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クリエイティブ・ペアレントへのインタビュー:志津野雷さんインタビュー第二弾
昨週に続き、Cinema Caravan 代表で逗子海岸映画祭の主催、写真家の
志津野雷さんへのインタビュー続編です。
クリエイティブな生き方をどう受け渡してゆけるか、
志津野家では自立した親の生き方を見せることが大きなキーとなっています。
フリーランスの精神 ー自立して生きるー
カメラマンとしてフリーランスとして生きてきて、ゼロから会社も立ち上げた雷さん。だからこそ、娘さんにも将来は彼女の意志で決めたことにトライし、自立して歩んでいってもらいたい。そのためにも、自らの生き方をそのままに感じてもらうように意識して暮らしているそうです。
「父親の枠となってしまうような父親像はありません。それはビジネスのフォーマットがない私の会社作りと同じです。それでどうやって採算が合うのかと心配されますが、うまくやれています。家庭も同じです。ユーモアと笑顔で成り立っています。皆のモチベーションを上げながら、フリーランスの精神、どうやったらサバイブできるか常に考えています。」
「娘は12歳ですが、もし今私たち両親が交通事故で亡くなったとしても、自分でやってくれると思えます。(そういう準備ができるまでには)高校生ぐらいまでかかると思っていたのですが。人にとって最低限必要なこと、生きる力が身についてきていて、このまま自立して親は援護射撃すれば良いぐらいになっています。」
自立した親の生き方を肌身で感じているからこそ、娘さんも自立して生きてゆくことを日常生活の中で自然と身につけていっているようです。
家族は大事なことを見極めるフィルター
「娘には、教育の“ある型”に入れてしまうのではなく、余白を大切にしています。いったん型に入れてしまうと、簡単にはそれを外せなくなるでしょう。型を外すのは大変です。」
「僕は映画祭を始めたこともそうですが、他の人とは違う、どこに着地していくのかわからないようなことへの切り込み隊長なんです。先日も行政と組んでパブリック・ファーミングにするための1万ヘクタールもある土地を見てきました。(そうした場では)僕が世界各地で見てきたことが、良い事例になることが期待されていると感じます。これも世界にどんどん開いていくように僕らが旅してきたことが、逗子に根付いていく機会です。コロナ禍で家族と過ごすことが日常となった今は、このような中で何が起きているかを家族にまず話しています。娘はどこまで聞いているかわからないのですが、新しいプロジェクトを進めていく上で起こっていること、困難な点や課題も包み隠さず話しています。広い世界で見てきたものが逗子へ、さらにもっとベースとなる家族の種となっています。家族が種から根となって、そこから僕は外に出ていくようになったと感じています。以前はどんどん外に開いていったのですが、今は家族が何が大切なのかを明確にするための大事なフィルターになっています。一緒に仕事する人も、家庭に呼んだ時にリラックスできる人なのか、子どもに紹介できるかと考えます。それから自分が社会とどうつながりたいか。一緒にやる人と何をしたいのかを冷静な自分になって決めていけるフィルターになっています。」
雷さんにとって、ステイホーム期間中の家族との時間は、色々なことを精査し、生き方の礎を再構築する良い機会となったようです。
絶えず明るく自然体に見える雷さんですが、一方でとても人に気を使っていて、「人とのつながりが社会と思っています。人とのストレスは一番大変だ。」と話します。しかし『家族と話してやっていく』という一見とてもシンプルなあり方は、信頼のなかでシェアしていくという雷さんのライフスタイルの本質とつながっています。それは今混迷する世界に自由な場を生み出していく原動力となるでしょう。志津野家の子育てから見えてくる自立と信頼の関係性はこれからの未来を開いていく鍵となっていくでしょう。