思い出を語ってもらって、せっかくなので「爆勝宣言」も演奏してもらえますか…という流れにもっていきました。

普段の友たちとの会話でも同じで、話をぶった切ると変な空気になりますし、リセットされた状態から話を盛り上げるにはそれなりの話術が必要です。逆にキーワードを拾って展開すると、会話が点で終わらず線になっていくので、話術がなくてもいい具合に盛り上がります。

この他、リアクションにも、無意識で使っているものがありました。自分で自分を持ち上げることで逆に自分を下げる…みたいなリアクションです。たとえば「佐久間さんは本当にすごいですよね」と言われたとき、「そうですね。実はすごいんですよ。飯田橋4丁目史上最強レベルだと思いますよ」……みたいな感じで、すごいと言いつつ、あまりすごくないみたいなリアクションです。あるいは人の失敗に対して「ブラックコーヒー買おうと思ったのに間違ってお汁粉買ってしまったときくらいショックだよ」という感じで、全然大したことないよねというリアクションで、相手を救うみたいなものです。

自分が無意識に使っていたものを二つ紹介させていただきましたが、『おもろい話し方』には、こうした会話のポイントやテクニックがたっぷり詰まっています。難しいことではなく、少し意識するだけで気持ちよく喋れて、相手にも気持ちよく喋ってもらえるような会話術なので、いろいろな場面で役立つと思います。

この本の何が一番すごいかというと、人が会話の中で無意識でやっていることを的確に言語化していることです。客観的に人やネタを見てきた芝山さんだからこそ、できたことだと思います。

現在はSNSの発展もあり、誰もが自由に発信できるようになった反面、人に対して優しさのカケラもない言葉を平気で発信する人が増えています。また、コミニケーションはLINEやメールが中心になり、テレワークで人と会う機会が減り、環境的に会話の機会が以前より少なくなっています。そんな時代だからこそ、「おもろい話し方」は大事なのではないでしょうか?

人と話すのはとても楽しいです。それを苦手と感じて敬遠してしまったら、もったいないことです。自分の話に人が喜んでくれたら嬉しいし、人の話にいいリアクションができたら楽しい。SNSのクソリプに対して、おもろい切り返しをしてやったら爽快。暴言に暴言で返すのではなく、思わず笑ってしまうような返しができたらお互いハッピーですよね。「おもろい話し方」を知っているか、いないかでは、人生の楽しさがだいぶ変わると思います。

芝山さんは「笑いは最強の護身術」と言いました。となれば、この『おもろい話し方』は、護身術の参考書のようなもの。自分の話し方ひとつで、周りを楽しい空気にして、ハッピー空間をつくり、世界を平和に導くのです。

というわけで、『おもろい話し方』で護身術を身につけて、周りをハッピーにできる人を目指してみてはいかがでしょうか。私も繰り返し読んで「おもろい話し方」を身につけたいと思います。

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