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「今さら」ではなく「今から」
言葉を選びあぐねているうちに、ふと気づけば、もう一年の終わりが目前です。今年の秋は、あっという間に過ぎ去り、まるで永遠に続く夏の中に小さな秋が挟まれていたようでした。もし「どの季節が好きか」と問われれば、秋生まれの私は迷わず「秋」と答えます。その中でも特に、彩度が静かに落ち始める頃に心惹かれます。風も光も、そこに漂う空気も、すべてがしっとりと心に染み込んでいくようで。
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そんな秋に出会った言葉があります。理論物理学者・佐治晴夫さんの「今さら」ではなく「今から」、という一節。この言葉に、背中を押してもらおうと思いました、信じてみようと思いました。時に憂い、翳り、迷おうとも、この言葉が示す希望の方向に向かいたいと思いました。私はこれからだし、私たちもこれからだ。
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その歩みの中で自分を支えてくれるのは、これまでに出会った言葉や、心を寄せてくれたあたたかな気持ちでした。さりげない一言が、仕草が、まるで小さな灯火のように、私の中に生き続けています。いつの日か、自分もまた誰かの心にそっと灯をともせる存在であれたらいい…そう思いながら精進します。磨きつつ前へ、今年も、その先も。
どうぞ、新しい年が、穏やかな光に包まれて訪れますように。そして、確かな幸せへと繋がりますように。
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