【#7】入院から退院までの娘の心の変化
病室の空きが出るまでの自宅療養の期間を経て、
入院が決まってから退院までの約1ヶ月間の
娘の心の変化を、娘がまとめたものを備忘録として転載。
■入院するまで
一日中頭の中は食事のことでいっぱい。
一日の摂取カロリーを自分が許容できる範囲で抑えるために、
一日中、スマホの電卓アプリとカロリー計算サイトを行ったり来たり。
「許容範囲内にするとなればこれくらいの量しか食べられない、実際はもっと満足するまで食べたい、でも食べる量が増えると太ってしまうから食べるのが怖いし、食べたくない。」という気持ち。
「食欲は悪」と決めつけて、食べたいけど食べたくないという葛藤が
延々と続きイライラしていた。
■入院を決めた理由
食事に対する葛藤が一日中続く中、
体重もどんどん最小値を更新し続け、
精神的にも身体的にも限界だった。
入院すれば毎食決まった時間に
決まった量の食事が出されるので、
自分が食事について考える時間は無くなり、
強制的にこだわりを消し去れると思った。
個室なので自分自身と向き合う時間が取れる。
生命維持のため。
■入院中の心の動き
入院初日お米100g、一日1000kcal
↓
退院時 お米200g、一日2200kcal。
【入院初日から退院まで一貫して変わらなかった気持ち】
「お金を払って入院しているのだから一食たりとも無駄にしたくない。残してしまうと家とは違って食材は捨てられてしまうから、何としてでも完食する。」
上記のこの気持ちを持ち続けられたことで、
出されたものは怖くても、怖い気持ちをグッとこらえて
食べることができた。
体重は、入院してから3週間で2000kcalの食事になった。
それでも1㎏も増えず横ばいだったので、
これだけ食べてもぶくぶく太るわけではないと分かり、
今までの食事量が少なすぎたと身をもって知り、
「食欲は悪ではない」と思うことができるようになった。
同時に心に余裕が出てきて味わって食べられるものが増えていった。
60gが精一杯だったお米は200g食べられるようになり、
お米が大好きになった。
脂が怖くて拒食症になってから、一度も食べていなかった肉を
抵抗はあるものの、食べられるようになった。
■退院を決めた理由
週に2回のペースで摂取カロリーがアップしてゆき、
出される食事はあっさりしたものから、
どんどんこってりしたものへと変わっていった。
揚げ物ばかりが出てくるようになった。
もともと拒食症になる前から、こってり系の食べ物は苦手で
ほとんど食べない生活をしていたので、
毎食こてこての食事が出されるようになってから、
食事が再び作業のようになり、全く味わって食べられなくなった。
食べ物をゴミ箱に捨てたいと思ったり、
食後のモヤモヤが強くて、
運動したり無理に吐き出そうとしたりするようになってしまった。
せっかく食べることに抵抗がなくなってきて、
自分の素直な食欲に従えるようになってきたのに、
このままでは快方に向かうどころか逆戻りし、
更には自分で嘔吐することを覚えて悪化してしまう
と思ったのが退院の決め手。
■退院を考え始めてから退院するまでの覚悟
「どうせ体重を増やすのなら、自分が食べたいもの、美味しいと思えるもので心の健康を保ちながら増やしていきたい。」
この思いが一番強かったけど、退院後の食事に不安もあった。
入院中とは違い、食事は一人ではなく家族と一緒だから
自分の食事量と周りの食事量を比べて自分の食事量を
減らしてしまうかもしれないし、
病院食は毎回カロリー表示があったから、
自分がどれだけのカロリーを摂取しているか把握できたけど、
家では分からないから過剰摂取で急に太ってしまうかもしれない。
それが怖くてまたカロリー計算し始めるかもしれない。
入院して食べられるようにはなったけど、
体重を増やすことに抵抗がなくなったわけではないから、
退院したら自分の意思で体重を増やしていけるのか自信もなかった。
でも、早かれ遅かれいつかは退院するときが来て、
その後は自分の意思で食事をとって
体重も増やして維持していく必要がある。
いつかは覚悟を決めて自分自身で乗り越えていかないといけない課題。
退院するということは、どのタイミングであってもそれなりの覚悟が必要。
体重を増やすという覚悟。
病院で出される食べ物がストレスでどうしようもないから、
ちまちまと細かいことに不安になってどうするか悩んでないで、
覚悟決めてスパッと退院することにした。