富山・井波が面白い!と噂になっているから、行ってみました。
私の出身は富山県なのですが、富山の南砺市のまち「井波」が最近何かと注目され始めているようで、みんなが「井波行ってみた」「いいよ!」というので、一時帰国の際に訪問してみました。
もちろん、富山に住んでいた頃に何度も行ったことがあります。そしてここ近年も、好きなお寺(瑞泉寺)があるので何度か足を運んでいるまちです。地元の贔屓目なしに、凛としていて、特別な土地に来たような気持ちなる不思議な空気感があるまちだと思っています。今回は、「まちづくり」というテーマを持って訪れてみることにしました。
ちなみに、井波がある南砺(なんと)市は私が住んでいるポートランドとなぜかご縁があり(これはポートランドに来てから知った偶然!)ポートランドの中学校に、南砺市の中学生がホームステイに来ていたり、ポートランドの小学校から、南砺市にホームステイに行く生徒がいたりと、交流があります。
場所はこの辺り。
では、私が歩いた井波を順番に紹介していきます。
※ちなみに訪問したのは昨年秋のことです。
関係性が豊かなまちには、交差点となれる場所があり、ひとがいる
「関係性が豊かなまちには、交差点となれる場所があり、ひとがいる」というのは、いろいろな盛り上がっているまちを見てきて思うことです。中の人と人、中の人と外の人、さまざまな関係性が織りなされている地域には、必ず、その交差点というべきか、繋ぎ手というべきか、そんな場所やひとがいるなと思うのです。
井波にもありました。
まず代表的なのは、まちづくりに関わる人なら誰でも知っているであろうBed &Craft。古民家を改装して、まちの滞在拠点をつくった集団(企業)です。目抜通りに案内所とも言える、オフィス(チェックイン場所)がありました。
そして、これからまちの交差点となりそう、と思うお店がここ。この目抜き通りと地元の人が通る裏通りをつなぐ路地を入ったところにある立地がまたいい、コーヒーロースターです。
2つの通り、新しさと古さ、そんな対照的なものを繋いでいく。そんなイメージを持ちました。ちなみにこのコーヒーロースターの建物の中にも、Bed&Craftが担当したお部屋があり、宿泊することができます。
そして、今回井波のまちを一緒に歩いたのは、南砺市の田中市長。市長と歩いている間「あ、市長」と祝日早朝にもかかわらず、みなが気軽に声をかけて、雑談が繰り広げられる。この田中市長は、まさに交差点となる人なんだなぁと、若輩者が何言ってるんだと言われそうですが(本当にすみません)、勝手に思っています。
古くから職人が守り続けた伝統
私が大好きな井波の街並みが、この井波彫刻の木彫りの通り(八日町通り)です。職人さんが木彫りをしている様子を見ることができて、その工芸品を手に取ることができる通り。最近では、若い方が弟子入りすることも増えているようです。いまだに200人の彫刻師がこの街にいるそうです(※出典は富山観光ナビ https://www.info-toyama.com/stories/inamiarea)
ここをまっすぐ行った先にあるのが「瑞泉寺」。八日町通りは、その門前町でもあります。瑞泉寺はこの井波の伝統の木彫りを堪能し放題の、静寂の中にあるお寺です。お寺を見上げればたくさんの立派な彫刻を拝見することができます。
余談ですが、、、拝観料を払おうとすると、なんとpaypayで払えますとの掲示が!!!(クレジットカードでは払えないのに)思わず、ここでもpaypayですか?と聞くと、「時代ですねぇ」と窓口の方が言っていました。
さて、この井波、マンホールと道路溝も素敵でした。アメリカに住んでいると、日本に帰ってマンホールを見るとその細やかさに驚きます。今回の一時帰国で6歳の次男はマンホールの虜になっていました。
ベーカリー、ロースター、ブリュワリーが揃えばコミュニティが生まれる?
さて、この伝統が根付いている街並みから続く目抜通りと並行して、新しく移住したり、2代目、3代目の若者たちがつくりだしている新しい通りがあります。先ほど行ったコーヒーロースターの裏側で、「中通り」と呼ばれるエリアです。
ここには、ベーカリー(お休み時間で入れませんでした)、最近オープンしたブリュワリーがありました。ベーカリー、コーヒーロースター、ブリュワリーがあれば新しいまち(コミュニティ)ができるのではないかと思うほど、この3点セット、三種の神器的なセットはよく見かけるような気がします(最近ではそこにランドリー、シェアオフィスが加わっていますね)。人が集える、そして地元の食材とコラボレーションできる、そんな要素があるからでしょうか。
オープンしたばかりのブリュワリーはさらに1本中に入った通りにありました。
そして、表通りに戻ってくると、アーティスト夫婦が営む井波の木彫と漆の工房が。このトモル工房では木彫り体験ワークショップもやっています。
朝に飲みたいコーヒーロースターもあって、ブリュワリーもあったらできれば一泊したくなるので気になるのは宿。ちょっと車を走らせれば庄川温泉郷もありますがせっかくなら井波にとまりたいところです。前述したBed&Craftもとても素敵な宿が揃っていますが、それ以外にも近年、いくつかの宿が誕生しているようです。たとえば、このオーベルジュ「古香里庵」。築80年の古い商店町屋を改装してつくられたそうです。
海外から特別なお客様が来たり、スーパースペシャルな日の宿としてはこの「古香里庵」の別邸「瑞雲」(ちょうど伺った日がレセプションで覗かせてもらいました)もあります。
1日1組限定で、呉服問屋の町屋を改装した古民家と日本庭園、そして露天風呂にシェフズテーブル(もちろん富山のおしい海の幸を堪能できるメニューです)が貸切のなんとも贅沢なオーベルジュです。
雪深い冬が去り、気持ちの良い春がやってきます。機会があれば井波、訪れてみてください。
最後にまちづくりの観点から。
新しい風が起こした活気を受け入れ、応援する
新しい風や活気を応援するというのは、守ってきた人からすると決して簡単なことではないと思います。しかしながら自分たちに自信があればきっとできることなんだと、この街を見て感じました。井波彫刻で築いた絶対的な技とまちへの信頼と自信がこの井波にはおそらくあるんだろうなと。だから、新しい風も受け入れて、より良い方向へと変化していこうという気概が、このまちのパワーになっているように思うのです。
そして、こういう守ってきたその場所独自のカルチャーや伝統は、他の場所にもきっとあります。もちろん新しく入ってきた人はそれを尊重したいところです。そして、その地で守ってきた人は、伝統を守ってきたことに誇りを持ち、新しい風を迎え入れていけると、地域に素敵なまちが増えていくのだろうと思っています。
実際、日本の地域には、たくさん今面白いまちができていますが、この「新しい風と昔から根付いているまちの文化がうまく融合できていること」は、ひとつ共通点と言えるなぁと思っています。
以下、このnoteで紹介したところのリンクを添えておきます(旅のブックマークにどうぞ!)