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心理テスト、大失敗

時々ふとやってみる心理テストがある。
何が分かるかと言うと、その人がその時、潜在意識の中で考えていること…、気にしていること…何だかんだ、そのことを考えている…みたいなことが分かるという。
やり方はシンプルで、まず、思いつく形容詞を左から右へと8つ書く。可愛いとか美味しいとか何でもいい。そして、その8つの形容詞の下に再び、思いつく形容詞を左から右へと8つ書いていく。兎に角形容詞なら何でもいい。思いついた順番に書いていく。
上下で8つずつ、16の形容詞が並ぶ。今度はその上下に並んだ形容詞で連想する言葉をそれぞれの下に8つ書いていく。例えば、可愛い×やわらかい=赤ちゃん…という具合。3段目からは形容詞でなくてもよい。名詞、動詞等、連想する言葉ならいい。そうすると、3段目も8つの言葉が並ぶはずだ。そしたらその8つの言葉を左から2つずつ組にして、連想する言葉を書いていく。4つの言葉になる。それをまた同じように2つずつ組にして言葉を連想する。最後の1つになるまで続ける。
その最後の言葉、フレーズが、それである。

何だか悶々とした時にやってみると、ヒントになることが何度かあった。結婚して間もない頃、この人とは無理かもしれない、全く理解できない、このまま結婚生活を続けることはマイナスなのでは?等と悩んだ時、ふと、この心理テストをして自分で驚いた。信じる…とか何とか、兎に角その時、最後に自分が紡ぎ出した言葉で、奮起した。心底で自分はこう考えているんだと気づかされる。

この心理テストを母にしたことがある。介護だなんだと奮闘しているうち、楽しいことや欲を封印してしまった母。自分を責め続けて、パーキンソン病になっていた。「楽しいことを考えるようにしてくださいね。」と医者に言われても、思いつかないと肩を落とす。ビーズ刺繍や編み物、テニスやスキューバダイビング、40歳を越えてから運転免許を取得したり、あんなに日々を楽しんでいた人が、思いつかないと言うのだ。心理テストで心底で何を考えているのか知れるならいいじゃない?とやってみたのだ。

最初の16の形容詞には、古風で知的な言葉が並んだ。
母は読書好きだ。もう亡くなってしまったが、高校の同級生は名の知れた作家だった。もう一人、作家志望だった友がいた。その二人との若かりし日々は母の人生、考え方に大きく影響している。
「流石に、難しい言葉でてくるね。」
そして、3段目になって、4つの言葉になった。少しづつ身近な言葉になって、最後に放った言葉は、
「暑い…。」
だった。思わず大笑いした。確かに暑かった。とても暑い日だった。更に何か台所で料理をしながら問いに答えていた母は、火の傍で更に暑さを感じていたのだろう。何が分かったかを母に伝えると、
「今年は暑いよ。何してても暑いのよ。暑いな~っていっつも思っている。」
母の深層心理は素直に表れていた。が、私がねらっていた心理テストの結果としては見事に失敗した。落ち着いた快適な環境ですれば良かったよ。

久しぶりに母にしてみたくなった。父が亡くなってもうすぐ2年。残りの人生のヒントが、母自らの口から紡ぎ出されるかもしれない。もしくは心配事が知れるかもしれない。今度は心配のないように取り組もう。
ついでにあの時別れずに今もそばにいる奴にもやってみよう。秘密が知れるかもしれない。

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