使い捨てプラスチック製の禁止、カトラリーや皿も 英国
イングランド政府は、河川や海などの廃棄物による汚染抑制に向けて、新たにカトラリーや皿などの使い捨てのプラスチック製品も禁止する予定だ。
テレーズ・コフィー(Thérèse Coffey)環境大臣は、ウェールズおよびスコットランド政府に続き、今後数週間以内にこれら品目を段階的に廃止し、生分解性の代替品に置き換える計画を発表する予定だ。
イングランドでは毎年、使い捨て用に、40億個以上のプラスチック製カトラリーと10億枚以上のプラスチック製の皿が廃棄されている。これら製品はリサイクル可能であるにもかかわらず、大半は埋め立てられるか、ゴミとして捨てられており、使い捨て文化の一端を担っている。
2020年、英国政府はイングランドでプラスチック製ストロー、マドラー、綿棒の使い捨てを禁止した。加えて2021年からは、カトラリー、皿、スチロール製カップなどの使い捨て製品についても禁止を検討する協議を進めてきた。政府関係者によれば、コフィ―環境大臣はこれら禁止令にゴーサインを出す準備をしているという。
環境・食料・農村地域省は、イングランドの使い捨てプラスチックへの依存を減らすことが重要だとし、「より多くの資源を再利用・リサイクルし、廃棄物を削減するために迅速に行動していきたい」と意気込む。「プラスチック製の皿、カトラリー、風船のスティック、発泡スチロールや押出成形カップなどの禁止についても、すぐに検討を始める予定だ。」
同省はさらに、ウェットティッシュやタバコのフィルターなど、他の使い捨てプラスチック製品への取り組みについても検討している。
世界では年間3億トンのプラスチック廃棄物が出され、そのうち、リサイクルされているのはわずか10分の1程度にとどまる。世界各国でも政府は使い捨てプラスチック製品の規制強化に動いている。放送作家デイビッド・アッテンボロー(david attenborough)氏がテレビシリーズ『ブルー・プラネット2』でこの問題を取り上げて以来、そうした圧力は高まっている。
プラスチック素材は何世紀にもわたって使用され、徐々に小さな破片へと分解され、野生生物に有害な結果をもたらす。
先週、ウェールズ議会は、カトラリー、皿、ファストフードの容器など、使い捨てプラスチック製品を含む12種類の品目を2023年秋から禁止する法案を承認した。
ウェールズのジュリー・ジェームズ(Julie James)気候相は、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、これらの品目にはどれも、木製カトラリーなどのプラスチックではない、あるいは再利用可能な代替品が存在すると述べた。
またジェームズ気候相によると、ウェールズ政府がプラスチック製品と生分解性代替品のコストを比較する調査を実施したところ、わずかな価格差しかないことがわかったという。
「これらの製品がいかに有害かが社会に知られていけば、より安価な代替品が登場してくるだろう」と彼女は言う。
2011年、ウェールズは英国で初めてレジ袋の料金として5ポンドを課す政策を導入し、その後、スコットランドとイングランドもこれに続いたことで、プラスチック製レジ袋の使用量が大幅に減少した。
2022年6月には、スコットランド政府がカトラリー、皿、ストロー、ポリスチレン製食品容器やカップなどの、さまざまな使い捨てプラスチック製品を禁止した。
それでも環境保護団体グリーンピースUKのシニアプラスチックキャンペーン担当のニーナ・シュランク氏は、英国政府の実施する措置だけではプラスチック汚染を止めるのに十分なスピードではないと指摘し、英国では毎年、推定1000億個のプラスチックがまだ廃棄されていると述べた。
シュランク氏の考えでは、英国政府は環境法案を活用し、2025年までに使い捨てプラスチックを半減させるという法的拘束力のターゲットを導入すると同時に、プラスチック廃棄物の輸出についても禁止すべきだという。