音楽で英語のリズムを体感する(ジャズの練習と英語学習は似てる!?②)
ジャズのカッコ良さの正体はリズムだった!
ジャズの練習と英語の学習が似ていると感じる点が、もう一つあります。それはずばり「リズムが大事」だということ。
ジャズピアノを始めるまで、ジャズらしい雰囲気やカッコ良さに、リズムが大きな役割を果たしているということに全然気づきませんでした。以前はごくシンプルなメロディラインとコード記号しか書いていないジャズの楽譜を眺めては、なぜここからあんなに素敵な演奏になるの??と首をひねっていたものです。
習い始めてから、コードの重ね方やメロディのアレンジ(アドリブを含む)のほかに、スウィングやダウンビートに象徴されるような、ジャズらしいリズム感があるのだと知り、正体のひとつはこれだったのね!と長年の謎が解けたような気持ちでした。
リズムはメロディやコードに比べて、より体感的なものなので、認識しづらかったのかも知れません。身近過ぎて普段あまり意識していなかった「リズム」というものを、改めて発見したような驚きがありました。
英語の歌で、英語のリズムを感じる
リズムを「再発見」した後で英語について考えてみると、英語もリズムが大事なんだなぁと、こちらも改めて感じます。英文にカタカナを振って、抑揚をつけずに読んでみてもあんまり英語らしい響きにならないように、英語にも英語らしさを形づくる特有のリズム(アクセントを含む)があることに気づきます。
このことは、英語の歌で考えてみるとよりわかりやすいと思います。下の楽譜は私の大好きなBilly Joelの名曲、“Piano Man“のサビの部分です。楽譜を見ると、歌詞の各単語の音節(音のまとまり)と、メロディラインの一音ずつがほぼ対応していることがわかります。
歌の中でも特に強調されていると思われる部分に下線を引いてみました。これはそのまま、各単語の通常のアクセントとも重なっています。また、それが含まれる語は歌詞のキーワードでもあるので、ここを追っていくだけでも大体の意味が理解できそうです。
さらに、私が面白いなと思うのは、歌詞(文)の区切りと小節の区切りが必ずしも一致していないところがあること。例えば、2段目の最後、文の始まりである”We’ll, we’re”が、メロディ上は前に飛び出して、次の小節にかかる形になっています。その分、余計に次の”all”が強調されているように感じます。こういうところも英語の歌特有の雰囲気を生み出しているように思います。
文章をそのまま読むのも良いのですが、歌だとメロディがあるので、歌っているうちに、半ば強制的にナチュラルなスピードについていこうとして、自然と英語らしいリズム感が掴めてきます。(最初のうちは、原曲の雰囲気を壊さない程度にゆっくり再生してみるのもわかりやすいです)
また、同じ英文を何十回と音読するのはちょっと大変でも、好きな曲ならいつでもどこでも鼻歌で歌えるので、飽きずに反復練習できるのも結構大きなメリットだと思います。
言葉が音楽の理解を助け、音楽が言葉の理解を助けてくれる
実は、最初はこの曲をピアノで弾こうと思ったのですが、歌詞を抜きにしてメロディだけを弾いてみようとしても、なかなかうまくリズムを捉えることができませんでした。
そうしているうちに、そうだ、歌詞(各音節)がメロディのどの音に対応しているか、歌詞のどこが強調されているかを考えてみたらわかりやすいかも?と、楽譜に歌詞をメモし始めたら、不思議と曲のリズムがよく理解できるようになり、最後は思いがけず(!)弾き語りまでできるようになりました(^^)
リズムに関して言えば、言葉(歌詞)が音楽(メロディ)の理解を助け、音楽(メロディ)が言葉(歌詞)の理解を助けてくれたようです。英語は日本語と違って、文字自体に意味を持たせていない分、尚更「音とリズム」でできているんだなとも実感しました。
言葉も音楽もそれが生まれた国や文化の中で使われ、変化し、残ってきたものなので、共通するものを感じるのは自然なことなのかも知れません。私の場合は、音楽もまた、英語の体系的な学習に一役買ってくれています。
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